77 おめでとうございます
いつの世にも、人を逆恨みする者たちはいるのである。
メーアは毒を仕込んだケーキを持つと、ノアを訪れた。
王宮のきらびやかさにうっとりしつつ、ノアの友人だといって、何食わぬ顔で、サロンへ乗り込む。
ロウエンから借り受けたワラヤのドレスは真っ赤で、胸元がかなりきわどくあいている。
ワラヤの装飾品を耳、首、手首に重いほどつけ、扇を仰いでいる姿は、堂々としていて、ノアに比べてよほど場慣れしていた。
うふふ、いつも、ワラヤ様のお供をしているのですもの。ふるまい方は完璧ですわ。
メーアは観察力にすぐれた少女であった。だから、ここまで上り詰めたのだ。
待つこと数分、待望のノアが黒猫をともなって現れた。
光の淡く反射する明るいトーンのサロンに、真っ白な管筒衣にグリーンの襞の多いスカートを合わせ、サンダルを履いていた。
理事たちが議場にあらわれるいつものスタイルを踏襲している。
髪は、左側にあつめ、編み込みをしているだけだ。
高く結い上げ、金粉をはたいてきたメーアの濃い茶の髪型に比べ、あまりにも質素だ。
ふふん。なんて、みすぼらしいのかしら。装飾品のひとつもないだなんて!
「ようこそお越しくださいました。メーア様。わたくしのために、足をお運びいただき光栄ですわ」
にこっと笑う少女は、王国中の注目を集める時の人とは思えない、どこにでもいる少女だ。
「お久しぶりですわ!ノア様がこのように皆様にお慕いされるようになって、あたくしも誇らしいですわ!」
メーアはピンクの目をきらきらと輝かせ、満面の笑みでノアに向き合う。
二人の少女はかたや太陽のよう、もう一方はその太陽にかすむ星のようだった。
ノアのすすめに応じ、メーアはゆったりと椅子に腰かける。
給仕たちが、アフタヌーンティのセットを前に、紅茶を淹れてくれる。
メーアはさも当然という風に、紅茶のカップをもつと、ノアが口をつけるのをみた。
いい香り、一級品じゃないの!本当はあたくしがここであなたをもてなすという図だったはずよ。
憎しみに心がたぎるメーアからはどろりとした怨念がにじみ出ている。
きょとんとメーアをみたノアは、
「メーア様。お顔の色がすぐれませんわ?どうかしまして」
「おほほほ。そんな、あたくし、こちらでのおもてなしがうれしくて、舞い上がっていただけですわぁ」
「そうですか…。無理をなさらず。お腹の子にも悪いですもの」
ぶはぁっ
メーアは思い切り噴出した。
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