Daily 29 〜再会〜
ポン…ポポポポポポポン…オーンウィーンパーン…パラララランー……。
新年明けましておめでとうございます、昨年はご厚情を賜り有り難うございました、今年もよろしくお付き合いのほどをお願い申し上げます…。
「母さん!…こんな感じなんじゃないの?…あれでよかったのかなー…」
「新年の挨拶よー、このくらい普通じゃない、ちゃんとみんなにもそうするのよー」
改めて…新年になりました、また一つ年を数え、英輔にとっても大事な一年となりそうだ。
「ん?やっときたな…英輔のやつか…何だこれ、この例文みたいな文章…」
「すげーなコイツ…いいじゃん」
「何かきた…あっ英輔からか………ぷっ何これウケるー…」
「…まあ英輔にしては頑張ったか…どうも」
「…このフレーズ…何かのCMみたいだな…まあ俺からも返すか…」
「…ん?あれっ松野君からだ……丁寧にどうもですー…あはは…」
「あーもしかして届いたのー?彼なかなか面白いわ」
「…松野君…あけましておめでとう…(勝負の年だね、お互い頑張ろう…)」
・
・
・
・
・
そして時は過ぎ、冬休みも終わり、いよいよ新学期へと突入、このクラスとの学校生活もあと三ヶ月。
「何かあっという間だなー冬休みも一年も、もうすぐ二年生かークラスどうなるだろうなー」
「俺的にはなんだかんだ、またいつも通りのメンバーで一緒になる気がするけど」
「そうだよねー、男子いないと何か寂しいかもなー…」
「えっ麻実はそういう理由だけじゃないんじゃないのー?…離れたらねー…」
「はっふみかはホントは前島君と同じクラスになりたいんでしょーが!」
「まあまあ、みんな一緒だといいね!…先生達もそういうのはよく見てるはずだよ」
「そうだよなー、英輔ももちろん……あれっ?あいつまた変なポーズしてる」
「何か投球モーションの欠点を自分で改善するために映像見てるんだと」
(どうしても変化球…特にスライダーがわかりやすいかもなー…こうか?こうなのか!?…)
「ふーん、まあいいや、あっ!…ところでさ、何か転校生来るらしいじゃん!あれってどのクラスなのかな!?…イケメン男子がいーなーん…」
「はは…何かそうらしいけど、隼人君のクラスじゃないらしいよ、人数的にうちのクラスの可能性大かもよ?」
「おーマジか!…やっぱ亜星は美女の宝庫…転校生も多分そうだろうなー…」
「(この二人ったら…)…でもこの時期に転校かー…何か…せっかく仲良くなっただろうに…」
「……よーしお前ら席着けー!…軽くホームルームするぞー…」
「ちょっと先生!転校生来るんですかー!?どんな人ー?」
「こらこら…お前ら、そういう話だけはよく聞いてるんだなー…まあまあ確かにそうだ、今日からうちのクラスで仲良くしてもらうぞ、ちなみに女子生徒だ」
このワクワク感はクラス一同が
持ってしまうもの、特に男子はね。
「とりあえず今から呼んでくるからちょっと待ってろ…」
「ねーねー女子だって!仲良く出来るといいなー」
「イケメン男子じゃなかったかー…ちょっと残念」「おいコラ」
「どんな子だろ…こりゃー楽しみだぜーくうー!」
(もしかしてグローブの位置か?…でも向きは一緒にしてると思うんだけどなー…うーん…)
・
・
・
そして先生が戻ってきた、廊下にはもう転校生が来ている。
「お前ら騒ぐなって、緊張しちゃうだろ…よーし入っていいぞー!」
(そうか!わかったぞ!踏み込みの方向だ!……よーし早速腕もつけてやっ…………えっ?…!?)
