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HEROES  作者: 工藤カズナリ
18/34

Daily 18 〜楽観〜

「あっお待たせです!早かったね」


「今来た所ですよ、あっ…今日も後藤さんらしいですね」


「正直どうしたらいいからわからなくて…こんな感じで許して下さい」


「全然オーケーです、さっ行きましょうか」


デート当日を迎え、いざ横浜スタジアムへ向かう二人…っとその前に待ち合わせは昼前のようだが…。


「とりあえず周辺でお昼でもどうですか?もしかして食べてきた…」


「あっ大丈夫ー忘れてましたー…あはは…お腹空きましたね」


軽く電車に揺られながら、何となく会話する二人は、どこかぎこちない感じ。


「何か急にすいません、自分的にこういうのしか思いつかなくて…」


「私は…楽しいって思ってるので大丈夫です、やっぱ緊張はしますけどね…」


「気楽にいきましょう…それに初めてなら尚更、楽しんでくれると思います、まあ唯一個人的に残念なのが、シーズンの終わりなので、消化試合のチケットだということかなーと…あっでも席は良い所ですよ」


「そうなんだー…近いならいいね!ふふふ、何か楽しみ…」

そして二人はお昼を済ませ、スタジアムへ、消化試合でも日曜日なのでやはり人は多い。


「わーすごーい!見晴らしがいいねー!…あっ」


「喜んでくれて良かったです、天気も良いですし、今日は最高ですね……えっとこの席かな」


「えっやっぱ近い!あーあれが選手の人達かー…前島君もこんな感じに見えるんだろうなー…」


「自分はまだまだですよ、雲の上の存在です、でも…いい勉強になります」


「私、ルール完璧じゃないけど大丈夫かな…何かいつの間に試合進んでたり…」


「大丈夫です、教えながら楽しんでもらえるようにします…飲み物買ってきますね、あといろいろ…何が良いですか?やっぱファンタですか?」


「あっその通りで…ありがとう…」

(やっぱデートなんだよね…麻実が言ってたこと…あれは無しとして、まあ楽しむ事が大事!…よし!)


「あっ後藤さん、始まりますよ、先攻はスワローズです、実はファンだったりします」


「なるほど…(す、スワローズ?…一応覚えた…)」


スタジアムは子連れの家族や若い子達やカップルも見えるらしい、隼人達の席はバックスタンドに近いが、レフトとライトのスタンドの応援の歓声はやはり凄い。


「あっち側の人達凄いね…何か盛り上がってる!」


「応援するの楽しいですよ、自分も普通に応援しますし、一緒に声援送りましょう」


「えっ何か恥ずかしいなー…でも前島君の真似してみる」


試合は初回から動く、立ち上がりを攻めたようだ。


「わー!ボールこっち来たー!すごーい!」


「ファールボールはよくきますよ、この雰囲気良いですよね」


「うん、それに打つ人凄いね、あんなに球速いのに」


「プロですからね、やはり凄いです……おっランナー出た!…続けー川端ー!」


ふみかは普段とは少し違った隼人の姿に、愛くるしさを感じたらしい、そしてその時…。


「わあー!すごーい遠くまで飛んだー!」


「よし、長打だ!山田ー返ってこれるぞー!」


「やったー、これって点数入ったんだよね?先制点だよね!?」


「そうです、やりましたねー今日はいい感じです」

そして、試合は中盤が終わる頃、ビックチャンスが訪れる、この場面にはさすがの隼人も興奮しているようだ。


「ツーアウト満塁でバレンティン…頼むぞ一発!…後藤さんも応援してください!チャンスですよ!」


「あっうん!…いけーバレンティーン!」


今日一番の声援、ふみかも出来る限りの声を出して応援する、そしてその時、一気にスタジアムが湧く…打った!


