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HEROES  作者: 工藤カズナリ
24/34

Daily 24 〜披露〜

「今日から地味ーな向井君と一緒にマネージャーとして頑張ってくれる大澤香奈さんだ」


「高峰、地味ーは余計だわ…まあよろしくね!」


「うおー!!女子マネージャー待ってましたー!しかも可愛いー!…向井の時代は終わったか…」


「っておいー!……最初はこの地味な俺が教えるからね」


「皆さん、よっよろしくお願いします!」

香奈がマネージャーとして野球部へ、チームはある意味活気づいたようだ。


「へー松野君は彼女と知り合いなのかー、それは良かったかも」


「自分はびっくりしてますよ…大変身するし、マネージャーになるし…」


「大変身?どういう事だい?…何かあるの?」


「いっいえーなんでもないっす…あははー…」

「えーマネージャーやるんだー!…うんうん、行け行けー!」


「香奈ちゃんなら大丈夫だよ!絶対大歓迎なはず!」


「確かマネージャー、二年生の男子一人だけって言ってたから問題ないだろうね」


「皆さんのためにも…私…頑張ります!」

「んっ?龍悟どうした?……あれっちょっと切れてるな…向井ー!どこだー!」


「大丈夫だよ、あっあそこに大澤さんならいるね…」


「あいつ地味だから目立たねーもんなー…大澤ー!救急箱!」


「はっはい!…えーっと…確かここに……えっ先輩!」


「地味ーだから香奈ちゃんと違って、俺は気付かれないのさ、はいこれ!」


「あっありがとうございます…先輩、大丈夫ですよ!私もこの間まで地味ーでしたから」


香奈はブルペンへ急いだ。


「……ははっあんな可愛い子が…地味ーな訳ないだろ、まあいい子だな」


「高峰先輩、大丈夫ですか!?どこですかー!?」


「あっいや大澤さん、僕だよ僕、絆創膏くれる?」


「えっあっすいません!……ひとつでいいですか?」


治療が完了し練習再開、香奈も元の場所へ戻る。


「…香奈ちゃん、先輩相手だと緊張しますよね、まだ初日だし」


「まあそうだね、でも頑張ってるから全然大丈夫さ、みんなも何か浮いてるけど、逆にそれがうちのチームには活気づくしさ」


「まあ俺からしたら、キャプテンとして大変だけどな」


「そうかなー?……直隆、ああいう子がタイプじゃないのかな?さっきいつもの顔ではなかったけど」


「はっ…知るか!…さあ再開だ再開!」


「高峰先輩って香奈ちゃんみたいな感じが良いんすか?」


「さあ…でも久しぶりにあの顔見たから多分そうじゃない?」


「龍悟!早く投げろ!松野もだ!ん?…なんだ前島?」


(高峰さん、優等生が好きなのかー…やっぱり同じ捕手として尊敬します)


今日は活気がいつもよりあった練習であった…ん?練習といえば…。

翌日、部活にて。


「えっ練習をですか?でも何で俺なんですかー?」


「他校の練習を見学するのもいい刺激になる、期待も込めてあえて松野が見に行ってくれ、一応むこうには了承してもらってるから問題はない、何なら一人じゃ気まづいって思ったら、もう一人連れてくといいぞ」


(英輔君、明日いないんだー…しょぼーん…)


