Daily 7 〜協同〜
英輔の部屋で急遽、勉強会をすることになった一同、隼人もいるというちょっと新鮮な見映えはともかく、本当に集中して勉強に励むことは出来るのやら…。
「タイミングが良いことに、母さん外出中です」
「えっママさん居ないのかよー!美味しいものが食べれると思ったのに」
「それが目的だもんな康之は、俺はゲームも目的だ」
「お前らしばらく訪問禁止だな、まあどうぞ」
「初潜入だねーお邪魔しまーす!」
「私、男の子の部屋に行くの初めてだよ」
「まあでも英輔の部屋かー…面白いもの何もなさそー…」
一同は二階の英輔の部屋へ、実は康之が選んだ理由の一つでもあるのが、意外と広いということ、七人入っても違和感がない感じだ。
「あれっ少し綺麗になったな、掃除でもしたのか」
「みんな来るから整頓したんです、一応普通にくつろげるように」
「まあこれなら勉強出来そうだな、さてと、じゃあ始めますか!」
各自、取り組む姿は高校生ならではである、慣れないものはやや集中力に欠けるようにも見える、優等生の姿はキャッチャーマスク姿の時とは違った立派なものである。
「前島君のノートすごい綺麗!やっぱ書き方も違うねー!」
「隼人、後でまた見せてくれ、まだ続きが…」
「うちが先だもんねー!二人も見たいでしょ!?」
「みなさん、自分のノートで復習しないと」
・
・
・
ひそひそ話が聞こえる、何だろうか。
「ふみか、どうせなら教えてもらいなよ!わからない所あるんでしょ?」
「えーそうだけど…うん…これなー…」
「前島君、ちょっと!この公式の違いってどういうこと?」
「ほらーふみかから言わないと、修一達がどんどん聞いちゃうよー」
「うーん、まあ何とかならなかったらね…」
「何かわからないところでもあるんですか?」
急に後ろから言われたため、二人ともびっくりしたようだ。
「あーふみかがね、あるらしいんだよねーそうそう」
「何ですか?力になればいいかと」
「あっいやそのーあのーうーんとあっ!」
麻実がウィンクをすると共に、邪魔者が入ってきた。
「はい!隼人!わかりません!」
「今あんたの場面じゃないの!出番じゃないの!」
「うわっ麻実ひでーなー…わからないのにー…」
「あのね、この文法の使い方なんだけど…」
「んー、これは…代名詞もあるので…」
(ぐふふ、いい感じ、いい感じ)
(集中出来ないしどうしよー目合わせるのこんなに大変だったっけ…)
「とまあこんな感じですね、わかりましたか?」
「えっあれっ何だっけ?えっとあーごめんなさいもう一回いいですか!?…」
「あ、はい、後藤さん…顔赤いですけど大丈夫ですか?」
「えっうそ…あー大丈夫大丈夫!あーなんか暑いねーうん、あっ英輔アイスないの!?」
「どうしたんだ急に、まああるけどみんなの分持ってくるか?」
「ふみかは休憩が必要みたいだね、あー面白い」
ふみかは麻実を睨みつけた、まあ無理もない。
・
・
・
開始から一時間半、休憩という名のおしゃべりが始まった。
「あー疲れた、部活より疲れる、よくやるよなー」
「普段からやってないからだよ、ふーようやく落ち着いた」
「こんな時間かーこの後どうすんの?夜飯とかさ」
「ファミレスとかー?んってか最初からファミレスで勉強したら良かったんじゃないの?」
「まあ康之が考えることだ、こんなもんだよ」
「どうせならここで食べようぜー、何か買ってきてさ」
「おっこれはこれは勉強会プラス…食事会かー!?」
「お前ら人の家で自由過ぎるだろ!」
「みんなで手作りほにゃらら!」
「えっもしかして作って食べるんだ…松野君大丈夫なの?」
「さあー、でも…女子の手料理も気になるなー」
