Daily 30 〜甘辛〜
「まあそれにしても…さすがにそれは、二人とも驚くわなー…中学で行き別れた同級生が、また同じクラスに転校してくるんだもんなー、自分に立場かえたらそりゃーいきなり知り合いとも言えないし、ああなるわけだわな……でも何かよー篠原の呼び方が気になるんだよなー…ありゃー何かないと普通言えないよーな…ほらやっぱ西園寺みたいになると思うし!…まあ、その本人はもうその呼び方、諦めたというか言えないのか…普通に松野君になってるし……しかし、もう篠原もクラスに馴染め始めてるし、良かったよかったーこれから楽しくなりそうだな!」
「まあ…うん、あーわざわざダイジェスト的な感じでどうも、それよりー…うちも呼んであげよっかー?…康くんって」
「……さすがに違和感ありまくりだからやめてくれ、何か違う」
「ったくー照れちゃってー、せっかく呼んであげるのにさー」
「…あの二人、本当に仲良いんだね、あの感じよく見るなーって思って」
「いつもあんな感じだよ、ただ戯れてるだけだから気にしなーい」
「そういうこと…もはや付き合ってるみたいなもんだからなー!…まだ途中なだけでって」
「あれっ?英ちゃんいつの間に、おはよ、あっそうそう……ふふ…はいこーれ!」
「ん?何これ?何か俺に合わなそうな袋?なんだけど…中に何か……」
「あー!ストップ!…家に帰るまで、ぜーったい中身見ちゃダメだからね!いーい!?」
「えー…何ちょっと…ゴソゴソしてるな…まさか怪しい物でも入ってんのかー俺にそんな物預けられてもよー!」
「いいから!…黙って持ち帰りなさい!…ねっ?」
「……まあしょうがねーなー……んー…やっぱりゴソゴソしてる」
莉紗は女子二人に目を合わせ、何か合図をとっていたそうだ。
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放課後、英輔が部活に向かおうとすると、ちょうどよく隼人がいた。
「隼人ー!今日もガンバッぞー!…ん?なんだその袋?…あれっ何か俺のと似た系統だな…」
「ん?ああこれは、ふみかさんから頂いたんだ、良いものだから大切にしないとさ」
「良いもの?…(怪しい物じゃ…)…ふみかのやつ、プレゼント的なことするんだなー…こりゃーまたイジリ項目が出来たなー」
「…とか言ってる英輔こそ、ちゃんと貰ってるじゃんか、その紙袋」
「これは莉紗から貰ったわ、何か家帰るまで中身見るなだと…ったくゴソゴソしてるし、怪しい物とかだったら…いきなり何か飛び出したりよー!…」
「びっくり箱じゃあるまいし…転校生の方の…まあ、そうじゃないといいな…(まさか…あれだってことわかってないのか?…ははっまさかな)
そして部室に到着すると、いきなり部員に言われる。
「なっまっ松野…その…それは何だー!…何でこんな奴があー!」
「えっちょっとーみんなどうしたー!?…これはクラスの子から貰ったけど…」
「そんな事は…わかってんだよー!…グスン…はあー…前島…もか…まあこいつはそうだろうな」
「おいおい…さすがにそこは少し言ってくれよ…」
「…あー!ちょっお前らあれを…海堂さんの…やっぱり格が違うなー…」
「…龍悟…それどうすんだ?…持つのも大変なのによ…俺が手伝うはめになるとは…」
「もちろんちゃんと頂くよー、みんなからの気持ちだからね、直隆こそ結構ではないですか」
「先輩それ何すかー!?……凄い荷物の量ですけどー…」
「松野君、あれっ見たらわからない?…松野君も、ちゃんと貰ってるじゃないかー」
(あーやっぱりだわ、こいつ…完全にわかってねーな……すげーやつ…学校の雰囲気でもわからないとは…ダメだこりゃ…)
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「あーなるほどー!…そういうことだったんですかー!…俺…すっかり忘れてました……そういえば今日っすね…」
「てめー松野!忘れてただー!?このヤロー!…みんな、こいつ死刑だ、やっちまえ終わりだあー!」
