死体コレクター2
書いちゃいました。続編(笑)。しかもまだ続きそうですね。1から順に読んでいただけると、感無量です。
…ここ最近、僕は、とても不満足の日々を過ごしている。その原因はほかでもない、僕の『趣味』のことだ。
…数週間前、僕のコレクションに『十一体目』が加わった時だった。
僕はいつものように、並べたコレクションを満足気に眺めていた。 だが、すぐにおかしいと考え直した。
それが何かわかるまで僕は『それら』を擬視していた。そして、気付いた。
(同じだ…)
それは、『四体目』と、『十体目』だった。全く同じだ…。僕は思った。
同じ、というのは顔、 姿形という意味ではない。
感じ、そう。感じだ。たとえ、ほかの人が
「違う人間だ」
と言おうが、遺伝子が違おうが、そんなこと、知ったことではない。同じ『もの』は同じなのだ。
同じ『もの』がいくら増えようが、もう持っている『もの』は、僕には必要ない。
そう。それは、カードゲーム好きの小学生の男の子が、
「これ、もう持ってるからいらない。」
と、同じレアカードを欲しがらない感じに似ている。
同じ『もの』は、いらない。しかし、せっかく手に入れたのに捨てるのも…な…。
(…どうするか。)
もう、陽が沈んだ海を眺めながら、僕は考えを巡らせる。
夜の海。なんの光も差し込まない、広大な闇。どこまでも果てがない。 あの中へ沈んでいけば、どんな感じなんだろうか。冷たく、暗く、そして、深い。
想像してみる。
悪くない。
むしろ、良い。
おっと、今はやめておこう。今は、『趣味』のことを考えなければ。 結局、僕は『ハズレ』を焼却処分することにした。
解体して、保存しようかとも考えてみたが、僕は、『ハズレ』に愛情を注ぐつもりは全くない。 ほったらかして、ホコリでもかぶるのが目に浮かぶ。解体した手足にカビが生えている姿を想像する。
まったく、醜悪だ。
翌朝、僕は自宅のバルコニーにいた。
解体しておいた『ハズレ』を、ドラム缶の中にまとめて入れた。灯油をかけて、ライターを手に取る。
…一瞬躊躇したあと、上に被せた新聞紙に火を放った。
予想より大きな火柱に多少驚いたが、そんなことは、すぐにどうでもよくなった。
…臭い。吐き気をもよおすような、ひどい匂いだった。
…次は気をつけよう。
赤い炎と黒い煙を眺めながら、僕は思った。
…同日、昼さがり。
今年はまた、暑い。こんな日は、死体がすぐに腐るな…。
そんなことを考えながら、僕は歩く。
『ハズレ』のことを教訓に、今度からは、女をよく見極めよう。
僕の『趣味』は、徐々に、洗練されつつある。 少しずつだが、研ぎ澄まされている。
最終的に、僕は最高のコレクターになるのだ。
それはまだ、ずっと先なのだろう。
しかし…、いつか、きっといつか、必ず実現する……。
炎天下の歩道を歩く。
女性とすれ違う。その瞬間に、顔をみる。
僕はUターンしてその女性をつける。
『十二体目』となるであろう、その女を。