「男子もやるからには作るの!じゃあ何作ろうかー?」
「簡単なのにしろよー、もうすぐ母さんも帰ってくるし」
「じゃあ分担しよー!買い物隊と…準備隊!」
「三と四で分かれるかー、じゃあ勝った順番に選ぶとしよう!」
「よーし…まあ作るものはとりあえずとして…」
「せーの、ジャンケン___」
・
・
・
・
買い物隊はとりあえず、近所のスーパーへ。
「何買えばいいんだろ…とりあえず何となくでいいかな」
「まあ康之から連絡はくるだろ、おっ牛カルビ」
「二人とも!何でもはダメだよ!グラムとか見て、安いのを買うのが大事だよ!」
美愛の主婦っぷりに困惑の二人、思わず声に出てしまう。
「西園寺、意外にこういうとこあるんだな」
「何か楽しそうだし、任せておきますか」
「松野君!キャベツいいの選んできて!」
「は、はい!!(姐さん!!)」
一方、下準備の連中は何やらいろいろありそうな雰囲気が…。
「家主居なくて大丈夫なのかなー、それに勝手に使っていいの?」
「大丈夫なはずだ!ママさんも優しいからな」
「…あっもしもし美愛、豚バラ追加で、買い物はあなたに任せたよー…」
「西園寺さん、家庭的なんですねー、素晴らしい」
「前島君、最近の女子高生はなかなかやるんだようーふみかも上手だし」
「なるほど、それは楽しみですねー」
「そ、そんなに期待しないでね…あー美愛電話中にごめん!」
「ふふっ一緒に頑張りましょう」
「よし!プレートOK!試しにある食材で一回作るか!?」
・
・
・
・
「ただいまー、ん!?何か美味しそうな匂いするね!」
「何だあいつらもう食べてんのかー!?」
買い物隊の三人が戻ると試作品が出来ていたのだが…どうも違うようで…。
「何か違うよねー何だろ、食べれるんだけど、何だろ」
「あ、おかえりー!ねっ美愛ちょっと食べてみて」
試食してみる美愛、やはり首をかしげる。
「うーん何だろうねーでもこんな感じなのかなー」
「粉多いんじゃないのか?うーん…」
英輔も何となく食べてみるが、ちゃんとはわからない、すると…。
「あらー良い匂いするわねー、いらっしゃい」
「あっ母さん、ごめん!ちょっといろいろあって、みんなでお好み焼きを…」
急な帰宅にお辞儀と挨拶をする一同。
「するなら言えば良かったのにー、あららちゃんと上手くいってるのかなー?」
「ママさん!何か違うんですよねー、食べてみて下さい!」
母は一口食べると、手を洗い、何かをし始めた、慣れた手つきで工夫を加えていく。
「英輔のお母さん、何かすごいー…」
「これで、どうかしら?うーん…美味しいわよー多分」
美愛に差し出す母、実は可愛い子が好きならしい。
「…えっすごーい!美味しい!」
「えっマジで!?俺も俺も!」
一同、納得の美味さに驚いている。
「何をしたんですか!?何が違うんですか!?松野君のお母さん、凄いですね!」
「ふふふありがとねー、うーんまあ何かというと、それはねー…秘密よー」
「えーうちも知りたいですよー」
「将来、お嫁さんに行ったらきっとわかるわよー」
「すごいなー…んっ!?ちょっと男子!いつの間に食べてるし!」
「うん、焼きそばにも合いそうだな、すごい美味しい」
「まっ前島君までー…あー食べるー!」
母の力は素晴らしいものである、勉強を忘れ、美味しく頂いて、いろいろなものを知ることが出来た特別な日になった。
やはり美愛は今度、是非教えてもらいたいと思ったそうだ。
「よし!今度また食事会やろー、あっBBQもいいんじゃなーい?」
「おっそれは楽しそうだな!肉だ肉ー!」
「お前ら元気良すぎ…まあ美味しいからなー…(母さんの味だな…)」
「松野君…ホントに美味しいね、うふふ」
「あっうん…はは…」