そしてこのまま部活が始まるのだが……いつもより覇気がない一部の部員達。
「館山、ボールを…」
「松野、今度は俺がボール当ててやろーかあー?ハッハッ」
「……ったくあいつら…こんな事でやる気出ねーとは…」
「まあ仕方ないよ、それに松野君は正直だから…実際貰ってる直隆は、彼らの気持ちはわからないさ」
「でもなー…何か向井のやつも地味ーなのがいつも以上に地味ーってしてるしよー」
「ここは…女子パワーが必要かな、どうします?キャプテン」
「…しょうがねーか…もし作ってたら、だけどな………大澤ー!大澤どこだー!?」
香奈はすぐに二人の元へ、違うモノを持って駆けつける。
「高峰先輩ー!大丈夫ですかー!?どこですかーどこなんですかー!?」
「…いやっそうじゃなくてよ、とりあえず落ち着け、話を聞け」
「えっあーじゃあ海堂先輩ですかー!?大丈夫ですかー!?」
「…あっ僕も大丈夫だよ、ちょっとお話を…とりあえず救急箱を置いて、ははは」
そして三人はある話をする、まあもちろんそういうことだが…。
「はい!もちろんですよー!…一応作ってきたんです、私にもこれくらいなら出来るかなーって…」
「…的中、それは良かったわ、とりあえず後で頼むな」
「ありがとね大澤さん、これで少しはみんなやる気になるかな」
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「よーし…休憩!全員集合!…監督来る前にしとかねーとよ…」
そして三人は話を発表し、香奈はみんなにあれを配る。
「うひゃーマジかー!ありがとー!やっぱ女子マネいてよかった…感動した!…大澤最高だー!」
「うおーうめぇ…これで俺らも仲間入りだぞー!わー!」
「…同じマネージャーとして、ありがたき幸せです…」
「ふー意外と単純なやつらでよかったわ…」
二人は一安心、英輔と隼人も美味しく頂いているようだ。
「…あれっ直隆、食べないの?…じゃあ僕がお先に……うわー凄い美味しい!」
「……まあ後で食べるよ、先にあいつらからな」
「ふーん…食べるのもったいないからじゃなくて?ふっ」
「……うるせー、さあ再開だ再開!……大澤もだ」「…はい!」
「……あっ心配はご無用、大丈夫だよ大澤さん、多分一人で食べたいだけだから」
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そしてそのまま部活が終わり、帰路に着いていると…。
「先輩大丈夫かなー…あの量、一人で持ち帰るのって…」
「いい筋トレになるって言ってたけどな、おかげで後半の練習、何か凄かったからな…監督が驚いてたぞ、お前ら今日どうしたんだ!?って」
「香奈ちゃんのおかげだよなー、すげー美味しかったし……あれっ?そんな話のところに香奈ちゃん」
「あっあー英輔君に前島君!…おっお疲れ様ー!…今日は凄かったねー…あはは…」
「確かにねー!香奈ちゃんのおかげだよーなあ隼人!?」
「ああ、それに大澤さんがマネージャーになってから、チームの雰囲気も練習効率も変わってる、凄い嬉しい事だと思うし」
すると隼人、ふとある物が目に入る、そしてそこから大人の対応をした。
「二人とも褒め過ぎだよー…私まだまだ何もしてないのにー…でもありがと…」
「………英輔、悪いけどちょっと用事あるから、先に帰るわ…じゃ!二人とも明日!…」
「えっおーい!…急になんだよー…まさかこれから、ふみかにでも会うのかー?」
(前島君もしかして…ありがとうございます…)
(…あれはなー…あんな紙袋持ち歩かれたら、さすがに邪魔は出来ねーわな)
「あれっ?香奈ちゃんも俺と似たような袋お持ちで……ってことはもしかして…」
「えっあーそっそのこれはその…えーっと…これは…」
「香奈ちゃんも貰ったんだー!凄いじゃーん!…ん?でも男子があげるの一ヶ月後?くらいだっけか、あー!じゃあ女子から…友チョコってやつだよねー」
「…あーれー…いやーそのそうじゃなくて…私の友チョコはバックの中にあって…ってそんな事はどうでもよくて…これはその…なんというか…」
