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HEROES  作者: 工藤カズナリ
23/34

Daily 23 〜変身〜

大盛況の中終えた体育祭、それから数日英輔は、知らない人がいないほど有名人になり、女子から声をかけられる事が増えた。


また、逃走成功の賞品は結局、打ち上げに使うことになり、やや豪華になりそうでクラスメイトも楽しみなようだ。


しかし、自身の賞品はどうするのだろうか…どちらも使う事がないと思うのだが…。


「使うあてがない?…使えばいいし、誰かとディズニー行けばいいだろ」


「俺にこんな無縁なものはなかなかないぞ!…何か、賞品よりも逃げ切った嬉しさのほうが勝る」


「ふーん…まあおかげで打ち上げ楽しみだし、もしいらないなら俺にくれてもいいんだぞぉー?」


「だめだって!英輔が頑張った証なんだから、使う時がくるまでとっといたらいいじゃん」


「そういうこと、まあ…ちょっと見直したかも、やっぱ頑張ってんだって思ったよ」


「二人とも…ありがとなー…諦めないでよかったわー…」


「最初は心配だったけど、時間が経つにつれて、松野君ならやってくれるかもって思っちゃった、ホントに良かったよ!」


「西園寺もありがとな!ミッションの協力もとても助かりやした…まあこのチケットやらはいずれと言うことで」


英輔が改めて凄かった人という事はクラスメイトだけが思っていることではない。


その様子を見ていた人達は、彼の心の持ち用、走る姿、喜びの姿、そしてかっこよく思えた姿に見えていたのである…人気者になれるかなー。

「香奈ー!…噂の松野君、凄かったじゃーん!何か有名人になりそうだし、逃げ切るってあの人やるわね」


「えっうん…本当に凄かったなー…いつの間にか表彰台立っててびっくりしちゃった…」


「これで彼、みんなからチヤホヤされて…アプローチされたりしてねー、同じ一年生ならあり得るー」


「うーん…やっぱりそうなのかな…そうだよねー…」


「あらー?…いいのかなーいいのかなー?もしかしたらもうすでに…」


「えー!…うーんだって…私なんかがそうしたって…無理だもん…」


「いいからとりあえず!…彼に会ってきなさーい!…香奈から話さないでどうすんのさー」


「うっ……何とかとりあえず…ね…うん…」

香奈は英輔のクラス周辺へ、やはりクラスを覗くのは、彼女にとってとても勇気がいる。


(えーっと…ここだよね…はー見たいけど…無理ー!…とりあえず…普通にこんにちはー!って感じ?…いや、不自然すぎるよ!あーどうしようどうしましょー…うー!)


