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契約魔法ゆびきりげんまん

「一つ星!」


エフューシスの声が、戦場に響く。


「自分と小僧を――死ぬ気で守れ!」


「は、はい!」


レンは即座に前へ出る。

小さな体を張るように、俺の前に立った。


「セツ!援護は頼んだのじゃ!」


エフューシスが杖を振り下ろす。


「獄炎魔法・プロミネンスピラー!」


轟音と共に、地面が裂ける。

レヴネの真下から、獄炎の火柱が天を突き刺すように噴き上がった。


だが――

「甘いですわ」


レヴネは羽を翻し、軽やかに回避する。

その背後、空間が歪み、幾つもの黒い裂け目が生まれた。

そこから、黒いレーザーが乱射される。


「っ……!」


流れ弾に対し、

レンが歯を食いしばり、杖を振る。


見えない壁が展開され、レーザーが弾かれていく。

それでも衝撃は重く、彼女の肩がわずかに揺れた。


「ただの魔力砲では、あの炎の女は仕留めきれませんわね」


レヴネは、少し苛立ち呟く。


「――戦術級。極エーテル砲を展開しますわ」


レヴネの背後に、巨大な魔術式が浮かび上がる。

複雑に絡み合う魔法陣が、禍々しい輝きを放つ。


「セツ!」


エフューシスが叫ぶ。

「あの魔術式に、魔力を練らせるな!」


「了解致しました!」


セツが腕を突き出す。


「針魔法・ニードルスパイク!」


無数の魔力の針が、レヴネへと向かっていく。

魔術式の要所を正確に突き、魔力の流れを乱していく。


舌打ちするレヴネ。


エフューシスの炎と、セツの精密な妨害。

二人の連携で、レヴネは思うように魔法を練れず完成させられていない。


それでも、完全に止めきれてはいない。


時折、漏れ出るように放たれるレーザーが、こちらへ飛んでくる。


「っ……!」


レンが必死に弾く。


「やっぱり……二つ星と三つ星は、すごいです……」


息を切らしながら、レンが呟いた。


「あんな遠距離に、正確に魔法を展開するなんて……」


「そうなのか?」


俺が聞くと、レンはうなずいた。


「はい。魔法は……自分の体から離れるほど、制御が難しくなるんです」


戦闘を見つめながら、彼女は続ける。


「それに……零距離で魔力を練らせないように、自身の体から漏れ出る魔力をかき混ぜてるんです」

レンは戦闘での技術を説明をする。

「それを魔力の奔流といいます」


なるほど、と理解しかけて――気づく。


「じゃあ……それなら、勝てるんじゃ……?」


レンは、かすかに首を振った。

「……それは、あの魔族も同じなんです」


レヴネは戦術級の魔法を発動できずさらに苛立つ。


「……やはり」


レヴネが、セツを見下ろしてにらむ。


「あの銀髪ショートの女……邪魔ですわね。エーテル砲の魔力を練ろうとした瞬間を……正確に、針で狙ってきます」


その視線が、次第に冷たくなる。


「――どうにか動きを止めるしか、ありませんわね」

レヴネの魔力砲の向きが、変わる。


こちらに対し攻撃するのをやめ、

執拗に――結界を攻撃し始めたのだ。


「くっ……!」


結界の維持に集中せざるを得ず、セツの動きが止まる。

結果、戦場は実質――

エフューシスとレヴネの一騎打ちとなった。


「――マテリア展開」


エフューシスの声が、低く響く。


「獄炎魔法・作り出された太陽ザ・サン!」


次の瞬間、空間が歪み、

灼熱の“太陽”が生まれた。


獄炎がレヴネを包み込み、

彼女の体を焼き、魔力を削る。


「……っ、ぐ……!」


レヴネが苦悶の声を漏らす。


だが――

そのレヴネの背後で、術式が完成していた。


焼かれながらも、レヴネは笑う。


「……なんとか、間に合いましたわ」


次の瞬間。

「極エーテル砲――発射です」


圧倒的な魔力の奔流が、一直線にこちらへ向かって放たれた。


「まずい!」


エフューシスとセツが、同時に動く。


魔術式への魔力供給を切り、

二人で俺たちの前に立ち、全力の防御魔法を展開した。


衝撃によって、視界が白く染まる


やがて、エーテル砲の魔力が尽きる。


「……っ」


防御を終えた瞬間、

エフューシスとセツは、その場に崩れ落ちた。


「……はあ……」


レヴネは、肩で息をしながら呟く。


「そのまま、あの魔法を使われていたら……本当に危なかったですわ」


――静寂。

俺は、ただ立ち尽くしていた。


拳を、強く握りしめる。

手が、震えている。

怖い。ただ、ひたすらに恐怖する。


「あら?」


レヴネが、周囲を見渡す。


「あの桃色の髪の女は……逃げたのですか?」


「――ラブクラウド!!」


不意に、桃色の霧がレヴネを包み込んだ。


エフューシスたちの攻撃と、エーテル砲の反動。

その隙を突き不意打ちを成功させる。


「っ……!」


レヴネの動きが、一瞬止まる。

だが、すぐにレンを睨む。


「……邪魔です」


彼女が手のひらをレンにむける。

レーザーが放たれようとした、その瞬間。


「――レヴネ!!」


俺は、叫んでいた。

「契約だ!」


レヴネの動きが止まる。

視線が、まっすぐ俺を捉えた。


「こちらも、手を出さない!

だから――魔女や人間たちに、手を出すな!」


俺と目が合った瞬間、レヴネの胸が、激しく脈打つ。


ドクンッ――。

「……なんですか、この気持ち」


レヴネの表情が、揺れる。


「それは、魔族の伴侶の……契約ですか?意味をわかって言っているのですか?」


ふっと、笑った。

「わたくしのことは……レヴたんって呼んでくださいね」


そのまま、指を差し出す。

「絶対に……責任、取ってくださいよ?」


俺は、その指に、自分の指を重ねた。


――指切り。

契約が、成立する。


指切りげんまん。魔族にとっての伴侶の契約とは知らずに。


少し前――


「もし……」

レンは、静かに言っていた。


「エフューシス様たちがやられたら……

私が、必ず魔法を当てます」


「効果は……5秒ほどしかもたないかもしれません」


それでも、真っ直ぐに俺を見る。


「その間に……

衛さんは、使い魔の契約を交わしてください。魔族とできるかは分かりませんが……賭けです……」


――そして、現在に至る。

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