51 エンゲル係数たかめな美女
議場で、報告書に目を通していたロウエンが気づいたのは、ビーナスの女体化事件の顛末であったのだ。それを、耳打ちされた従僕のゴンザは、実行にうつすべく、動かした。
つまらない議題に、もっともらしく受け答えしつつ、ロウエンはビーナスに何を贈るかずっと考えて、退屈をしのいでいた。
◇
ビーナスは、ついに女に変えられ、見事なプロポーションを披露するはめになった。
侍女のメーアは絶句し、目をまんまるにひんむいて、凝視している。
「おい、早く、服くれ」
目をみひらいたまま動かないメーアの顔の前を掌でひらひらとしたが、反応がない。彼女が持っていたタオルを奪うと、ビーナスはとりあえず、寒いの体にまきつけ、立ったまま失神したメーアを放置して、支度部屋に大股でむかう。
そこにおいてあった、手近な衣装をひっつかむと、すっぽりとかぶる。
はからずも、それは、ロウエンの理事である証を縫いしるした管筒衣であった。
ビーナスがそれをきると、腕と膝から下がむき出しになる、ワンピースのような形状になり、素足のまま、衣裳部屋を通過すると、さらに扉を押し開ける。
「だれか、めし、もってきてくれ」
重厚だが華美ではないテーブルセットの前に、どっかりと腰を下ろして、足を組む。
控えているはずの従僕を呼ぶと、さっさとごちそうを平らげていった。
まった、オレ様をなんだとおもってやがるんだ!
くっそー、あんなこどもだましな手に乗るなんて、オレ様としたことが、浮かれてたのか。がつがつ。
あっという間に、大人三人前のステーキがビーナスの腹に消えていく。おかわりを要請して、ナイフとフォークをものすごいスピードで繰り出し、小さな口からのぞく真珠のような歯で、飲み込むように食べていく。
最初は、ビーナスの存在に神々しいまでの美を見て、硬直したゴンザであったが、今は、別の意味で、思考は停止している。
な、なぜ、こんなに、はいるんだ。あの細いからだのどこに!
女体化したビーナスは底なしの大食漢であった。
◇
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