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運がないけど、憑いてます☆  作者: ももんが☆


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48 実は偉い人

 すれ違うものたちが、頭をさげるのをみることもなく、ごく自然な足取りで、従僕をつれて、王宮の廊下を急ぐ。


 ワラヤに懇々と説教をされてしまい、彼は、時間が押していたのだ。


 額かざりをつけ、髪はひとつに結って、金の鎖をからませて後ろへ垂らしている。筒状の上着の下は袴状のゆったりとした長衣で、長時間拘束されても、疲れにくい衣装である。

 金銀の刺しゅうは首周りに輪を描くように縫い取られ、座っていても、どの地域を代表しているものかわかるよう、意匠がことなっていた。


 ロウエンは山型の連なりが金と銀の糸であらわされ、彼の治めている土地が山の多い地形であることを示している。山の谷あいには丸い輝石を縫い留めており、時節きらりと反射する。


 首飾りであらわしていたのだが、肩が凝って仕方ないという意見があったのと、ちぎれると縁起でもないということもあって、今では刺しゅうがスタンダードである。

 足元は編み上げのサンダルで、質のよい皮をなめしてつくったもので、柔らかい。


 いそいそと議場に足を踏み入れると、すでに過半数の理事たちが集っていた。丸い文様がつらなった果樹園の多い土地の領主、波模様が青地に銀の糸で示された海に囲まれた半島の領主、大きな河川を運河としてりようしている領主は舟形と川面があらわされていた。ロウエンよりは二十歳は上で、彼らが理事に就任したのはつい最近のことであった。


 この中で、ロウエンは最も若輩ながら、すでに任期は五年を経過しており、議事の進行にも不慣れなことはほぼないといって差し支えなかった。

 遅れてきたわけではなかったが、理事の中でも年若いロウエンはいつもであれば、真っ先にこの議場に足を踏み入れ、先んじてこれらか検討される議題に目を通すことを旨としていた。


「これはこれは、若き領主殿はおいそがしいとみえる」

 扇を広げ、ひろすぎる額をひからせた果樹園を多く持つ領主が嫌味をこぼす。


「お久しぶりにございます。カルノ様、ドーン様、イーンスラ様」

 声をかけてきた緑の管筒衣はカルノで、青海波の青い衣装を着こなした美丈夫はドーン、運河を模した水色の衣装に身を包むのはイーンスラである。


 彼らより後に到着した、ロウエンは余裕の笑みで、挨拶をかえし、自席に着座すると、すばやく資料に目をとしていく。


 とある資料で、ロウエンが止まった。


 ロウエンの後ろには従僕のゴンザが控え、腰を下ろしている。

 その、ゴンザに何やらささやくと、ゴンザは一礼して、無言で議場を後にした。


 ◇



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