69 仲良しごっこ
円卓の間には、理事が正装で集っていた。
いつものくだけた服装ではなく…。
きりきりと痛む胃をかかえたご老体に、いましも卒倒しそうなやせた理事、つややかな丸顔に脂汗が止まらにない理事…、ロウエンは深い青地の布に重いほどに金銀の縫い取りをした衣をまとい、帯の上からは玉が垂れている。
頭はきっちり結い上げられ、小ぶりな冠をつけている。
緊張感につつまれた理事たちがすばやく目線をかわす。
「ロウエン殿はもっともお若いゆえ、古のお方には、目をかけてもらえうのではないですかな」
何も考えていないような朗らかな声で、ロウエンを推挙したのはがっしりとした白髪頭のドーンだ。
「ドーン様こそ、その大きなお声でご挨拶なされませ」
ロウエンは余裕の微笑みで返す。
「んまぁ、すてきでしょうね。ドーン様と古のお方のお話ぶりもよろしいですわぁ。けれど、ロウエン様との絡みもみていみたいですわっ」
イーンスラは身悶えつつ、美男子同士の会話を思い浮かべて、うっとりと夢心地だ。
それをさえぎって、
「ふん、どうせ、ろくなご用事ではありませんよっ。いくら古の方とはいえ、貴族の最高峰であるわれらを、無造作に寄せ集めるなど、越権行為もはななだしいわ」
四角い顔に、猪突猛進といった一直線ぶりで、休暇中であったカルノを呼び戻した勅に憤慨しきりだ。
「まぁまぁ、みなさま、そのような憶測でおはなしされるのは、尚早というもの、もっと、お歴々のかたからお声がけいただくのが筋というものです」
おちつきはらったロウエンのグレーの瞳が会場をひとなですると、わざと顔をそらすもの、えづくもの、急に腰痛を思い出すもの、と集った理事たちは急に絶不調をもよおしだした。
やれやれと肩をすくめると、まもなく、古のお方の降臨との呼び声が扉の向こうから響く。
一斉に立ち上がると、礼の姿勢でかたまる理事たち。
その統制のとれた様は一種異様であった。
いつもは、なかなかまとまらない彼らであったが、今は、この台風の目のような謁見の場が無風でおわることを願ってやまなかったのである。
◇
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