30 こちらも囚われの身かも…
「あいわかった。では、ジンを神官長へとりなし、神様ご降臨のお供として、僕が推薦しよう」
執事から、ジンの言う神様とやらが見つかったようだという知らせを受け取ったロウエンはすぐさま教会へ、使いの者を走らせた。
◇
「けっ。くそつまんねぇな。ノアは毎日刺激たっぷりな人間たちをよこしてきやがったのに、ここの人間どもはつまんねぇな」
『ビーナス殿は、すねておられるようだな。我は、うむ―――つまらん』
「だろ、夢魔のおっさん。貴族ってやつは贅沢と理想とやらは大きいが、庶民の良さってものがわかってねぇ」
『かたちばかり整っているが、むなしいな』
「そーそー、オレ様は新鮮な金が好物なんだよぉ。ここのは、こうよ、どろっと、とどこおってるっつーか、流れがないんだよぉ」
ごろごろごろ。黒猫がふかふかの絨毯のうえを転がっていく。
金の止まり木から飛び立つと、転がる黒猫の横ぴたりに着地したフクロウは足で止めた。
『うむ、我も生き生きとした欲を吸い上げたいものだ。ノアはいつも溌剌とした夢をくれたものだ』
「おい、おっさん。なつかしんでねぇで、どうにかしろ」
わっしと、足で猫のうねるしっぽをつかむと、
『しばしの辛抱だ。冬のツアーは企画どおりすすめるそうだ』
三角の耳をぱたぱたさせて、
「おう、そういことか。じゃぁ、ま、もうすこしこのまま遊んでてやるか」
ぐいーんと伸びをすると、おおきなあくびをして、ビーナスは腹を出して寝転がった。
あたりを警戒する夢魔には、この特別室のきらびやかな内装にまどわされてはならないと、警告を与える同胞たちからの知らせを胸に秘め、目をぐるんとまわすと、黒猫に寄り添って、しばらくの休息をとることとした。
ジンは彼らが、会話するのを横目で見ていたが、はらはらと涙をこぼして、窓の外をながめるばかりであった。
◇
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