65 王女に会っちゃった。
玉座に突然現れた、黒髪の青年に、これから、王女へ謁見を果たそうとしていた、名のある貴族や武人たちが腰を抜かすほど驚いた。
何の前触れもなく、その青年は真っ黒なフードをかぶり、湾曲した大鎌をもってあらわれたのだから。
「どいつだっ、この王宮を汚すものはっ」
衛兵に囲まれて警護されながら、隣国の華奢な王子がふるえながら叫ぶ。
自分は守られているからの暴言である。
玉座に手をかけた青年は、そちらをちらりとも見ず、細いティアラを乗せた王女をその目にとらえると、首だけ回して、ロックオンした。
ひっぃんっ
王女から、女としてどうかと思うような、情けない声をあげ、王女は卒倒した。
『久方ぶりに来たのに、かような歓迎ぶりとは』
首を振って、王女から視線を外すと、なげかわしいと、青年は天を仰ぐ。
はらりとフードが後ろにずれて、青年の面差しが驚愕にかたまった群衆の前に現れた。
夜空をうつしこんだような漆黒の髪がさらりと肩からこぼれおち、長身の細身のからだに流れ落ちる。
鎌を身振りで消し去ると、ひたりと群れた大人達をみすえ、哄笑した。
だれもが、その圧倒的な存在感に、ひれ伏しそうな圧を感じ取る。
衛兵たちの持つ剣の切っ先が震え、武人として名を馳せたもの達でも、身動きがとれない。
格が違いすぎる。
『まぁ、よい。我は今とても機嫌がよいのでな』
長くかたちのよい指をぱちんとならすと、
彼のかたわらに、黒猫を抱いた少女が現れた。
目を丸くして、どちらも固まっている。
少女は肩より少し下の黒髪を一部だけ垂らし、後は結い上げている。真っ黒な目は隣の青年に似ているが、するどい顔だちの青年にくらべると、やわらかな輪郭を額から頬、くちびるは薄桃色で、つややかだ。
彫像のように整った青年の隣に、古風な衣装をまとった美少女が立っていた。
重そうに黒猫を抱いて。
ようやく、この騒ぎをききつけて、王宮の近衛を引き連れ、武官の長が現れた。
扉の向こうで、走ってきたとおもわれた大男は、黒ずくめの男を目にいれると、何かにきづいたようで、剣を持っていた右手を下げ、左こぶしを胸につけ、片膝を下げ、挨拶をした。
付き従っていた部下たちも、それにならう。
広間にあつまっていた人々はあんぐりと口をあけたまま。
突然あらわれた二人と黒猫は、立ち尽くす人々の前を悠々とあるき、武官をひきつれて、玉座をあとにした。
◇
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