Daily 24 〜披露〜
「今日から地味ーな向井君と一緒にマネージャーとして頑張ってくれる大澤香奈さんだ」
「高峰、地味ーは余計だわ…まあよろしくね!」
「うおー!!女子マネージャー待ってましたー!しかも可愛いー!…向井の時代は終わったか…」
「っておいー!……最初はこの地味な俺が教えるからね」
「皆さん、よっよろしくお願いします!」
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香奈がマネージャーとして野球部へ、チームはある意味活気づいたようだ。
「へー松野君は彼女と知り合いなのかー、それは良かったかも」
「自分はびっくりしてますよ…大変身するし、マネージャーになるし…」
「大変身?どういう事だい?…何かあるの?」
「いっいえーなんでもないっす…あははー…」
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「えーマネージャーやるんだー!…うんうん、行け行けー!」
「香奈ちゃんなら大丈夫だよ!絶対大歓迎なはず!」
「確かマネージャー、二年生の男子一人だけって言ってたから問題ないだろうね」
「皆さんのためにも…私…頑張ります!」
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「んっ?龍悟どうした?……あれっちょっと切れてるな…向井ー!どこだー!」
「大丈夫だよ、あっあそこに大澤さんならいるね…」
「あいつ地味だから目立たねーもんなー…大澤ー!救急箱!」
「はっはい!…えーっと…確かここに……えっ先輩!」
「地味ーだから香奈ちゃんと違って、俺は気付かれないのさ、はいこれ!」
「あっありがとうございます…先輩、大丈夫ですよ!私もこの間まで地味ーでしたから」
香奈はブルペンへ急いだ。
「……ははっあんな可愛い子が…地味ーな訳ないだろ、まあいい子だな」
「高峰先輩、大丈夫ですか!?どこですかー!?」
「あっいや大澤さん、僕だよ僕、絆創膏くれる?」
「えっあっすいません!……ひとつでいいですか?」
治療が完了し練習再開、香奈も元の場所へ戻る。
「…香奈ちゃん、先輩相手だと緊張しますよね、まだ初日だし」
「まあそうだね、でも頑張ってるから全然大丈夫さ、みんなも何か浮いてるけど、逆にそれがうちのチームには活気づくしさ」
「まあ俺からしたら、キャプテンとして大変だけどな」
「そうかなー?……直隆、ああいう子がタイプじゃないのかな?さっきいつもの顔ではなかったけど」
「はっ…知るか!…さあ再開だ再開!」
「高峰先輩って香奈ちゃんみたいな感じが良いんすか?」
「さあ…でも久しぶりにあの顔見たから多分そうじゃない?」
「龍悟!早く投げろ!松野もだ!ん?…なんだ前島?」
(高峰さん、優等生が好きなのかー…やっぱり同じ捕手として尊敬します)
今日は活気がいつもよりあった練習であった…ん?練習といえば…。
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翌日、部活にて。
「えっ練習をですか?でも何で俺なんですかー?」
「他校の練習を見学するのもいい刺激になる、期待も込めてあえて松野が見に行ってくれ、一応むこうには了承してもらってるから問題はない、何なら一人じゃ気まづいって思ったら、もう一人連れてくといいぞ」
(英輔君、明日いないんだー…しょぼーん…)
急遽他校の練習を見学することになった英輔、しかしやはり一人はどうかと思ったらしく…。
「ということなんだよ隼人!見学しに行こうぜーい!」
「見に行くのはいいんだけど…よりによって天智の練習をかよ…洗礼受けそうだわ…」
「いいじゃんかよー!ためになること絶対あるって!」
「…まあわかった、でも静かに見てような」
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そして翌日、英輔と隼人は天智学園へと訪問、亜星とはたまた以上の設備、そして野球部のグラウンドも立派なものである。
「…何か緊張するな…明らかに亜星の生徒ってバレるよな…」
「だから言ったろ、天智は普通の高校じゃねーんだよ、とりあえずグラウンドは…あっちか」
やはり目線が気になるようだ…浮いているのだから無理はない。