クラスがざわつき始める、そこには康之の思っていた通りの…。
「ほら修一!だから言ったろ!…めっちゃ可愛いじゃんか!」「ホントだな」
「あのー…初めまして!…篠原莉紗です、えっとー…仲良くして下さい!よろしくです」
早速、いろんな質問が飛ぶ、男子はプライベート感だし過ぎ。
「おいお前ら…ちゃんと仲良くしてやってくれよー!とりあえず席は、後ろのあの部分が空いているのだが…そうだな、机と椅子を空き教室から持ってこないと……えっと今日の日直は………松野!…」
(えっ…松野?………!!)
「選択教室から一セット持ってきてくれ、篠原はわからないからな」
すると……英輔は何も言わず、教室を出る。
「…まったくあいつは…篠原、ついて行ってくれ…すまんな…(いつもなら一つや二つ、何か言ってくるのだがな…)」
・
・
・
「ちょっと待ってー!…あれっここか、何かすいませーん」
「…とりあえず…これでいい?…あっ俺が持ってくからいーよ」
「…重くない?」「全然」「…元気?」「普通だよ」
「…そんな感じだとは思わなかったなー……せっかく久し……えっ?」
「あのな…………いきなり目の前に、見たことある奴いたら、驚くに決まってるだろ!」
「…あれっなんだ驚いてたんだ!…てっきりそうじゃない感じだったからなー……私もちょっとびっくりしたよ」
「…何でだ…何故こうなってんだ…と、とりあえず今は…馴れ馴れしい感じだとマズイから気を付けろよ…」
「えー……言えばいいじゃんかー!…もう聞いてるー!?……ふーでも…へへっ久しぶりだね、英ちゃん」
・
・
・
「__とりあえず、あの呼び方だけは絶対ダメだからな!いいな!…__」
(そんな事言われてもなー…はあー…)
そしてやはり転校初日というのはまだ壁があるものだ、何を話したらいいかとか、いろいろ周りは考えてしまうものだ。
「あっあのー莉紗ちゃん?…私、西園寺美愛ですー……よろしくね」
「…美愛ちゃん……超可愛いー!やばーいすごーい!」
「えー!…いきなり…いやいやそんな事は…莉紗ちゃんこそだよ!……絶対モテるでしょー!?」
「……ちょいちょいー…うん、でもみんな可愛いね、やはり噂は凄いなー…」
「何か西園寺のやつ話してるな、珍しい光景…まあ何か見た目とか雰囲気とか、少し似てる気がするわ、髪型違うだけで…」「確かに」
その話が聞こえた英輔は、背中に何故かゾクっときたそうだ。
・
・
・
昼休み、昼食、やはり教室ではまだやや変わった雰囲気が…。
「莉紗ちゃんも含めて…でも何か忙しそうだしー…やっぱ転校って大変だね」
そのまだ一人だけの空気感の莉紗を見て、さすがに思ったのか…この男、動く。
「…篠原、ちょっといい?…何か先生がさー日直だからって昼休みにでも学校案内してあげろ!ってうるさいんだよねー…だから時間あるならついてきてくれる?…まあ忙しそうな所悪いけど」
「…(英ちゃん…)…うん、大丈夫だよありがと!…じゃあお願いしようかな」
そして二人は教室を出て行った…のだが、あいつらは…。
「英輔のやつ…学校案内なんて頼まれてたかー?…まっさか…あいつイイとこ見せようとして…ちくしょー!」
「まあ確かにめっちゃ可愛いからねー、女子も羨む美愛ほどの可愛さ、もしかしてタイプなのかねー?」
「いやー…多分そうじゃないと思うけど…松野君はそんな柄じゃないと思う、ただ…この感じが嫌だっただけかもよ?」
「ま、英輔が考えて行動しそうなことだわね、またあいつの良い所が出てしまったってやつね」
「何だよー…ったく、自分だけいいとこ取りかよー…俺らもいるのによー」
・
・
・
「…急にどうしたの、英ちゃん…みんな不思議がってたけど…」
