Daily 3 〜二人〜
入学から二週間が過ぎ、徐々に学校に馴染み、様々な会話や行動が見受けられる一年生のクラス。
部活動では部員や練習にも馴染んできた男子が一人…。
海堂直伝の練習やトレーニングを含め、チームメイトとの関係も良くなってきたようだ。
そんなある日…朝。
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「くそっ!また母さん同じ起こし方しやがってー!…まあ急げば間に合うかー!」
寝坊気味でいつものように遅刻しそうな英輔、自転車で学校へ急ぐ。
(やっぱ先輩のトレーニングのおかげかなー?どんどん走るのが楽になってるし、何より早いー!!)
気のせいである。
そしてコーナーを曲がった直後、直線を進むと…急なブレーキを掛ける、どうした危ないではないか…あっ君はどうして…英輔はやはり止めざるを得なかった。
「んっ!?あっあれ西園寺!?」
「えっあっ松野君!何でー!?びっくりしたー!」
「って何してんのーこんな所で!?」
「なっ何もしてないよー!ただいつも乗る時間じゃないバス乗って、遅刻しそうだから走ってるんでしょー!?」
「あっそうだよなーだよなー…何か俺と同じ状況だなー!」
「もう本当にやばいよー…皆勤賞したかったのにー…」
「ふーむ…珍しいよなー西園寺のこんな感じ」
「どんな感じだよー!…とりあえず諦めない!走る!」
「ちょちょ待てって!…さすがに無理だって!」
「でもー…ほらこうしている内に時間も過ぎてるしー…」
「まあまあ落ち着いて……あっ!!」
するとバカがバカなりの案を思いつく。
「そうだ!にけつしよう!にけつ!!俺のスピードなら間に合う!先生にも上手く言うし!」
「えっ!…でも…いいの?大丈夫かなー…?」
「余裕っしょ!野球部、なめんなよー!」
「あっそうだった!松野君、野球部だった!」
「って忘れてたのかよー!…まあとりあえず後ろに!」
よくしていた青春の醍醐味の一つ、制服でするのがさらに良い感じであったね…さあ果たして間に合うのだろうか…。
「しっかり掴まってろよー!」
「あっうん…危ないからゆっくりね…怖いから…うん。って、えっ、はっ速いってえぇー!!」
すでにスピードをあげた者、スピードで唖然とする者。
「もっとゆっくり!松野君!ゆっくり!」
「このくらいじゃないと間に合わないって!それに下り坂入れば慣れるって!」
「そうだった…この先じゃん!!」
この地域の名物、よく出来た坂である、帰り道大変そうにも見えるが、登下校で道を変えるそうだ、そして美愛の叫び声が大きく住宅街に響く。
「キャアァァーー!!!」
「イヤッホーーウィーー!!」
「松野君!!人もいるし安全運転!!」
颯爽と駆け抜ける二人を乗せた自転車が、間もなく学校へ。
「いやー最高!!風が気持ちイイー!…一種のアトラクションみたいでしょ!」
「ふぅ…もう朝から大変だよー…はあ……!?!?あっ……」
「よっしゃ間に合いそうだなー!良かったなー西園寺!…ん?どした?」
「えっあっ何でもない…ありがと!急ご!」
そして二人はギリギリ到着し、間に合ったのだが…。
「松野ー気持ちは分かるがにけつは危ないしダメだなー」
「先生ー俺は救いの手を差し伸べただけであって…」
「うるさい、お前は何するかわからないからなー…自転車禁止にするぞコラっ」
「そっそれだけは勘弁をー!!すみません!もう猛スピードで登校しません!」
「だからにけつをするなと言ってるんだ!わかったか!って待て松野ー!!」
「ごめんなさーい!!(先生怖いよー…)」
ピンチになると逃げ出す、これは野球には活かさないで頂きたいものだ。
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「ふう…何とか逃げ切った…」
「英輔ーまた朝っぱらから何かやらかしたのかー?」
「いやったいした事ではないよっははっ…ふー」
そしてホームルーム後。
「松野君!ちょっと…」
ひそひそと話をし始める二人。
「西園寺、大丈夫だぞ!何故か俺だけのせいになったから!」
「本当にゴメンね…何か私も悪いのに松野君だけ…」
「俺は慣れてるから心配なし!それよりあのアトラクション楽しかったでしょ!?」
「ま、まぁねーあははー…(まったくこの人は…)」
「あとさ…何か結構掴んでたよね…手で」
「そ、そりゃーそうだよ!あれだけスピード出されたら…ちゃんと掴まってないと危ないもん…」
「まあなんだかんださー…下り坂の所とかはそれ以上…密着してたなーなんてなー…」
「えっそんなに…くっついてたかな…」
「うーんどうだろ…腕…回してた時あったような…」
「きっ気のせいじゃないかなーうん!」
「まあそうかー…俺も必死だったし…気のせいかー!」
「うん!…でもありがと!遅刻しなかったし…何か楽しかった!」
一瞬驚きの顔を見せる英輔。
「(ふっ)俺も!久しぶりに後ろに誰か乗せたなーしかも女子を!」
「何だーずいぶん仲良くなってるねーいつの間にー」
例の連中のヤジが入る、こういうことは高校生らしく敏感である。
「あっいや普通の話してただけだよーなー!」
何度も頷く美愛。
「へー、まあ英輔は影で危ないからなー、気を付けなよー美愛」
「んー確かに俺らも知らないことあるからなー」
「誤情報やめーい!ってお前らも仲良くなってるじゃねーかよ!」
「今さら言うなよーみんな友だぜーわーい」
「何か…仲良くなったねみんな…松野君も…ね?」
何度も頷く英輔。
(やっぱ走っててもわかったわー…あの感触…触れるとあんなにいいんだなー…それに西園寺…いい匂いが…)
つい顔が緩むバカと同時に、
(無意識に腕回しちゃってたなー…まあ気付かれてないよねー多分…でも何か…良かったな…)
つい笑顔を見せる美少女は…。
「えっどうかした!?」
「そっちこそ何かニヤケてるよー?」
「いやー俺って運がいいなーって思って」
「遅刻しそうだったのにー?ふふっおかしいなー松野君って」
くすくす笑いをする二人。
「はいはいはい、そこそこ、次の授業の準備は?」
「……やばいっ」
焦って準備をする二人、思いは秘めたままが青春を謳歌する一つの方法、しかし鈍感が過ぎると未来に繋がりは生まれない、何にせよ、この出来事が未来を明るくした時間には変わりない。
若い時代の青春、それが成長する糧となって、君達にとって大きな財産になるだろう、ちょっといい事言ってみた。