79 せつない
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ケーキのはいった箱は、ピンクの包み紙でラッピングされ、リボンも濃いピンクだ。メーアの瞳の色を思い起こさせる。
ノアは、その箱を丁寧にあけると、焼かれたケーキを取り出し、切り分けてもらう。
それを、夢魔、ビーナスとともに、食べようとしていた。
『ノア?そのケーキはどこでもらったのだ?』
「あ、はい。こちらはメーア様にいただいたものですの。彼女、お子を授かったそうですわ」
「あいつ、ものすんごいくさいんだ!鼻がもげるかとおもったぜ」
黒猫に無事戻れたビーナスは、顔をなんども洗っていた。
ちょっと困ったような顔で、ビーナスをみると、
「えーと、かなり香水をつけられていたみたいで、わたくしまだ、鼻が麻痺していますもの」
『なんと、そこまで!して、そのメーアは誰の子を?』
「そ、それは、ジン様とのお子では?」
ビーナスは、へにゃりと耳とひげをたらし、ノアの顔をちらりと見あげる。
気丈にふるまっているが、ノアは心なしか、蒼白になっている。
『ワラヤからの手紙どおりということか?』
「そうおっしゃっていましたわ」悲しいけれど、ジンが幸せになっていると思えば、それはよいことだ。
心の中で、良心と嫉妬がせめぎあい、声をあげて泣いてしまいたいが、彼らに心配をかけたくなくて、ノアはぐっと我慢する。
ケーキを口に運びかけた時、
『食べるな。毒入りだ』
と、ノアをとめた。
となりで、かじりつこうとしていた、ビーナスはフォークごと、ケーキをポロリと落とす。洋酒のしみ込んだドライフルーツがたっぷり詰め込まれたパウンドケーキを、まじまじと見つめる。
匂いは普通だ、と思う。けれど、昼間のメーアの香水で鼻が利かない。
ビーナスとノアは涼しい顔で、侍従にケーキをひかせて、
『鑑定を頼む』
と、言った。
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