「ちょっと早く来すぎたなー、校内とか見てみたいなー!」
そしてグラウンドを見ると、まもなく練習が始まりそうな雰囲気だ。
「よし、まずは挨拶だ、キャプテンとかだと助かるけど…」
「いやー隼人一緒で良かったー…オーラやばす」
すると一人の部員が二人に気付いたらしく…。
「ん?何か用ですかー?……あれ!おい前島やんか!めっちゃ久しぶりやんけ!」
「えっ!……蛇島か?なんでお前がここにいるんだ!?」
「いろいろ諸事情があんねん!…いやーびっくりしたでー、どないしたんかー?」
「あー…うちの監督が見学しに行ってこいとの事で…あっもう一人!松野っていうんだ」
「松野かー…よろしゅうー、俺は蛇島ですー」
「よろしく…(これって関西弁?ってやつか?ん?…ここ関東だよな…)」
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「おっ来たかー、話は聞いてるよー!さあ、ゆっくり見学して行って下さい!」
そして二人は川越監督にも挨拶へ。
「待ってたぞ、大岸さんからじっくり見物させて下さいとの事でな…うーん実にたくましい」
「今日はよろしくお願いします!お邪魔させて頂きます」
すると丁度よく蛇島が、フリーバッティングをさせてもらっていた。
「蛇島…あいつフォームとか全然変わってないなー…」
「ん?前島君は知り合いなのかね?…あいつには私も驚いているよ」
「昔野球団のほうで知り合って、それからはしばらくだったんですけど、何で大阪のあいつがここに…」
「家の事情もあったらしいが、それを含めうちに是非来たいとの事でな、やつはさらに成長している、これからの天智を支える貴重な戦力だ」
「いい打球飛んでますね、昔から凄かったですから」
「あっじゃあお願いしますー、ばらばらでー」
「…えっ!…蛇島って両打ち!?…右打席にも立ったけど…」
「あいつはいつからか忘れたけどスイッチヒッターなんだ、それも武器なんだろうけど…」
同じ一年生でここまで世界が違うことに、英輔は驚きを隠しきれなかった。
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「ところで松野君だったっけか、君初心者だったらしいじゃないか、何故大岸さんは来させたのか…」
「それは自分にもわからないです…いろんな事を学べとのことでした」
「ふーむ…よーしせっかく来たんだー、ウェアでも持参してたら、練習に参加しないかね」
「えっ!そんな…いいんですか?…いやっでも…」
「蛇島、二人を部室に案内してやれ、そしてブルペンのほうで説明をお願いする」
そして二人は部室へ行き着替えを済ませ、ブルペンへむかう。
「正直…監督は松野が気になっとると思うんや、初心者からっちゅう事はなおさらや!」
「なるほどな…英輔の亜星での練習で、約七ヶ月近くやってきた成長ぶりを見たい訳か…」
「俺は…常に毎日が精一杯だったし、楽しんでやってきたから…あまり成長した実感とかはないかも…」
「とりあえず、ブルペン入ってからやな、他の一年も気になるはずや!」
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そして二人はブルペンへ、そこでは天智のバッテリーなどが確認し合っていた。
「すんませーん!亜星のお客さんですー、監督が参加して欲しいっちゅうことで、宜しくですー」
「じゃあ…ここ使って下さい、正直俺らも気になってるんで」
「お前ら、彼は初心者からだそうだ、天智としたらいい刺激になる、しっかり見とくように、一年は特にな……ではお願いする」
「英輔…と、とりあえずな…いつも通りにやろう、固まるな固まるな」
「うん、でも注目されるのはまだ早いんだよなー…あー蛇島…もあんまり……見んといてー!」
「オーケーやでーい、なかなかうまいやん、それでもしっかり見させてもらうでー!」
「でも練習しながら見るようにな、さあ再開!」
さあそして、英輔はやや緊張しながらも、天智の投手にそして蛇島、川越監督に成長を見せることになる。
(冷静に、冷静に……そういえば、こんな感じ…入部した時もあったなー…あの時って大暴投だったっけ…海堂先輩が助けてくれなかったら、多分諦めてただろうなー…ありがとう先輩!)