「別に…俺があの立場だったら、何かモヤモヤして我慢出来ねーなーって思っただけだよ」
「…ほーんと、変わってないねそういう所、まあそれが英ちゃんのイイ所なんだけどね」
「…とりあえず、視線は気にすんな…食堂行くから」
「…何か見られてるよねー…そりゃーそうだよね…」
「見たことない人いるわ、その上見た目良いんだから、余計気になるに決まってるだろ」
「…へー…やっぱ英ちゃんも可愛い子だと気になるんだー、じゃあ私も?…みたいな」
「それはー…さっき言った通りだわ、目はいきやすいってこと!」
二人は食堂の販売している近くの場所へ。
「はいこれ、おばちゃん自慢のポテト、そうだよねーおばちゃん!ナンバーワンだよねー!」
「そうだよー、ありがとねーいつもいつも、」「あっ…美味しい!」
「…まあ席座って……それで?…今回はどうして急にこんなことに?」
「英ちゃんだってわかってるでしょ…親の都合で転校多いから、でもこの学校来たのも、英ちゃんがいたのもたまたまだよ」
「まあそうか…あの時みたいなことばっかなんだな…じゃあ今回もいつどうなるか…」
「もっもう嫌なこと言わないでよー!…まだ大丈夫です、それに……せっかく英ちゃんに会えたのに…そんなの嫌だよーだ」
「なっなんだよそれ…(変なこと自然に言うからなーこいつは…)…まあゆっくり慣れていけばいいっしょ、一応俺もいるし」
「うん!英ちゃんいてくれて良かったー…」
(だっだからこいつは……一応俺、お前に…)
「あっところでさ!…何かやってるの?部活とか」
「えあー!?…あっあーまあやってるよ、野球、ピッチャーね」
「へーそうなのー!?…野球かー…んっ?英ちゃんやったことないよね?」
「そうだよ、だから今必死に先輩と特訓追求中!…まあこれからだよ」
「そっかー…頑張ってるんだ、んー確かに何か見た感じ違うかも、身長も伸びてるね」
「そりゃーずっとやっていれば変化するわ、自分でもちょっと驚きはある」
「ふふっ…いいね、英ちゃん…前よりも……ちょっとカッコよくなったね」
「えっ…あーそう?…別にモテる訳でもないし、そういう対象で見られてないよ」
・
・
・
二人は教室へ戻る途中、あの好青年とすれ違う。
「あっ隼人!…ちゃんと映像見たぞー!何となくわかった気がする!」
「ああ……なあ英輔…隣の方は…ああークラスのやつが言ってた転校生の方?」
「あーそうそう、ちょっと……学校案内をしてあげてたもんで」
「なるほど…どうも、宜しくです、何かあったら英輔に頼ってください、こいつ何かと使えますので」
「おい隼人…」「はい、ありがとう!じゃあ……松野君、戻りましょ」
「おいー……隼人ーとりあえず部活の時に詳しく話すわ!」
そしてまた二人になると…いきなり莉紗は…。
「英ちゃんの相棒かー……めっちゃイケてるね!カッコイイ!…ちょっとタイプかもなーなんて」
「あっあいつには今、いい感じというか、もはや彼女の様な存在がいるんだよ!」
「そうなんだー…ぷーん…あれー?英ちゃん何ヤケになってるのー?」
「別に…ただ大切なバッテリーなの!」
・
・
・
そしてクラスへ戻ると…またいきなりあいつらが…。
「…おーい英輔!…飯行くなら俺らも誘えよなー!…篠原も交ぜてみんなで食べたほうが美味いっつーの!…」
「そうだよー、せっかく莉紗ちゃんと話そうと思ったのにさー…どっかに連れてくからさー…」
「いやっ俺はただ、食堂までの行き方とか案内してやっただけで…」
「ふふふっ…ありがとね松野君…改めて…よろしくね莉紗ちゃん」
「……まあ、そういうことらしいぞ、莉…ヴーん篠原…」
「……うん!みんなよろしくね!」
クラスのあの雰囲気はだいぶなくなった、これも英輔の凄さなのかもしれない。
