Daily 13 〜可憐〜
「今年も相変わらず賑やかだなー!西側の方集合でいいんだよな?」
「みんなにはそう伝わってるはず!あっ…あと!男子もう一人来るから」
「んっ誰だよ?……あーもしや…」
「そう、あの人だよ!人数は多くても楽しければよし!」
「それにしても女子の連中遅いなー、何してんだー」
「女子は準備が長いし大変だからな、ちょっと身だしなみ良くしてくるって」
すると遅れて何となく来てしまった男が合流。
「すまん、まだ大丈夫?」
「おー隼人、大丈夫!まだ女子は来てない」
「前島君、やっぱ夏が似合うなー、こんなTシャツと七部丈似合う人そんないないよな」
「みんな同じですから、何か違った格好してくれば良かったですか?」
「まあ、今日はいいだろ!…んっ誰だー鳴ってるぞー」
「あっ麻実からだ、ちょっと賑やか過ぎるな……はい?どうしたーまだかー?」
女子は合流して一緒に向かっているようだ、こちらもある意味同じ格好なようで…。
「えっ!?あー…じゃあそのまま真っ直ぐ来たらいるよ、四人組で待機中」
「あれっ三人じゃないのー!?まあ…こっちも四人だけどさー」
「そっちも四人かよ!…んっ?…あーあれかなー…あー!いたいた」
「康之、あっちも四人なのかー?誰だー?」
そうして距離が近づくにつれ、何気ない緊張感が漂う。
「あれっ前島君がいるー!」
「あれっ…もう一人って北原か!」
「お待たせー!美愛がちょっと遅れてさー」
いつもは見ない姿に男子は全身を見る、いつもは制服姿しか見ないからね。
「何だ浴衣かー!いいじゃん!」
「女子で話し合ってさー、ちょっと頑張ってみようってねー…しかしお互いサプライズゲストがいるとはね」
「前島君は松野君に誘われた感じ?」
「まあ、はい、お祭りなら楽しそうだなと思いまして」
「北原は何でだー?そんな感じしないんだけど…」
「私もよくわからないけど、えびせんべい食べたくて」
「星南ちゃんは美女枠、浴衣姿も可愛いでしょー、男子諸君にはいいなーって思って」
「麻実、強引な感じもしたけどね…オーケーしてくれてありがとうね本当」
「まあふみかも何だかんだ良かったじゃーん…」
お馴染みのヒソヒソに持ち込む麻実、本当にこの人はこういう事が好きすぎる。
「とっとりあえず、多いほうが楽しいと思うよ!…」
「じゃあ花火の時間までいろいろ見ますか!」
出店を周りながら楽しむ一同、いやー青春、いろんな出店がある中で、提灯が灯す明かりは、夏の夜に最高の思い出を鮮明付ける。
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「イチゴ飴ー!あーリンゴ飴もあるー!」
「とりあえず腹ごしらえに…おっモダン焼き!?…ってなんだ…」
「言ってた通りだな北原、えびせんべい大きいこと」
「美味しいぞー、森岡も食べたらいいかと」
「隼人、かき氷食べようぜー!…メロンの練乳ありで!」
「あっかぶった…じゃあブルーハワイで」
花火の時間が近づくにつれ、人が多くなってきた。
「そろそろ場所を確保したいけど、やっぱなかなかないなー」
「まあ、往復しながら立ち見でもいいけどねー」
「毎年行く所、今年に限って混んでるんだよなー…」
「女子の皆さんは、浴衣でずっと歩き立ちは疲れるでしょう」
「そうだよー前島君、わかってるうー…何処かないかなー」
「じゃあ、俺がいつも見てる所でも行ってみる?」
そうして英輔がよく家族や友達と来ていた場所へ行くとまあまあ静かになった。
「少し遠くなったけど、まあここならいいかなーって」
「よーし休憩!…あっこの段差丁度いいー!女子が前ね」
「まだ時間あるか…ちょっと何か買ってくるかなー」
「おーじゃあ俺も行くよ、食べながら見るのもいいからな」
「森岡ー、えびせんべい三色でお願い」
「じゃあついてこい、何色かわからんし」
三人は近くの出店へ、するとあいつらが目を合わせたとなると…何かを閃いたようであり…。
「あれーチョコバナナどこだっけ?何か食べたくなってきた」
「確か焼きそばの隣…だったようなーあはっ」
「美愛も食べる?食べるよねー?」
凄い顔と眼差しでうんとしか言いようがない美愛、これはまさか…。