「うおっよし!打ったーいったぞこれー!」


思わず二人とも立ち上がって…打球は…レフトスタンドへ、その時の大歓声はものすごい。


「わー!すごいすごいよー!ホームランだー!やったやったー!!前島君やったね!」


「しかも満塁ホームランですからね!よっし…さすがだなー…これがプロ中のプロですよね……あっ…」


二人は無意識にハイタッチ、そして少し身体が触れていた、まあ無理もない…今日一番の盛り上がりなのだから。


「あっ……ごっごめんね、つっつい何かテンション上がって嬉しくなっちゃってて…いつの間に…」


「いえいえ…最高の形でしたからね…後藤さんの応援も力になったと思いますよ」


「バレンティン最高だね!…私もファンになりました、ふふっ」


試合はそのまま進み、スワローズが勝利した、とにかく今日は特別な試合だった。

「いやーいい試合でしたね、何より勝って良かったです」


「初めて観にきた試合がこれかー…すごい楽しめた感じしたなー…ありがとう」


「それは良かった…また観に来たいですね…また二人で」


「えっ…うん…またホームラン見たいね…バレンティンの!」


「ふふっバレンティンのですか、あの人はまた打ってくれますよ、自分もいつか……俺の試合も観に来て下さい」


「もちろんだよ!…頑張ってるところ見てみたい」


「ありがとう、観に来た時は…絶対ホームラン打ちますから…」


「絶対打てるよ、期待してます……何か恥ずかしくなってきた…」


「あの…名前で呼んで良いですか?…言葉遣いもなるべく直すので…」


「あっあの…うーん…じゃあ私もなるべくというか…名前で言えるようにします…」


「はい、またどこか行きましょう…いやいや……どっか行こう!…ふみかさん」


「はっはい!……隼人くん…」


照れまくり、だが隼人は落ち着きを見せるようにしている、ふみかはもう本人じゃない状態である。


「わっ私も何か誘ったりしていいかな…」


「もちろん、楽しみに…してるよ…あー…やっぱ難しいなー…」


「普段男子と話してる感じで全然…」


「…慣れていくんで何とかね…まあ一回言ったら少し楽には…なったかな」


「真面目すぎるんだって…私の前でも楽でいいよ?」


「うん、もう大丈夫!…ふみかさんとはたくさん仲良くしていけそうかな…」


「ふふっ意識してくれてるんだ…嬉しい…私も意識…してるよ…なんてねっへへ」


「少しずつだね…なんてね…」


「ふふっ何からしくなーい!…えへへ」

翌日、登校時間、正門にて。


「あっ前…んっと隼人君おはよ!」


「あっ後…ふー…ふみかさんおはよう」


そして何故か笑ってしまうお互いに、さらに笑いを誘われる二人、よくわからない。


「まだまだだね…やっぱ慣れが必要だね」


「そうだね、私はこんな感じも面白いからいいけどね、昨日楽しかったなー…」


「次はどうしようかなー…日本シリーズも観に行きたいんだよなー…」


「さらにすごいんだろうなー…あはは」


やはりたまには敬語も出るようで、最初だからふみかは気にしていないようだ。


「ん?あっ!ちょっとあれ」


二人は見つからないようにしているが、見つめる視線の先には…。


「海堂さんと…西園寺さんかな?…何を話してるんだろ」


「おー二人ともおはよー!ん?何してんだーイチャイチャすんなよなーん」


「えっ英輔!…ちょっと静かにして!…あとまだこれからだっつーの…」


声を小さくして英輔も見てみる。


「何で二人でいるんだろ?…そういやお前らも…」


「どっちもたまたまだよ、話は後だ」


するといつの間にあの二人は居なくなってしまっていた。


「あれっいない!んー…どうしたんだろ…美愛に聞いてみよ」


「俺は君達のほうが気になるんだが…」

クラスに行くと、早速ふみかに質問攻めが起こる。


「ふみか!どうだったの!?ちゃんといろいろアピールしたかー?」


「麻実の言うことはしてませんよ…まあ普通に楽しかったかなー野球好きになったし」


「おっ!それはやっぱ前島君のおかげかー!ちゃんと楽しくいい感じにはなったのか」


「うんまあね、昨日の展開も凄かったから、お互いテンションは上がったかな」


「そういや、スポーツニュースでふみかが観に行った試合を一番大きくやってたな、何か凄いグランドスラム出たって取り上げてた」


「そうそう!こうやってバレンティンがさー…ふふーん凄かったんだからー!」


「あらあら本当に嬉しそうで、これで第一段階はオーケーだねん、次は…」


「またどっか行こうって隼人君と約束したから大丈夫!」


「えっちょっとーいつの間に名前で呼んでんのー!?…へーそちらの進展もあったのね」


「べっ別に名前で呼ぶくらいはいいじゃんか…私の事も名前で呼んでくれてるし」


「こりゃー隼人からも色々聞かないとなー、キシシ」


ふみかの発展話が弾む中、どうも少し浮かないような顔をしている子が…そういえば朝から様子が変にも思える…。


「あっそういえば!美愛ー、さっき玄関近くで海堂先輩と話してなかったー?」


「えっあーそれはそのーなんというか…」


「なにーまさか美愛までそんな感じなのー!?麻実さんショックだーん…」


「そうじゃなくて…たまたま会ってそれで話を少ししてただけだよ…」


「ふーん…何の話してたのかなー?かなー?」


「何か挨拶した後、学校の話して…質問を答えてたって感じかな…だから私もよくわからなくて…」


「だから西園寺らしくない顔してたのかー、何かうーん…って顔してるぞ!」


「松野君にはバレてたかー…何か変わった質問だったから…」


「どんな事聞かれたの?まさか好きなタイプとか…美愛が狙われてるー!」


「ううん…全然違う、何かお姉さんいる?とか…その人高校生?とか…学校どこ?とか……あとよく話してるの?とかかな…」


「先輩どうしたんだろーねー…美愛のお姉さん狙ってるとか!?…はないか」


「えっ千薫さんがー!ってなるね、何か不思議な質問だねー…というよりちょっと…ね」


「何でだろうって思って、凄い気になっちゃって…でも私の話もしたから、それもまた不思議なのかなーって」


「まあ美愛にも気に掛けてくれてるってことじゃないの、先輩って元々不思議な人だし」


「うん、何かあったらまた話してみようと思う、答えれる程度にね」


全員が不思議と思う人物、英輔もやはり気にはなるようだ。


(先輩、千薫さんと知り合いだったりするのかな?…まさかファンだったりして…いや先輩そんな人じゃないわな、うん…それはねーか…)

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