急遽他校の練習を見学することになった英輔、しかしやはり一人はどうかと思ったらしく…。


「ということなんだよ隼人!見学しに行こうぜーい!」


「見に行くのはいいんだけど…よりによって天智の練習をかよ…洗礼受けそうだわ…」


「いいじゃんかよー!ためになること絶対あるって!」


「…まあわかった、でも静かに見てような」

そして翌日、英輔と隼人は天智学園へと訪問、亜星とはたまた以上の設備、そして野球部のグラウンドも立派なものである。


「…何か緊張するな…明らかに亜星の生徒ってバレるよな…」


「だから言ったろ、天智は普通の高校じゃねーんだよ、とりあえずグラウンドは…あっちか」


やはり目線が気になるようだ…浮いているのだから無理はない。


「ちょっと早く来すぎたなー、校内とか見てみたいなー!」


そしてグラウンドを見ると、まもなく練習が始まりそうな雰囲気だ。


「よし、まずは挨拶だ、キャプテンとかだと助かるけど…」


「いやー隼人一緒で良かったー…オーラやばす」


すると一人の部員が二人に気付いたらしく…。


「ん?何か用ですかー?……あれ!おい前島やんか!めっちゃ久しぶりやんけ!」


「えっ!……蛇島か?なんでお前がここにいるんだ!?」


「いろいろ諸事情があんねん!…いやーびっくりしたでー、どないしたんかー?」


「あー…うちの監督が見学しに行ってこいとの事で…あっもう一人!松野っていうんだ」


「松野かー…よろしゅうー、俺は蛇島ですー」


「よろしく…(これって関西弁?ってやつか?ん?…ここ関東だよな…)」

「おっ来たかー、話は聞いてるよー!さあ、ゆっくり見学して行って下さい!」


そして二人は川越監督にも挨拶へ。


「待ってたぞ、大岸さんからじっくり見物させて下さいとの事でな…うーん実にたくましい」


「今日はよろしくお願いします!お邪魔させて頂きます」


すると丁度よく蛇島が、フリーバッティングをさせてもらっていた。


「蛇島…あいつフォームとか全然変わってないなー…」


「ん?前島君は知り合いなのかね?…あいつには私も驚いているよ」


「昔野球団のほうで知り合って、それからはしばらくだったんですけど、何で大阪のあいつがここに…」


「家の事情もあったらしいが、それを含めうちに是非来たいとの事でな、やつはさらに成長している、これからの天智を支える貴重な戦力だ」


「いい打球飛んでますね、昔から凄かったですから」


「あっじゃあお願いしますー、ばらばらでー」


「…えっ!…蛇島って両打ち!?…右打席にも立ったけど…」


「あいつはいつからか忘れたけどスイッチヒッターなんだ、それも武器なんだろうけど…」


同じ一年生でここまで世界が違うことに、英輔は驚きを隠しきれなかった。

「ところで松野君だったっけか、君初心者だったらしいじゃないか、何故大岸さんは来させたのか…」


「それは自分にもわからないです…いろんな事を学べとのことでした」


「ふーむ…よーしせっかく来たんだー、ウェアでも持参してたら、練習に参加しないかね」


「えっ!そんな…いいんですか?…いやっでも…」


「蛇島、二人を部室に案内してやれ、そしてブルペンのほうで説明をお願いする」


そして二人は部室へ行き着替えを済ませ、ブルペンへむかう。


「正直…監督は松野が気になっとると思うんや、初心者からっちゅう事はなおさらや!」


「なるほどな…英輔の亜星での練習で、約七ヶ月近くやってきた成長ぶりを見たい訳か…」


「俺は…常に毎日が精一杯だったし、楽しんでやってきたから…あまり成長した実感とかはないかも…」


「とりあえず、ブルペン入ってからやな、他の一年も気になるはずや!」

そして二人はブルペンへ、そこでは天智のバッテリーなどが確認し合っていた。


「すんませーん!亜星のお客さんですー、監督が参加して欲しいっちゅうことで、宜しくですー」


「じゃあ…ここ使って下さい、正直俺らも気になってるんで」


「お前ら、彼は初心者からだそうだ、天智としたらいい刺激になる、しっかり見とくように、一年は特にな……ではお願いする」


「英輔…と、とりあえずな…いつも通りにやろう、固まるな固まるな」


「うん、でも注目されるのはまだ早いんだよなー…あー蛇島…もあんまり……見んといてー!」


「オーケーやでーい、なかなかうまいやん、それでもしっかり見させてもらうでー!」


「でも練習しながら見るようにな、さあ再開!」


さあそして、英輔はやや緊張しながらも、天智の投手にそして蛇島、川越監督に成長を見せることになる。


(冷静に、冷静に……そういえば、こんな感じ…入部した時もあったなー…あの時って大暴投だったっけ…海堂先輩が助けてくれなかったら、多分諦めてただろうなー…ありがとう先輩!)


英輔がさりげなく投げた一球、また隼人を驚かすものとなっていた…そして周りの部員も驚く…。


「……ふふっナイスボール!(英輔…さすがにあの時みたいにはならなくて済んだな)」


投げて一安心の英輔、少し投球間隔を空ける、ホッとしたのだろう。


「蛇島…スピードガンを頼む……(これが亜星の練習、底力か…)」


「おいマジか?」「初心者かよ?」「結構いい球だな」


(松野…もんすごい効率ええ努力を重ねたんやな……ある意味秘密兵器になる存在や…)


