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運がないけど、憑いてます☆  作者: ももんが☆


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72/72

72 ビーナス様の××

 ふらふらと王の無茶ブリに耐えて、あてがわれたお姫様な部屋に戻ると、正装でしめあげられていたコルセットをはずしてもらい、メイクをおとすと、お風呂へ連れていかれ、あっという間に体中を洗われた。


 淑女たちはこの儀式を毎度しているのだろうか。


 果てしなく、はずかしい。


 無の境地で、泡を流されるのを待ち、髪をかわかしている間に、少しだけ夜食をつまむ。

 ドライフルーツとナッツをついばみ、疲れ果てた体で、さきほどの「マカロンを家宝に」事案を思い出す。


 どうやって、家宝にするのか?


 あの、何も考えていない面に、どれだけの嗜虐性を秘めていることか。


 ブラック企業の戦士たちは、無理難題にいどまされ、幾人も散っていたことをおもいだし、重いため息をはくのであった。


 ついに、ふかふかのベッドへダイブする。

 すぐ近くには侍女が音もなく控えているのだが、もう、それは慣れることにした。

 

 はやく、眠りたい。

 ノアは、枕を引き寄せようと手をのばして、何かやわらかいものに触れたことに気づいた。


 むに。


 眠いまぶたをこじあけて、薄暗がりに目をこらす。


 あれ?


 ノアのつかんでいたのは、ビーナスの豊かな丸い胸であった。


 目をみひらき、セクシーな夜着をまとって、同じベッドに横たわっているビーナスを見つめる。

 横向きにこちらを見ている女体のビーナス様は匂いたつほどに、艶めいており、女性のノアでも、ひきこまれてしまう魅力を発していた。


 くらっとなり、伸ばしていた手をぱっとはなすノア。


 思考は停止した。


「おう、オレ様も一緒にねかせてくれ。あいつら、オレ様を夢魔のおっさんのとこへ、閉じ込めようとするんだぜ。ひどいだろ?おれにも選ぶ権利ってものがあるだろ」

 むすっとした顔だが、花のかんばせである。


 怒った顔ですら、超絶きれいで、ノアは泣きたくなった。


 わたくしより、胸、おおきいのですね。


 ◇


 夜中、寝苦しくて、目を覚ましたノア。

 なんだか、熱いし、窮屈だ。

 

 ぼやけた頭で、なんで、こんな苦しいのか知らと考えて、現状をようやく理解した。

 ビーナス様の胸に埋もれて、寝ていた。

 やわらくて、きもちいい…。


 !


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