英輔がさりげなく投げた一球、また隼人を驚かすものとなっていた…そして周りの部員も驚く…。
「……ふふっナイスボール!(英輔…さすがにあの時みたいにはならなくて済んだな)」
投げて一安心の英輔、少し投球間隔を空ける、ホッとしたのだろう。
「蛇島…スピードガンを頼む……(これが亜星の練習、底力か…)」
「おいマジか?」「初心者かよ?」「結構いい球だな」
(松野…もんすごい効率ええ努力を重ねたんやな……ある意味秘密兵器になる存在や…)
少々変わった雰囲気のまま、練習は続いていった。
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「相変わらず変化球はもう少しだな、まあ真っ直ぐは良かったよ」
「何か普段と風景も違うし、妙に緊張感が…でも他のみんな見ててもすげえや」
「お疲れさーん!二人帰るんか?監督が少し話したいらしいでー」
二人は川越監督のもとへ、どうやら気に入ってくれたようだ。
「今日はよく来てくれた、おかげでうちの部員にもいい刺激になったよ」
「いえいえこちらこそ…どうでしょうか、松野のほうは…」
「ずいぶん頑張っているのが投球にも出ていた、吸収力がもの凄いのだろうなー」
「練習とか術は海堂先輩から教えてもらっているんです、なかなか大変ですけど…」
「なるほど…海堂がか…やはりとんでもない奴だー…うちにとっては脅威でしかない、はははは」
「是非また参加させてください!宜しくお願いします!」
「こちらこそ、今度はうちの部員をそちらに派遣しようかねー」
そうして二人は帰路につく、蛇島も丁度よくその時間のようだ。
「一緒に帰らせてもらうでー、話さんかー?」
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「まあ隼人がいたから良かったかなー」
「ほんまやなー、こいつ投手やって一年でキャッチャーに転向してもうたんやけど、面白いやっちゃなー思うて…」
「それ言わなくていいだろ…それにしてもライバル校にいるとは…俺らも気が抜けないな」
「そやでー!ライバルや!」
「英輔、お前と似た奴がいて良かったな」
「何か俺もそんな感じした!…何かあったら宜しくですー」
「んー…もう少しトーンがちゃうなー…こう上がるんやー!」
蛇島快翔、非常に隼人に姓名が似ているが、本人達もそこは若干気にしているらしいので、触れないでおこう…いずれにせよ、最強のライバルになるかもしれないのだから…。
「そやそや!…ついでに校舎でも見て行こかー?多分大丈夫やで」
そういうことで少しこちらも見学、本当に大丈夫なのだろうか…やはりこの男、英輔と似ている。
「ほとんど下校しとるはずや…あっ俺ついでに忘れ物とってくる、ここで待っといてなー!」
「俺ら二人で居ていいのかな…誰かに見つかったりしたら、まるで不審者……あっ」
「あー!!噂の松野君!また発見ー!」
「おい、英輔見つかったじゃねーか…ってこのテンション高い人誰だ…」
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「そっかー練習をねー…ふふふ、爽やかなイケメン連れてねー…」
「この人が西園寺さんの…確かにわかるかもしれない…(キャラ正反対だけど…)」
「気軽に連絡ちょうだいねー!…また遊びましょ、さすがにデートはダメよん」
「そりゃーそうです!…頑張ってください!それでは…」
暫しの千薫との再会に少々驚きの英輔、隼人が一番驚いてはいたけど。
「あれっ?何やー、あんな人おったっけ…待たせましたー、ほな帰ろかー!」
そして改めて帰路へつき、蛇島と別れた二人は、今日の事を振り返る。
「…いいもの見た、天智と亜星がここまで戦い合ってるのがわかった気がする」
「お互いの野球は練習まで買っていることもわかったし、何より…いい姿魅せれたのが一番かもな」
「うん、今後に何か活かせることを願うわ…」
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そして後日の部活終了時、大岸監督から話があった。
「みんなお疲れさん、ところでだが…今度練習試合をすることになった」
部員はこの時期の練習試合に困惑していた、相手も気になる。
「まあ…本格的にという訳ではない、あくまで練習の試合だ」
「相手はどこですか?監督がOK出したということは、相当な相手ではないと…」
「まあそういうことだ、相手はな……天智学園」
「えっ天智!?……でもどうしてですか?…不思議だよな…」
「お前達がそういうのも無理はない、だからお互いに条件付きで行う事にした、しかしこちら側としては特にないと判断し、亜星のグラウンドでどうですかとお願いした、川越監督からは喜んでOKしてくれたのだがな…あちらの条件がな…」
「監督何ですか?うちで出来るならまだ全然いいですけど…みんなもいいよなー?」
高峰はそう言うが、海堂は冷静だった。
「監督、もしかして無理も無い事では?だとすると…」
「ああそうだ海堂………それでだ、松野…先発に起用して欲しいとの事だ……出来るか?」
部員達はさらに困惑、英輔の状況は全員理解している、この意向は一体…。
「……大丈夫だと思います、心配ありません」
「えっ先輩!?…でも自分は…」
「それで天智と試合を出来るのなら大歓迎です、松野君にもいい練習になります」
英輔はどうすれば良いのかわからなかった…。
(英輔もこの時が来たのか…まあ仕方ないな、あくまで練習の試合だし…)
(松野君…いよいよデビュー戦だね…初先発の相手に相応しい最高の相手だ…)




