39 いや、そういうのいらないから…
混乱のるつぼと化した、会場をぬけだすと、伸びたままのビーナス様をかかえ、ノアは夢魔とともに、次なる会場へ向かっていた。
夢魔は、会場の熱気をまるっと吸い取ると、会場を旋回して、お客達にアピールした。
推しに愛をささげる!
なんて、うつくしいのかしら。
ロマンスにあふれたお客達の顔はほんのり上気して、夢見心地だ。
彼女たちひきいる、ロウエンは、満足したのか、会場中に手をふって、投げキッスをふりまく。きゃぁきゃあとそれをたのしそうに受け止める乙女たち。
夢魔は久々のごちそうに、満足して、次の会場へ向かうこととなった。
◇
「どうか、僕と結婚してください!」
ビーナスの頭の中にはこの言葉がリフレインして、精神を苛んでいた。
いや、よう、どうして、こうなった。
黒猫とノアは二人して顔を見合わせて、重いため息をつく。
たしかに、ビーナス様は人間になると、すばらしいプロポーションを持つ、女体にはなる。だが、言葉遣いからして、そんな、女性らしさとは無縁だし、どう見たって黒猫だ。
しかも、立派な重さの…。
それを、どうあってか、ロウエンは見抜いたのか、猫でもいいと、とち狂ったのか、婚約者のワラヤを差し置いて、大衆のど真ん中でプロポーズしたのだ。
クレイジーすぎて、付き合い切れない。
けれど、ビーナス様を見る目は蕩けそうで、甘い。
惚れているというのは本当だろうけれど、でも、ビーナス様は猫だった。
◇
「いいね!」「おもしろい!」と思ってくれた方は、
☆☆☆☆☆ → ★★★★★にしてくださいね。
皆様のブックマーク、評価は作者のモチベの元ですにゃん☆
勇気を出して(^^)/~ ぽっちとよろしくお願いいたします!




