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HEROES  作者: 工藤カズナリ
31/34

Daily 31 〜胸中〜

「……手紙、呼んじゃった?…」


「……何が手紙だよ…半分ラブレターみたいなもんじゃねーか…」


「…だって………ホントの事だもん…嘘書くわけないでしょ…」

「__てっ手紙?…(今さら何かねー、頑張って作ったんだから、ちゃんと食べてよねーってか?……あれっ結構あるのかいな、んーなになに…)」


「英ちゃんへ、びっくりしたでしょー!?頑張って作ったんだから、ちゃんと食べないと怒るからねー!?…」


(ははっやっぱり…だと思ったわこやつは…)


「みんなに協力してもらって、全員分入ったチョコスペシャルのお味はいかが?美味しいに決まってるよねー!?ちゃんとお返しするんだぞ!もちろん、私にもね…」


(美味しかったですよ、はい…ひとつおかしいのあったけどな、あなたの大きさも変だけど)


「それより……英ちゃんにチョコ渡すの二度目だよね!あれは中一だよね、結局お返しなかったんだよなー、絶対忘れてるでしょ!?今だから言えるけどさー…ぷん、まあともかく、手紙は初かも!あの時はいろいろあって、お互いに近くにいたけど、周りの雰囲気とかもあったよねー…」


(そりゃーなー…それでも遠回しに気持ち、表してたんですけど…まあ事実上…振られてるみたいなもんだったからなー…ちゃんとは伝えること出来ない俺…ダサっ…)


「さすがにあれだから、英ちゃんの気持ち…わかってました、さりげない感じとか優しさとか…すごい嬉しかったなー…でも友達とかはやめた方がいい的なね、みんなもみんなだし…」


(まあまあ…俺はもう大丈夫ですよ、よく気を遣ってくれたわな…)


「私はあの日から印象が変わって…正直に言うと、好きだったんだよ、英ちゃんのこと…こうやって呼べるのも、あなたのおかげなんです…」


(はあー…マジかー…なんだー、まあこれも気遣いなのかね、ありがとさん)


「英ちゃんが私を明るくしてくれました、それで…まさか、また再会できると思ってなかったから…ホントにすごい嬉しいんだよ!それに英ちゃん変わってなくて、明るいままの姿を見れてよかった、カッコ良くなった気もするしさー!エヘヘ…」


(ふっ…俺も、再会は嬉しいぞ、変な感じもなくて、毎日楽しいわなー…)


「それでね、何か思ったんだー…あの時の気持ちあるのかなーって、英ちゃんも実際はどうなのかなーなんてさ…」


(…いやー…どうなんだろ、俺はよくわからねーなー…)


「転校してきて話してくれた人第一号が英ちゃんだし、ある意味…改めて、惚れ直しちゃったなーとかとか…」


(…はい!?おいおいどういうことだよおい!…ちょっと待ってよくわか…)


「気持ちが薄れそうになった時に、また好きになっちゃった…私、英ちゃんのコト好き、多分今までずーっと…」


(………まっさかなー…いやいや冗談はよくねーぞ、ははっ…)


「あっでも気にしないでね!すぐ付き合ってとか、そういうのじゃないから!…ただ、今の気持ち…こういう日だったからいいかなーって思って!学校でも普通に話してくれる?わかった?……じゃあちゃんと食べてねー!」


(……あらあの子…そんなに頭抱えるほど美味しいのかしら…ふふふっ良かったわねー…)

「…おかげ様で寝れなかった…それにあの日って、特別な事したつもりでもないし、俺は…莉紗に自分見せることで精一杯だった感じ…まあ空回りだけどな、女子には変な感じに見られるわ…まあ俺も好きだったよそりゃー…」


「私は…変わった人がタイプみたいだし…明るくなれたし…英ちゃんは救世主なのだ!」


「…結局さ、そのままどっか行ったからさー…さすがにしばらくヘコんだわ…」


「実は私もいろんな意味でねー、でも時間が解決してくれるかなーって、そう思って思って…またそうなっちゃって…って思ってたら…また目の前にいた…いろいろ思ったけど、感情のほうが先にきたかも、驚いたし」