少々変わった雰囲気のまま、練習は続いていった。

「相変わらず変化球はもう少しだな、まあ真っ直ぐは良かったよ」


「何か普段と風景も違うし、妙に緊張感が…でも他のみんな見ててもすげえや」


「お疲れさーん!二人帰るんか?監督が少し話したいらしいでー」


二人は川越監督のもとへ、どうやら気に入ってくれたようだ。


「今日はよく来てくれた、おかげでうちの部員にもいい刺激になったよ」


「いえいえこちらこそ…どうでしょうか、松野のほうは…」


「ずいぶん頑張っているのが投球にも出ていた、吸収力がもの凄いのだろうなー」


「練習とか術は海堂先輩から教えてもらっているんです、なかなか大変ですけど…」


「なるほど…海堂がか…やはりとんでもない奴だー…うちにとっては脅威でしかない、はははは」


「是非また参加させてください!宜しくお願いします!」


「こちらこそ、今度はうちの部員をそちらに派遣しようかねー」


そうして二人は帰路につく、蛇島も丁度よくその時間のようだ。


「一緒に帰らせてもらうでー、話さんかー?」

「まあ隼人がいたから良かったかなー」


「ほんまやなー、こいつ投手やって一年でキャッチャーに転向してもうたんやけど、面白いやっちゃなー思うて…」


「それ言わなくていいだろ…それにしてもライバル校にいるとは…俺らも気が抜けないな」


「そやでー!ライバルや!」


「英輔、お前と似た奴がいて良かったな」


「何か俺もそんな感じした!…何かあったら宜しくですー」


「んー…もう少しトーンがちゃうなー…こう上がるんやー!」


蛇島快翔、非常に隼人に姓名が似ているが、本人達もそこは若干気にしているらしいので、触れないでおこう…いずれにせよ、最強のライバルになるかもしれないのだから…。


「そやそや!…ついでに校舎でも見て行こかー?多分大丈夫やで」


そういうことで少しこちらも見学、本当に大丈夫なのだろうか…やはりこの男、英輔と似ている。


「ほとんど下校しとるはずや…あっ俺ついでに忘れ物とってくる、ここで待っといてなー!」


「俺ら二人で居ていいのかな…誰かに見つかったりしたら、まるで不審者……あっ」


「あー!!噂の松野君!また発見ー!」


「おい、英輔見つかったじゃねーか…ってこのテンション高い人誰だ…」

「そっかー練習をねー…ふふふ、爽やかなイケメン連れてねー…」


「この人が西園寺さんの…確かにわかるかもしれない…(キャラ正反対だけど…)」


「気軽に連絡ちょうだいねー!…また遊びましょ、さすがにデートはダメよん」


「そりゃーそうです!…頑張ってください!それでは…」


暫しの千薫との再会に少々驚きの英輔、隼人が一番驚いてはいたけど。


「あれっ?何やー、あんな人おったっけ…待たせましたー、ほな帰ろかー!」


そして改めて帰路へつき、蛇島と別れた二人は、今日の事を振り返る。


「…いいもの見た、天智と亜星がここまで戦い合ってるのがわかった気がする」


「お互いの野球は練習まで買っていることもわかったし、何より…いい姿魅せれたのが一番かもな」


「うん、今後に何か活かせることを願うわ…」

そして後日の部活終了時、大岸監督から話があった。


「みんなお疲れさん、ところでだが…今度練習試合をすることになった」


部員はこの時期の練習試合に困惑していた、相手も気になる。


「まあ…本格的にという訳ではない、あくまで練習の試合だ」


「相手はどこですか?監督がOK出したということは、相当な相手ではないと…」


「まあそういうことだ、相手はな……天智学園」


「えっ天智!?……でもどうしてですか?…不思議だよな…」


「お前達がそういうのも無理はない、だからお互いに条件付きで行う事にした、しかしこちら側としては特にないと判断し、亜星のグラウンドでどうですかとお願いした、川越監督からは喜んでOKしてくれたのだがな…あちらの条件がな…」


「監督何ですか?うちで出来るならまだ全然いいですけど…みんなもいいよなー?」


高峰はそう言うが、海堂は冷静だった。


「監督、もしかして無理も無い事では?だとすると…」


「ああそうだ海堂………それでだ、松野…先発に起用して欲しいとの事だ……出来るか?」


部員達はさらに困惑、英輔の状況は全員理解している、この意向は一体…。


「……大丈夫だと思います、心配ありません」


「えっ先輩!?…でも自分は…」


「それで天智と試合を出来るのなら大歓迎です、松野君にもいい練習になります」


英輔はどうすれば良いのかわからなかった…。


(英輔もこの時が来たのか…まあ仕方ないな、あくまで練習の試合だし…)


(松野君…いよいよデビュー戦だね…初先発の相手に相応しい最高の相手だ…)

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