あまりにも挙動不審な香奈に、やはり周りは異様に感じますよ、もちろん彼にも。


「あれっ…確か…大澤…そうそう大澤ちゃん!香奈ちゃん!」


「はっはひょー!出たー!私、決して怪しい者ではありませんー!」


「ちょっとちょっと俺だって!ほらほら!」


「えっ!……あっあなたは噂の、じゃなくて…松野英輔君じゃないですか!…」


「どうしたのー?こんなところで、クラスに用でもある感じ?」


「はっそっそれはその…一応用はあって…うーんと、英輔君に用というか、話というか…」


「あっそう!なになに!?何でも話するよー!…さあどうぞ!」

「あれっ?英輔のやつ、また女子と話してんな、あれ以来ホントによく見るよなー」


「うちらにとっては信じられない話だけど、まあ本人も満更でもないんじゃなーい」


「あれは…大澤…だったかな、英輔と逆でめっちゃ優等生だった気がする」


「あれー?松野君また女子と話してるんだー、人気者は大変だね」


「ホントだ、でも英輔ってあんな子とも話するんだー、何か意外だねー暗そうな子なのに」


「ああいう子ほど、明るい英輔のこと気になったりするんじゃねーか?」


「確かにー…何か、うちあの子の事応援したくなってきたー!…英輔に好かれるような感じにさー」


「まあ一応英輔のやつ、今までこういうこと無かったから、良いだろうな」


「何か面白そうだな、いろいろするのも」


「森岡君まで…知らないよー?」


「まあまあ」

「俺が一番びっくりだよー!いやーよかったわー」


「何回か廊下とか近くを走り去った時は、私もびっくりしたよ、何かびゅーん!って」


「後半きつかったけどね…陸上部さすがだよあれは」


「負けてなかったね!…頑張ってたし、カッコ良いし…私ダメダメだなー…」


「ありがと!最近よく褒められるから、あんまり慣れなくてさ…嬉しいですー」


するとあの世話の焼けるあいつらが…面倒くさいことをー。


「英輔、何話してんだー?あっ初めましてです!」


「あっ初めまして、大澤香奈です…今この間のお話を…」


「あーなるほどー!…こいつあれからいろんな子から、話しかけられたりしてさー、チヤホヤされやがってー…正直羨ましいぞ」


「いや、俺は…達成感が凄いだけで、こんな事になるとはさー…まあでも友達の輪は広がっていいかもな」


「…そっそうなんだ……そうだよね!…英輔君、やっぱ人気者なんだ!……あっ私戻らないと…あっありがとね!…」


香奈は自分のクラスへ早歩きで戻っていった、英輔は手を振る、するとそれを聞いていたのか女子のあいつらは…。


「あんた達……何してんの、ほんっとバカ!……女子の気持ち、もう少し理解しなさいよ!」


「えー!?いきなりなんだよ!俺何か変な事言ったかよ!?…英輔か?」


「どっちもよどっちも!…ったく康之の持ち掛けもそうだけど…英輔!!あんたが張本人なのに、釘思いっきりグサッて刺してどうすんのさ!」


「えっ俺ー!?ちょっと待って…まったく話の方向が見えないんですけど…」

「あれっ香奈ー?…何ーもしかしてテンパっちゃった?」


「……やっぱり私には無理!もうダメ!」


「えー!ちょっと意味がわからないんですけどー…」


一方、麻実は男子三人、特に英輔にさっきの事の女子の気持ち、様々な可能性を事細かく説明していた。


「…何で俺まで…まるで説教みたいじゃねーか…」


「はいそこ!あんたにも問題あったんだから、ちゃんと聞け!」


「はっはいすみましぇん!!…(怖ぇー今日は一段と顔が険しい…)」


「とにかく英輔、あの子にとっては絶対、間違いなくそう、光なの!…それをいとも簡単に…」


「いやっ俺そんなに眩しくないだろ…違ったらどうするんだよ…」


「内気な子ほど光は勇気が必要なの!…まあ英輔の優しさは知ってるだろうし…とりあえずしばらく安静ね」


「松野君の素直さが…逆にこうなっちゃったかもね…香奈ちゃん大丈夫かなー…」


「わかった!俺、謝ってくるよ!…それでちゃんと話さないと…」


「いいからあんたは普通にしてて!…こうなったらうちらがね…」


「英輔と何かを共有したり、近くで見れたら充分なんだと思うよ…(まあ実際私もそうか…ははっ…)」


「男子は反省!修一少し、康之多め、英輔はしばらくの間ずっと!」


女心を理解できないと、こうなってしまうのである、気をつけよう。

後日、麻実達は香奈の元へ、早速あの本題へ入るようだ。


「この間は本当にゴメンねー…あいつらにはしっかり反省してもらってるから!」


「いえ…全然いいんです、私がダメなだけで…あっ英輔君とは少し前から知り合いなんです」


「あっ!もしかしてあのボールペンの?松野君、必死に探してたからね」


「そうです!あの時本当に嬉しくて…凄い頑張ってたのに…私は何もすることが出来なくて……何か私って何をやってもうまくいかないし、何とかなってる訳でもないし…地味だし…運動音痴だし…だからといって皆さんみたいに可愛くないし…」


「いやいやそんな事は…あははー…まあ香奈ちゃんはそうわかっていても行動に移せたじゃん!それで充分、立派だよ!……あとねー何かさー…本当の素顔は絶対今よりもっと可愛いと思うんだよねー…女の勘で」


「そっそんな事は決してないです!…皆さんが美女すぎてもう…しょぼーんです」


「まあ美愛みたいになりたいよねーやっぱ!」


「うんうん、その通り」


「ちょっと!私もそんな事ないから!……あっだったらこうしよ!」

すると放課後、三人は香奈を様々な場所へ連れて行った。


「うんうん!美愛の案、やっぱり正解!」


「さすがにこれは私も参考にしたいかも」


「えー…私じゃない人が目の前に…わーわー!!」


「ふっふっ、あいつらが…いや男子の目線がどうなるかねー?…うちの目に間違いはなかった…ふっ」


「香奈ちゃん、これは本当の姿だよ!自信持って大丈夫!」


「ホントびっくり…めんどい日は赤縁でもやばいね、これで優等生って反則だー…」


香奈は自分を理解するのに精一杯だったが、何とか心持ちを落ち着かせた。

翌日、反省中の男子三人はというと…。


「英輔、一応あったら何か謝っとけよ、大変なんだからよー…土下座しろ土下座!」


「…よしっ、土下座だ土下座!」


「男子ー!…ちょっと見てもらいたい人がいるんだけどー?……あっほーらこっちこっち…」


「んっ?……えっ…誰…だ?いっいやーまさかなー…はは」


「うおー…マジか」


「えっ!?えー!!マジかよー!!」


「おっおはようございますー…こんなんですけど…わかるかな?…」


「香奈ちゃん…?…だよね?…何でー!?どうしたのー!?」


「何もわかってないあんた達に、うちらが香奈ちゃんの素顔を暴いてやったのだ、どうだー?惚れちゃったー?」


「英輔!何か話せよ!…ほれほれ」


「……すっごいね、可愛い!何で今まで誰も気付いてなかったんだろーなー…」


「いえいえ私変わったらしいですけど、ずっとこうなのです!」


「香奈ちゃん…日本語が……てか、三人ともすげーなー!」


「まあねーん、うちが髪、ふみかがレンズ、美愛が仕上げって感じ」


「今でも信じられません、私はどこに行ったのかー…あー!」


「とりあえずそういう事だから反省終了、さあ香奈ちゃん!辺りを歩いてみようー!」


廊下から四人で歩き始めた。


「ぜっ絶対変な目で見られますよー!わー!英輔君助けてー!」


「…なあ英輔、女子ってすげーな、ある意味恐ろしいわ」


「まあうん、香奈ちゃん…どこいったんだーホントに!」


「なに、お前ビフォーの大澤のほうが良いのか!?」


「そういう訳じゃなくて…俺もびっくりし過ぎてるだけかも…香奈ちゃん絶対モテるよなー!」

(また私に…やっぱり何か見られるー……でもこれで、英輔君が良いって思ってくれるなら…いいのかな……それに、やってみたいことがわかったし!)


「えっ何か聞いてたけど、ホントに香奈ー!?超可愛いー!」


「私ね……決めた!…野球部のマネージャーやる!」


「へっ?…また話の内容がわからないんですけど…」


(彼がそばにいるなら、なおさら負けずに頑張ってみよう…)

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