「…感情って最後あたりの文の事ですかい?…二年半も経ってるのにな…」


「私にとっては…大切な人、だから、ね?…ホントだよホント!…好きってことだから!…」


二人の間に沈黙が訪れる、少々長めだっただろうか。


「今俺は…自分の事で精一杯というか…勝負の一年だからさ…莉紗の気持ちは嬉しいけどさ…でもな…」


「野球…でしょ?…何かそんな感じはした、野球の事話してる時の英ちゃん、何か違うもん」


「…すまん、あっでもさ…俺も一応気持ちはあるからさ…ファンでいてほしいっす」


「…何それー…そのまだ可能性はありますよーみたいな感じ、諦めつかないじゃんかー…」


「いやっ…じゃあ何って言ったら…んーだあー…んと…そうだな…」


「…なーんてね、大丈夫!…野球に夢中な英ちゃんが好きなのも事実だし」


「…あ、ありがと…応えれるように頑張るよ、恥じないように……!?ちょっ…」


莉紗はハグ程度に抱きついた、英輔の捉え方は違うが…。


「…私、意外と積極的なんだぞー…まあ頑張ってね!……もし浮気したくなったら…言ってね」


「…浮気って…そんな許されない事は絶対にしないわ」


「もしもねもしも!…そうなったら…私が付き合ってあげるからー!」


「……へいへい、でも保険をかけるつもりはねーよ…」

翌日、英輔はもう少しで家を出発しようとしていた、すると…。


「…はーい、あらっ?…はいわかりましたー…英輔ーお友達よー…」


「えっ?…何ーあいつらー?(んな訳ねーか…)…誰ー?」


「……誰ーじゃないわよー…いつの間にかしらーあんな可愛い友達いたのねー、まさか…」


「だから誰だって…はーい……えっ莉紗!?何でだー!?」


英輔は急いで出迎える、まだ少し髪がボサボサのまま。


「あっ英ちゃん、おはよー!迎えに来たぞー!…あー髪整えないとー…みんなに家の場所、教えてもらっちゃったー!」


「はっ…とっとりあえずちょっと待って、準備するわ」


「英輔ー…コレ、じゃないのかしらーコレ、うふふ…」


「違うって…母さんに話した転校生の子だよ、中学一緒の」


「あらっなるほどねー…それにしてもずいぶん親しみ深いこと、キュートな上にニックネームだこと、オホホ」


「…とにかく、行ってきまーす!…ふー…」

二人はそのままバスで学校へ、その途中。


「…急にどうしたんだ、まだ道わからないなんて事はないだろー」


「…何となく一緒に学校行きたいなーって思って、ほら言ってたでしょ、意外と積極的だって」


「…何か違う気がするんだけど…まあ…それだけじゃない気もするけどな…」


「…昨日ね、あれからいろいろ考えたんだー…どうしたらいいんだろって…それで、何か私もやってみようかなーって思ったんだよね、何か」


「何かって言ってもたくさんあるし、特定してないのかいな」


「いやー英ちゃんみたいにさ、夢中になれるもの探して、とことん頑張ってみるのもいいなーって…」


「そうだなー、やっぱり楽しくなるよ!…何なら莉紗も野球やるか?なんてなー」


「ムーリ、まあ今は探索中、昔から何かに頑張った事ないような気がしてね…英ちゃんもわかるだろうけど、特に何もしてなかったじゃない?だから地味だったろうけどさ…だから、何か羨ましくてさー…それで思ったの!私も、私なりに頑張れるモノや居場所見つけようって!……どう思う?」


「俺はすげー良いことだと思うよ、必ずそういうモノあると思うし…みんなもいるから、協力するぞー!…そうだなー、んー……」


「えっ…やだっ…英ちゃんったら、そんなに見つめないでよー…さすがに照れちゃうじゃんかー…バスの中だってはー…」


「…莉紗はみんなが認める容姿だからなー、スタイルいいし…今流行りの千薫さんタイプだな!」


「…こら、それで…千薫さん?って……どなたー?…」


英輔は簡単な詳細を話す、最初は誰もが驚く。


「……へーどうりで美愛ちゃん、あんな可愛いのかー、すごい遺伝子ー……って、私は絶対違う気が…」


「何でだよー、間違いねーと思うけどなー!…何となく話だけでも聞くべきだわ!」


「…じゃあ英ちゃんの事信じるね、とっとりあえずーなんとなーくね、あははー」


夢は思いがけないきっかけから生まれ始まる事もある、そんな莉紗には自然と未来への希望の光が差し込み始めた。

そして日は流れ、この時期には様々な別れがやってきた。


「うわーん!…みんな一緒じゃなかったー!…うー…」


「麻実、園児じゃないんだから…仕方ないよ、それに隣のクラス同士だし!」


「俺ら三人は…何でいつも同じなんだろうな…まあ良かった」


「マジかよー残念だなー…隼人また隣かよー…あっふみか残念だな」


「別にいいの、クラスも学年全体も、関係ないって思ってるから」


「あーあーせっかく一緒になったのにー…英ちゃんも違うしさー…」


「莉紗、転校早々ってわけでもねーし、大丈夫だろ、あいつらも一緒だから、隼人にヨロシクだな」


「何がヨロシクだって、部活でも一緒なんだ、間合いが丁度いいわ」


「あっ前島君、新しいクラスでも仲良くしてね、えへへ」


と、自然に手に触れる莉紗は小悪魔に近い。


「…おーい、ちょっとほころんでるぞーいいのかなー、まああいつはああいう奴だからよ」


「…まあ…そんな感じはするけど、心配すんな」


(はあ…英輔君、また違うクラスだー…しょぼーん…)