「それにしてもずいぶん馴染むの早いな、やっぱまさか狙ってんのかー?」
「はっ!?普通に考えてみろボケ!俺が一番初めに絡んだからそりゃーそうだろー…」
「ホントー?…莉紗ちゃん、変なことされてない?大丈夫?」「なっ!?」
「えっうんうん…大丈夫、英…彼からいろいろ案内してもらって、凄い助かったよ」
「どうだわかったかお前ら!…俺はこういう人柄なのさー!ははー!」
「ねえふみか…何か松野君変じゃない?いつもの感じじゃない気がするんだけど…」
「そうー?相変わらずの優しさ持ち寄るおバカさんにしか見えないけどー?」
何か違和感を覚えるのは美愛、さすがわかっているな、他の会話も何か変。
「…んっ?…英輔、お前さっきから何言ってんだ?新しい口癖か?」
「えっ?…俺はいつも通りだけど、別に変じゃねーだろ?」
すると、一方ではついに…。
「…莉紗ちゃんちょっと……もしかして……松野君のこと…名前で呼びたい感じ?」
「えっあー何ていうか…何というか…あははー…うーんそうでもいいかなーって…」
「あーやっぱりそうなんだ!…大丈夫だよ、きっと…(って言ってる私は呼んだことないけど…)」
「じゃあ…美愛ちゃんも一緒に!私が呼びやすい…というか…そんな感じで!」
「えー!?…私は…松野君、だからなー…」
「聞いたわよ…普通に英輔!って呼べばいいのよー!それとも特別な感じ?よーしとりあえず…英輔ー!来ーい!」
「何だよ…そんなに大きい声で言わなくても聞こえるわ、英輔は俺しかいないんだから…」
「二人が呼んでみたいいい方?ってのがあるんだって、名前じゃなくて」
「…はっ!…ちょっと待って…おいまさかな…おい」
「…そういうこと!…やっぱり私はぎこちなくなるからいつも通り呼ぶね、わかった?……英ちゃん」
「えっ…えー!莉紗ちゃん何それー!?…っていつも通りってどういうこと!?」
「あっそれはー…まあ後ほど詳しく、ねー…ふふ」
「へー……英輔が英ちゃん、ねー……あれっ…ほら美愛も言わないとーほらー」
「さすがにそれは…やっぱり私は松野君が慣れてるし…それに私が英ちゃん、なんて言ってもねー…ほら何か……あっ」
「…何か西園寺に言われると、ちょっと違和感あるなー…俺も困るわー」
「あっあー……」
「でもいいと思うよ!…可愛い子に言われるの嬉しいでしょー?英ちゃん」
「まっまあそうだけど…やはり慣れが肝心、まあ俺のことは好きに呼んでいいわ、わかる範囲で…」
麻実のニヤニヤ顏を美愛はいつもの顏、莉紗は笑顔、ふみかはちょっと澄まし顔。
「…みんなしてホントいじわるー……わっわかった!大丈夫、普段でも英ちゃんって呼ぶもん!……松野君が嫌じゃないなら…それでいい?」
「あらー…別に強制したつもりじゃないのになーん、それに今も松野君って言ったけどー?…キシシ…」
「……麻実ー仕返し覚悟してよねー!…ちゃんと言われ慣れるもん、そうだよね?……英ちゃん…」
「西園寺…無理しなくていいぞ…ちょっと俺もやっぱ困るからよ」「大丈夫!」
「うわー!美愛ちゃん可愛いー!英ちゃんったらー、こんな子にそう言われて幸せだと思わないのかー!」
(はは…対象を考えなされ…いきなりは大変だっての……でもそうなると…俺も名前で言ったほうがいいのかな?…)
しばらくは会話に違和感がある日が続きそうだ。
「うちらは普通に名前で言ってるねー、最初からだよね?」
「片桐さんって感じじゃねーからな、修一もそう思うだろ?」
「何故かな、麻実だけは麻実なんだよな」
「ふーん…じゃあちゃん、とかつけてみるー?」
「大丈夫、俺は笑ってないからな、康之は堪えてるけど」
(莉紗ちゃん凄いよもうー…でも何で英ちゃんなんだろ?)




