Daily 28 〜宅泊〜
「おー康之、やっと降りてきたかー、丁度そろそろお開きにするかーって話してたとこだ」
「ん?…あーうん、麻実…まだ寝てるけど、どうする?…」
「それなら寝かせておきなさい、無理することはないわよー…泊まっても大丈夫だから、うふふ」
「はい…まだ時間はあるし、俺も後片付け手伝います」
「おーサンキュー!…何か西園寺もあの様に、母さんの手伝いしたいらしいからさ」
そしてクリスマスパーティーはお開き!…となったのだが…。
「何だ修一、案外男らしいとこあんじゃん、まあ女子一人の夜道は危ないもんな」
「そう、とりあえず北原送ってくるわ、ふみかは前島君が送るらしい」
「ほーほー…隼人!…しっかりなーおーいー」
「何だそのいつもに増してヘンな顔は…同じ方向だし、さすがに一人は危ないからね」
「ありがとね……あーとりあえず、麻実のこと頼みましたわ、まあ康之が何とかしてくれるでしょ…ママさんすみません、お先に失礼しちゃって…」
「大丈夫よー、ちゃんと手伝ってくれたし、美愛ちゃんもいるから、ねー」
「ふみかはとりあえず帰らないとーふふん」
「とりあえず英輔、香奈ちゃんはお前が見送ってやれよ」
「えっ!…あーでも私一人で大丈夫だよー?…あはは駅までだしそんなにねー」
「そうだな!…よしちょっと送ってくるわー頼みましたー」
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六人でとりあえず帰路を歩いていく、みんな方向は途中で分かれる。
「…北原がこっちらしいから、ここでだな」「森岡…サンキュ」
「じゃあなー!………あいつら…何かイイ感じに見えねーか?」
「確かに後ろ姿は様になってる、どうなんだろーねー」
「お前ら二人も…充分様になってるけどなー!?…だろー隼人君?」
「…ま、まあそりゃーそうだろうな、ふみかさんの後ろ姿凄い良いからな」
「そんなこと…ないってばー……英輔!隼人君が良いからそうなるんだよね!?」
「……はいはいヘイヘイ、どっちでもいいですよーはい」
そして二人とも別れ、駅方向へ…。
「前島君とふみかちゃんって……付き合ってるのかな?…」
「さあー…でもデートもしてるらしいし、既に付き合ってるのかもしれないね」
「そっかー……何かいいなー…ああいうの…」
「えっ?……香奈ちゃんはああいう恋愛したいの?…(みんなそうなんだなー…)」
「わっ私はその……(英輔君と…なんて言えないよー!わー!…)」
「香奈ちゃん大丈夫?…前見て歩かないと危ないよ、ドジなとこが出てしまうぞー」
「そんな事ない!普通だと思います………ぎゃ!…痛ー…」
「だから言ったのに、電柱にぶつかる人初めて見たよ、あっ血がドバドバ出てる」
「わざと言ってるでしょー!?でも何かここが痛い、でも大丈夫!」
(香奈ちゃんっぽいところが、こういう所なんだろうな…)
(充分楽しい…これでいいよね…うふふ…)
「んっ!?……うわっと!……あの車危ねえなー……ここ車よく通るから気を付けないとね…!?」
二人の身体は密着していた。
「英輔…君……あっゴメンね……(美愛ちゃんーやっぱり無理ですー!…)」
「あっ…大丈夫だよ、それに何か風も冷たいしさ…寒くない?」
「あっはい……大丈夫ですー…」
そうして二人は駅付近に到着。
「…じゃあ香奈ちゃん、また部活でね!風邪引かないように」
「…うん、またね…(まだまだこれから!よし!)」
香奈は美愛から言われたことを思い出しながら、英輔に笑顔で手を振った、英輔も振り返す。
(そうだよね…私も立派にならないと…そう決めたから…もし…そうなったら……英輔君に告白しよう…)
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英輔が自宅に戻ると、何やら慌ただしくなっていた。
「何だー?…おっ麻実起きたのか、どうしたんだー?」
「二人、泊まるんだと、まあ一応俺もって事で…ママさんもOKだと」
「母さんマジかよ!?…大丈夫なの?」
「あらー仕方ないじゃなーい、美愛ちゃんが急に迎え来られなくなったらしいのよ…さあ英輔、いろいろ準備しましょ」
「わーいわーい美愛とお泊まりー!……お姉さまがいろいろ教えちゃうぞーう、うへへ」
「はあ…もう…何か急にゴメンね、まったくお姉ちゃんのせいで…」
「あれっ千薫さんがか…まあいいよ、じゃあ康之、布団とか準備するの手伝ってくれ」
「そうだ美愛ちゃん麻実ちゃん、私とあれを買いに行くわよー、お風呂も入らないとダメでしょー」
「えっホントですかー!?やったー!美愛行くよー!」