英輔のクラスは全員で写真を撮ることになった、先生の了承もあり…。


「まだこのクラスでの生活はある、だから笑顔だぞー!」


はいチーズ、カシャっ!記念とともに個人でも撮るのが現代の高校生。


「よーし、じゃあ先生も一緒に…おいっそこはいいじゃないかー…」


結局、男子三人組と女子三人組は、奇跡的に同じクラスになり、隼人、星南、莉紗、香奈…ついでに館山が隣のクラスになった。


残りの一ヶ月を一年間一緒だったクラスの人達とともに過ごす時間は、楽しさと名残惜しさが感じられるだろう。

また日は流れ、今日は春の日が感じられる大切な日、生徒達や先生方、そして親族が見つめる先に見えたのは、胸飾りの目立つ堂々とした卒業生の姿だった。


「先輩達ともお別れかー…俺らもああいう風になれるのかなー…」


途中に見えた涙の姿、笑顔の姿、そして退場時の晴々とした姿は、後輩達の目にも涙を覚えさせる。


式の後に、野球部で集まっていた部員達。


「松野…どうだ、順調とは聞いているが…無理はするなよ」


「安達先輩…俺は…大丈夫です、頑張ります!…うっくっ卒業…おめでとうございます…」


「松野君、最後は笑顔でいないと、僕達のキャプテンを見送るんだ、ですよね?」


「海堂には本当に世話なった、楽しい時間だったな……あー!俺だって本当は泣きたいくらいだー!」


贈り物とたくさんの花束、証の筒、ボタンのない制服を身にまとった先輩方は、後輩達の作った校門までの特別な道を、ゆっくりと歩きながら、卒業へと近づいていく。


「まあ大丈夫だろ、高峰キャプテンは必ず亜星を頂点へと導くだろう!」


「俺は安達さんとは違いますから、なーんちゃって」


「おい!…まあその意気だ、海堂もリベンジ…だな」


「やりますよ、応援来てくださいね…先輩方全員で!」


最後は笑顔で終える、まさにこの瞬間もであった、英輔、目に焼き付けておくんだぞ。

「うちらも二年生になるのかー…って事は後輩ができる!いいねーいいねー…」


「男子にとっては嬉しいもんだぜーへっへー…」


「…まあせいぜい楽しんでくださいよ、あれっ英輔は?…またいないのか…」


「松野君…また上?…いやーそれはないと思うけどなーさすがに…」


「…よし!…私が行ってくる!みんな待っててねー」


「あっ莉紗ちゃんちょっとー…あちゃー…まだ昼休みじゃないんだけどなー…」


となると英輔は何処にいるのか、あっそういえば今日は、英輔はあの当番だったな。

「先生ー、どれですかー?これでいいですかー?」


「まあちょっと待て待て、朝のスポーツニュースの真っ最中なんだ、お前も見ていけばいい」


「先生が仕事中にテレビのニュース見ていいんですかねー…まあ職員室にある事自体…羨ましいけど」


「ほへー…今年も有力だなー、去年も凄かったが、今年もタイトル狙うだろうなー…凄いベテランだジェイソンは…」


「(あー…そういやプロ野球ももうすぐ開幕かー…)…先生も見るんですねー」


「先生はスポーツなら何でも好きだぞー!…いやー楽しみだ楽しみだー!」


そうしてニュースを見ながら、先生から物を預かるが、英輔もテレビが気になる。


「松野ー、もうすぐでチャイム鳴るぞー早くいかんと!」


「あっはーい…(注目のドラフトの連中が取り上げられてる…そういえば、俺そういうニュースあんまり見てねーなー…一応見たほうがいいかー…うん)…失礼しまーす…」


そうして英輔は職員室を後にした、ニュースはちゃんと見よう。


「続いてのニュースです、毎年アメリカで行われる日米高校野球に展開です、今年度九月未明まで行われていた日米高校親善野球ですが、日本高等学校野球連盟は昨日、MLBそしてNPBとの協力、連携のもと行う親善試合を、来年度より実施しない、または後日サンフランシスコで行われる合同会議にて、何らかの違った形式で行うという事を発表しました」


(あららー…アジア大会も怪しくなるのかなー?…)


「これにより、来年三月に行われる野球世界一の祭典、WBC、ワールドベースボールクラシックにも影響があると考えられており、選手会は後日緊急会議を行うとし、プロ野球開幕後からセパ交流戦開始辺りを目処に、WBC参加の方向性を両者と共に検討していきたいと意思を示し、高校野球の発展をより意識付けさせるように最善を尽くすと文書を発表しました。……この場合ですと、高校野球活性化の為にも、世界大会として実施するのも良いのではないでしょうか?…続いてのニュースです…」


「…見に行きたいー…(まあ経費もあるだろうからなー)……おっといけない!…どのクラスだったっけな…」

そしてついに英輔達も二年生になる、いよいよこれから第二章?の幕開けだ、と言いたいところなのだがその前に……この日の少し後、みんなも嬉しい良い事があった、それを見て頂こう。


「…俺は全然わからなかったけど、凄い頭使ったし、とてもいい感じだ!…ったく憎いねーあいつー…」


「まあ…俺にとってはチョロかったけどなー、はっはっ」


「それにしても…英輔、お前の一年長いわ、大変だろうなー工藤サン…」

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