「香奈ちゃーん?大丈夫ー?……帰り道こっちだよー!…」「あっ!…」
そして香奈が駆け寄る、決心がついたのか…。
「その…これは!…英輔君にあげようとしてたものであって……はい!…バレンタインです!」
「…えー俺に!?…ありがと!…いやー今年、何か貰ってるなー…あははー…」
「どっとうかしたの?…嫌だったかな…」
「…いやっそうじゃなくて…中身見ていいかなーって…(もう怪しいものではないことはわかってるからな!)」
「うんうん!…よかったら一つ食べてみてほしいな…おっ美味しくなかったら全然いいから!……うん、あれっ」
「何かすげー!……じゃあいただきまーす……んっ!?」
「えっ!合わなかったかなー…」
「んー……っまい!めっちゃうまいよー!この甘さ一番好きなんだよなー」
「ほっホント!?…よかったー……ほー…」
「うまいなー…こりゃー家帰って食べるの楽しみだよ!……ん?家帰って食べる?……(あれっ?ありゃ…あっ)…ああー!」
すると英輔、来た道を戻ろうとする。
「英輔君、どうしたのー!?…」
「香奈ちゃん!俺忘れ物したー!だから先に帰っててー!……あっこれありがとね!…」
「あっ……(英輔君…まあ明日ね…エヘヘ、渡せてよかったー…)」
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そして英輔は家に帰宅、忘れ物はちゃんとあったようだ。
(ふー……忘れるところしたわ…まっ今年は食べる量が増えそうだなあー!…)
「おかえりなさい、あっそうそう英輔…はい、バレンタインよー」
「あれっ…ありがと母さん、ちなみに今年なこんな感じだぜい」
「あらっ珍しい、誰から貰ったのかしらねー…」
「別にそんなんじゃないよ、マネージャーの子、そうそうこの間みんな来た中の香奈ちゃんだよ!…あとはクラスの子からかな」
「あらー…ずいぶん立派なものだこと…まあ大切に頂くのよ」
そして英輔はそれぞれの中身を確認し始める。
(えっーと…まあ母さんのは後でいっか、とりあえず香奈ちゃんのはうまかったなー!…もう一個食べちゃお…)
「英輔ー、チョコ食べるの、ご飯食べ終わってからにしなさいよー」
(おうふっ…まっまあ一つだけな……うん、やっぱ美味しい……よし、さてと…莉紗のを見ますか……やっぱゴソゴソしてるなー…ホントにチョコなのかー?…)
中身を見てみるとそこには…いろいろなものが…。
(えっ!…何だこれ…あれっこれって…もしかしてみんなも…わざわざこうやって入れなくてもなー……全員に返さないといけないわな…ありがとさん…)
(あの子ったらあんな顔して…そんなに貰えた事が嬉しかったのかしら…こっちも嬉しいわよー)
とりあえず全てを出して、どれが誰かを確認し始める、英輔にとっては今までにない光景である。
(これは…誰だ……おっ麻実か!…普通の感じだな…いただき………!?かっ辛ー!…なんだこれ中に…少し何か…これわさびか!…あのやろー!…口直し口直し…はあー香奈ちゃんの美味いー……もう一個は大丈夫だよ、なー……あらっ普通のチョコだな、何このハズレありますよみたいな感じ……俺も俺で一つ目で当てるとは、ある意味凄いー?……まあ麻実らしいな、次はこれっと……おっ北原も作ってくれたのか!ありがたい……あらー真っ白ー…ホワイトチョコですかい、うん美味い、うん……んでこれは?…おーふみかかー、さすがなのかねー…気を使ってクッキーですか…うんいいね!…一口サイズで美味しいわ、こりゃー隼人のはもっといいので…)
(うわっ!…なっなんだ?急に寒気がしたなー……これも美味いなー…)
(それから…これは西園寺か!……あららー何かデザインの可愛さ…ふむふむ…うわっ!やっぱり西園寺すげー…めっちゃ美味いなこれー…何か食べるのもったいなくなってきたわ、いやーみんな美味しいですわ)
(あらっあの子そんなに良かったのかしら…母さんもいいお店で買ってきたのよー!)