「何か母さん機嫌がいいな…やっぱ普段、こんなに賑やかなことないもんな…」
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そして事を済ませた男二人は…何やら談笑…ではなく。
「なるほど…降りてくるの遅かったの、そういう事なのか…へー何かスゲー」
「関心してる場合じゃねーよ…とりあえずこれはシーっで…俺もどうすりゃいいかわからねーんだから…」
「…ゆっくりでいいだろ、別に今すぐなんて誰も言ってないし、みんなも静かに見守るさ」
「とりあえず気まずくならない感じにはするよ、おっ帰ってきたみたいだな…くれぐれもホントにナイショだからな」
「あら、英輔準備したのかしら?……そう、じゃあ後は…二人の寝巻ねー…いらっしゃーい」
「ママさん、何か楽しそうだな…すげー若いな」
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「よし、風呂オーケーっと……タオルここに置いといたよー!……じゃあみんなお先にどうぞ」
「よーし…じゃあうちと美愛がおっ先ー!」「えー!!」
「もうー、そんな顔しないでさー…一緒に入ろうよー!女同士!…二人で体洗いっこしようよーう」
「えー麻実……絶対変なコトしてくるもん!…もう顔に出てるし!……あーもう引っ張るなー!…」
「はは…あいつただのエロオヤジだな…はは…スゲーやつだな、康之」「俺に聞くな」
すると二人がお風呂に行くと同時に、英輔の母が康之に尋ねる。
「…正直、いいと思うわよ彼女、康之君に合ってるわ」
「えっいやっ…別に彼女とかではなくて……って何でママさんそれを…」
「……ふふっただの女の勘よー、仲良くね」「…はい」
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そして二人の声が聞こえてきた、どうやらあがったようだ。
「お風呂よかったー、スッキリーしたー」
「なっ何その格好!?……えっもしかして母さん、こんなの着てんの…」
「あら失礼ね、最近はこういうパジャマが流行りなのよねー」
「そうです、ママさんさすがですー絶対似合いますよね」
(年齢的に厳しいと思うんだけど…知らなかったわ…)
「じゃあ俺先行くわ、男二人ではキツイものがあるからな」
「当たり前だわボケ!あのスウェット着てこいよ」
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「くっくっく…やっぱスウェット似合いすぎ…普段着にしか見えねーよ」
「お前らな…笑いすぎだ!これ一番いいんだぞゴラ!
「じゃあ俺も入ってくるわ、飲み物冷蔵庫にあるぞー」
「………私…お茶とってこよーっと…」
ソファからきた美愛に母から静かに一言。
「美愛ちゃん…賢い女になることもわかってるのねー」「…えっ?…」
「……耳かして」「えっなっ何?」
「…さっきまでの、秘密だからね、うちがああいう事言ったりしたことも…」「…心配すんな」
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「ふーいい湯だったぜー…さてとコーヒー牛乳…」
「…まっ松野君!何で上…何も着てないのさ!…着てよ!」
「あっ…ついついいつも通りの状態で…ほら、一応タオルで隠せてはあるでしょ」
「そっそういう問題じゃない!…麻実もそう思うでしょ?…ん?」
「ほー……英輔…案外いい体してんだね、ちょっとビックリ…」
「確かに前よりガタイも良くなってんな、制服だと気付かないしよ」
「…うーんやっぱ野球し始めたのが大きいよ、変化してる感じはする……西園寺、これでいい?」
「うん……まあ松野君、頑張ってる証拠だね」
「だといいなー……ん?何かいい匂いが……あっ西園寺の髪ー!」
「えっ多分シャンプーだと思うけど…そんなにかな?」
「イイ感じだわな英輔、いつもの西園寺とは違う雰囲気ってやつだ」
「うん、学校の西園寺より何かポッってなってるし、いい感じで可愛い!」
「だっだから…お風呂上がりの効果だってば…普通な感じ!」
麻実が母とこれを見て話をしていた。
「英輔ったら…あんなにストレートに言うのかしら…女心わかってるのかしらねー…それとも、美愛ちゃんのこと好きなのかしら?」
「あーそれはないんですよねー…あいつ自信のあることだったら、何でも素直に言っちゃうんですよねー…美愛のほうはどうかはわからないですけど、あれだと勘違いさせちゃうかもしれないですね…まあでもそれはそれでいいと思います、それが英輔の一番いいとこだって事、みんなも分かってますから!優しさも含めて、憎めない奴なんで………こらー!うちだっていい匂いするでしょー!?…」