「英輔ー案内してー頼んだよー」
「んっ……(あっ!えっ…ちょっと)…わっ私もじゃあ買いに行く!」
「ふみかはこの場所を取っといて!ちゃんと買ってくるからんっ」
「隼人もいるかー?一応、女の子は一人にさせるなよー」
「じゃあ…頼んだ、後で払う」
緊張が走るふみかと、普通な様に見えて英輔から言われた事が引っ掛かっている隼人、こういう感じは味わってみたいものだ。
「麻実ったら…絶対仕組んだでしょー?急に二人にさせてもさー…」
「さあねー、たまにはいいじゃんかー!それより英輔サンキュ!」
「一応空気は読めますよ…こういうの結構…面白いしな」
クスクス笑う二人に少々困っている美愛、やはり二人だけにすることに心配なようだ。
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「二人になりましたね、なんかものすごく静かに思える」
「うん…ちょっと無理矢理な感じにも見えたけど……絶対わざとでしょ…」
「えっ?何か言いました?」「あーいやいや…」
雰囲気は良い、さあ何を話す。
「…後藤さん、浴衣凄い似合ってますよ」
「あっありがと…久しぶりに着たから大丈夫かなーなんて…」
「うん、新鮮な姿です、制服じゃないし髪型も違うので…」
「そうかなー…まあちょっと張り切っちゃいました的な感じでねー…褒めてくれてありがとう」
「個人的には…後藤さんが一番綺麗に見えますよ」
「えーあーははー…そんな事ないってー!…今日は特別なだけで…(あはは…どうしよー!!)」
さすがにその言葉を放ってはだめよ、顔が赤くなるのも無理ない。
「前島君も…その…制服とか練習着じゃないから新鮮だね、なんか…爽やか」
「ありがとう、なかなか言われないから嬉しいです」
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「そろそろ戻る?でも…何かいい感じなんだよなー…」
「ほんっとふみかデレデレしちゃってー、でも可愛いー!…後でいじってやる」
「二人とも、さすがに戻る!戻らないと…」
「あーちょちょちょっと待って!もう少し…何か起きないのかー…」
「お前ら、何やってんの?めっちゃ怪しいぞ…」
「康之、静かに!…ちょっと待ってて!」
「あー……なるほど…いいなー青春だなー…」
「お前もいつか青春するさ、英輔もだ」
「修一も多分そうなるさ…あのような日を待とう…」
「お前ら…仲間だな…」
「とりあえず…あー花火そろそろだね、こんな男子達置いて戻りますか」
「あははー…三人ともドンマイ…」
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「麻実達遅いなー…(絶対上手く長引かせてるんだ!)…もう時間になりそうだよね」
「最後のあたりが凄いらしいので、ゆっくりでもいいのではないかと」
(私はもうこの緊張に耐えられませんー!…横見るとすぐいるから……あー!…むー)
そう思っているとようやく帰ってきた、一斉に帰ってくるのはやはり怪しく見えた。
「ごめんー遅くなった!ほいチョコバナナ!」
「あ・り・が・と!…(いろんな意味で…)」
「隼人、ついでにホットドッグ、これでどうよ」
「あーサンキュ…(ふう…変に緊張したじゃねーか、この感じだと言った通りなのか…)」
そして独特の音が響き渡り、火玉が登っていくと、大きい花火が打ち上がった。
「おっ始まったな!今年はどうかなー」
「結構大きい!あっ連続きたー!」
「ここで正解だな、でも意外と首が…」
「案外上だったね…松野君、いい場所だね…すごい綺麗…」
「夏だな…綺麗な花火に写る美女…絵になるなー」
「修一、それ褒めてんのー?まったく嬉しいこと言うねー」
「ほらあの子達、すごい良いショット、可愛い」
「あらっ…ほらーうちらも負けてないでしょー?」
「私を巻き添いにするな!何なら星南ちゃんと…」
「どう思うー前島君ー?評価をどうぞ!」
「えっ…二人共花火が似合いますよ、とても綺麗です」
「…ふみかー…さすがに照れちゃうよなーごめんなーん!」
「わかったかこのバカ、私も照れるけど」