そして最後のものは…一番下に大きくあった。
(えっこれ…もしかして…莉紗がー!?…ずいぶんと大きいな…まあありがたいけどさ……じゃあー…オープンザボックス!…)
英輔は座ってたソファから後ろから落ちた、豪快に。
(はあー!?……目が点になるってこういう時に使うんだよな…だー!何だこの…大きなチョコはー!しかも…何だよこのハートは!…ハッピーバレンタイン英ちゃん、だとー!?…だめだ…あいつ…やっぱ何考えてるかわからん…何しだすかわからん…はは、あーあー…まあ食べないとな…でも何か出して食べずれー!)
(あらっまたあの子、ついに嬉しすぎておかしくなってるわね…)
(…とっとりあえずこやつのは後にしよう…箱ごと冷蔵庫に持っていけば………んっ?あれ何か落ちた…)
落ちたのは小さな白い封筒が…。
「(あれっ…これ何だ…英ちゃんへ、俺にか、まあそうだよな……あれっこれって…)…手紙?」
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翌日の朝、学校では昨日を振り返っていた。
「…英輔のやつ、びっくりしてるだろうなー、みんなの分もあるし、うちの特別なチョコもあるし」
「えっ?何ーもしかして英輔のやつに入れたのー?…あいつすぐ当てそう…」
「麻実ったら…松野君、苦手だったらどうするのー?」
「まあ私のホワイトチョコで還元出来るから大丈夫」
「英ちゃん…ちゃんと食べてくれたかなー…」
すると英輔も登校、男子は早くも異変に気付く。
「…どうした、そのどよーんとした変な顔は…シャキッとしろよー!おい…おーい…」
「何ー?…英輔のやつ、また元気ないのー?気分の変わりようが激しいやーつ」
「松野君、体調が悪いんじゃないかな?…大丈夫かなー…」
「……あー康之、大丈夫だ…あんまり寝れなくてよ…ただの睡眠不足だわ」
「…珍しいな、まあ寝るなら今だけど…今日の授業はなかなか寝れないかもな」
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そして例の昼休み、そして例のいないパターン。
「あいつ…またいないって事はあそこか?…また西園寺に行かせるのかよー…」
「そうかーしょうがないから美愛だねー…じゃ、美愛ー頼んだ」
「……また私にそうしなーいで!…もう…それに今回は理由が明白じゃないでしょーが!」
「確かに昨日はバレンタインで学校中が賑やかだったのに、そんな時に何かあるかー?」
すると、あの人が気になり始める。
「みんな…あの、あそこってどこなの?…いつもそこに行くの?教えて!」
「あれっ気になるー莉紗ちゃん?あいつの特等席、何なら見に行ってみるといいよ!」
「じゃあ今回は篠原にお願いするか!頼んだー」
「そろそろ二人のどっちかも行ったほうがいいんじゃないのー?」
「実は気になって見に行ったんだよ、よく見つけたなーって感じだわ」
「何かいずれ伝統の場所?になるらしい」
「…わかった!私が行くね!…」
そして例のごとく、莉紗は教えてもらった場所へ…ここだけは案内されていないので困惑。
「すごーい…こんなに広いんだー…(ここに英ちゃんいるのー?………えっ何この通路…)」
「…だからストップ、何回危ないって言えばいいんだよ…どうしたんだー……って…」
「…あっ英ちゃん…ホントにいた、すごーい…」
「……何でいるんだ…おいこら、まああいつらが教えたんだろーけど」
「すごーい…けどさ、寒くないの?」
「いいんだよこれくらい、ここだけは違うからさ」
「とりあえず…話そっか」
あれっこの展開からの終わり方、どこかで…まあ気にしなーい気にしないっと…。




