Daily 1 〜開幕〜
「日本優勝ー!世界の頂点に立ちました!!苦しい試合がたくさん続いた…その中で圧巻の試合運びを見せてくれました!」
「決勝戦でねーこれだけのピッチング…いやー素晴らしい!おめでとう!」
鳴り止まぬ歓声、スタンディングオベーションの拍手の中、かけがえのないものを手に入れた瞬間であった。
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「やったぞ…やったぞー!!俺が世界一になったんだあー!!この俺が…俺が…俺がーーーうぁっ!!うっ!……」
何かを違う世界に戻すような強烈な出来事が襲った。
目覚めると見知らぬ物体が彼の目の前にあるではないか、たまに見る掃除機の吸引口。
「んっ!?なんだこれ!?ってまたかよ母さん!」
急に起きるといつも通りの部屋、清々しい光景が。
「か、母さん!その起こし方ホントにやめてくれよー!」
「……遅刻するわよー」
「えっ…うわっ!やばっ!」
急いで登校する準備をすると、母は優しく弁当を差し出す。
「ありがと!行ってきまーす!」
「待ちなさい、…道具」
「あっそうだった!へへっこれこれ!」
新品の皮生地、これからお世話になるものは、宝物になる。
「……遅刻するわよー」
「行ってくる!よし!」
「…はーい、…春だねーうん」
能天気な母に送られ、新たな場所へ出発する。
「それにしても目覚め最悪だわー…あれも、夢かー…そりゃーそうだよなーしょぼーん」
こうしていつも通りの朝を迎え、自転車で学校に向かうこの一人の少年の名は松野英輔。
入学したばかりの春、高校生活をスタートした高校一年生。
彼には目指すものがある、そう夢で見たまさにあの光景である。
普通の人間なら考えないことなのに…ましてやこんな奴が思っているとは…まあしょうがないか。
と言っていたらギリギリ学校に着いたようだ。
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「猛ダッシュだったわ…朝からいい運動だぜ…」
「ぜーぜー言っちゃって、完全に運動不足だろ」
「そのまんまの言葉通りだな、新年度に遅刻は最悪だからなー」
「お前ら…早起きはつらいでしょーお!」
この二人は最初に仲良くなった男友達で、それぞれ橋本康之と森岡修一である。
仲良くなるのが早いことが得意な連中である。
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朝のホームルームが終わり、一時限目の準備中…。
「ちょっと英輔!宿題やってきた?みせてくれーい」
「…一応やったけど…やだ、隣にパス」
「ひどっ!まあいいもんねーふみかに見せてもらうしっ」
「うちもパス」
「いいでしょーお願いだからー!」
そしてこのテンションが上げ上げなのと、冷静沈着な姿の子が、最初に仲良くなった女友達の片桐麻実と後藤ふみかである。
バカにはやはり宿題は難敵なようだ、と言っても中学のような内容だ。
「えーじゃあやっぱりしょうがない…」
麻実が二つ隣の席の子に近づいた。
「宿題みーせて!お願いー!この通りー!」
「…いいけど合ってるかわからないよ?」
「大丈夫!頭いい事くらい知ってるよーみーあっ!」
みーあっ?…そうだったもう一人忘れてました、大事な人を。
この子が頭が良いらしい女の子、名前は西園寺美愛、いやー…面白くなりそうですね、はい。
「急いで返すからね!」
「大丈夫なの美愛?」
「まあね、終わってるから大丈夫だよ!」
「まったく麻実はいつもあーなんだから…」
ふみかは少々呆れているようだ。
「俺も一応見させてもらいたいんだけど…なー」
「やだっパス」
「うわっ少しくらいいいだろー!写すなんて事は決して…貸せーいバカ」
「バカにバカって言われたーうつるわーやだわーやーん」
「お前ら、どっちもどっちだぞ」
「………」
この物語は、松野英輔の周りで起こる様々な出来事、そしてたくさんの刺激や影響を受けながら英雄に上り詰めて行く、青き時代の記録である。
高校生活をもう一度、思い出してみませんか?さあ、あの瞬間に戻りましょう。
「みなさーん、テレビを見る時は部屋を明るくして、なるべく離れて見るようにしてね!さあ、いよいよスタートだ!」
「これ、テレビじゃねーぞ!…じゃあ何だこれ?」