(そうね…私ったら…ね…あなた……英輔は、いつの間にか…心からも成長していますよ…)
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四人は事を済ませて就寝の時間に…ん?あれ何か眠い…。
「英輔のやつ…真っ先に自分のベッドで寝やがって…一番大きいのによー」
「じゃあ橋本君が隣に…ってのもありじゃない?」
「俺はこっち、じゃないから…まあ仕方ないからこの一人用で、二人はこの大きい方の布団で…」
「ぐふふ…美愛と一緒に寝れるーん…」「またエロオヤジ」
「あーでも西園寺、そこ気をつけろよー、落下物注意、じゃあ電気消すぞー…」
「えっちょっと…落下物って…」
「美愛ー美愛ー…うふふん…」
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数分後、美愛も少しずつウトウトと…ところが…。
(眠くなってきたかも…麻実ったらーはあ……そういえばさっきの落下物ってなん…!?…)
突如、とてつもない大きな悲鳴が部屋に響き、さすがに起き上がる他二人、パチッ。
「なっ!なんだなんだ!?どうしたー!?」
「あれっ美愛でしょ大丈夫ー!?…んっ顔抑えてるけど…えっもしかしてこのボール?」
「…わかんないけど…急に何か顔の真ん中にぶつかった…イタイ…」
「…あーやっぱり落下物、英輔のボールだ、しかも硬球のだから痛いよな…」
「んー…あれ…どうしたんだーあ…寝ないのかー……ムニャムニャ…」
「んー……松野君!何でここにボールがあるの!…ホントにビックリしたし痛い……あらっ」
「…あっ俺のボール…これ大事……オヤスー……スー…」
「えっちょー…イタタ…橋本君、また落下したりするの…?」
「まあ…ベッド大きい分、ほれ、色んな物置いてあるし、ボールあるし…何個かは落ちてる時あったな…」
「えー……うーん…じゃあさー麻実ー場所変わってよー…」「やだ」「橋本君…」「さすがに俺も…」
「むー……これじゃあ寝れないよー…むー…」
「そうだー……せっかくベッド大きいんだし…美愛もベッドで寝たらいいんじゃなーいん?」
「!?…ダメだよ!…だって…松野君の邪魔になっちゃうし…」
「大丈夫だってー!…一泊するくらいなら、隣でもいいじゃんかー…なにー、隣で寝れない特別な理由でもあるのかなーん?(ぐへへー)」(こいつはまったく…)
「………わかったよー……別に大丈夫だよ!…うん!…じゃあ寝ましょー!…」
再び三人は就寝、のはずが…やはり…数分後。
「松野くーん…入るねー……たくー二人も一緒に寝ちゃえばいいのにーい…」
美愛はさすがに背を向け、小さなスペースで小さく寝ている…すると…。
「んー……誰ー……あれー西園寺ー?…」
「あっそのこれはね…落下物避ける為に仕方なく……ん?」
「それだけだったら寒いでしょ……言ってくれればいいのに…」
英輔はさりげなーくスペースを空け、毛布をたくさんかける。
「そんな大丈夫だよ!…少しでも全然…ヘクチッ!……んっでもありがと…あれっ松野君?……寝てる?…」
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チュンチュンチュン、爽やかな朝、あの二人は先に目覚めていた。
「今日もいい天気だな…それにしても二人…起こすか?」
「えーどうしようかー…何かあまりにも新鮮な画だしさー…美愛ったらなんだかんだでこんな感じだし」
「まあ…寝てる間なら自然に近づいてるのも無理ねーだろ、やはり人間だもの」
「そうだね、一応美愛が自然に目覚めて、自分で驚くまでこのままにしておきますか…」
「ふん……それより麻実…俺起きた時、何でまた隣で寝てたんだよ…」
「さあー…ぬくもり欲しかったんじゃないのー?…一泊するくらいなら隣でも、いいでしょ?」
「まあ…寝にくくは無かったからいいよ…昨日みたいに変なことしてないならな」
そして二人は一階へ、すると朝ごはんがあり…。
「…これ、ママさん作ってくれたんだー!…ありがとうございます…」
「多分ママさん、集会に行ったんだろうな、ちゃんと洗い物くらいはしていかないと…」
「そうしよ!…いい感じにしてさー」
その途端、二階からまたとてつもない大きな女の子の叫び声が、一階まで聞こえてきたそうだ。
「おほほ、気づいたのかねーん美愛、ドキドキー…あー!って感じか」
「麻実の悪ふざけ?…他人目線で見ると面白いわ」
「……イッテーー!!…何だよなんだー!?…」




