52 ロウエンの花嫁
心なしか、浮かれた様子のロウエンを疲れ果てた顔をした理事たちがうらやまし気に見つめている。
こいつは無限の体力があるのか!
くそぅ、おれもあと十歳わかければ。
三日三晩、寝ずに働かされてあの元気!ありえませんわね。
おおいやだ、これだから若いもんは。
等々、そろいもそろって、心の中で悪態をつぶやくと、晴れやかな顔で退席したロウエンの後ろ姿を理事たちは、見送った。
ロウエンはゴンザからの知らせに浮足立っていた。ついに、ビーナス(女)に会える。
まったかいがあったというものだ。
部類の猫(動物)好きだが、超絶嫌われてしまうロウエンにとって、ビーナスは黒猫としてあらわれ、体をさわらせてくれるという稀有な体験をもたらしてくれた。
さらには、ビーナスはただの猫ではなく、絶世の美少女なのだ。
それを、遠い温泉地から流れてきた噂をもとに、地道に検証し、やがて、真実に違いないという確信をもった。
それからは、婚約者のワラヤは目にはいらず、ひそかに恋心を育て、ついには、あの場でプロポーズまでしたのだ。
ああ、早く会いたい。
ロウエンは急ぎ足で、王城を後にした。
◇
殻をやぶったビーナスは女体でいることに、いささかうんざりしていた。
はやく、元の体に戻りたいが、それは許してもらえそうにない。
厳重にガードされ、花瓶の水まで、抜かれる始末。
体を冷やすものはコップに入った水まで制限されていた。
くっそぅ。オレ様はみせものじゃねぇぞ。
ぎりぎりとメーアやゴンザを睨み据えるが、彼らは一切の感情をのせずに、淡々と、ビーナスを飾り立てていく。
真っ白なドレスに花輪を頭に乗せられ、ベールをかけられた。
歩かされているのは、教会の控えの間だ。
おおいやだ。なんで、オレ様があんなやつの花嫁なんかに!
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