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運がないけど、憑いてます☆  作者: ももんが☆


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3/73

3 うっかりだったなんて☆

 青年は黒にゃんこの背をなでなでしつつ、微笑んでいた。

 彼は手ずから新鮮なミルクをあげられてご満悦だ。


 なぜって?


 彼は動物にものすごーく嫌われる体質だったからだ。街中を歩いているだけで、散歩中のわんこにおそいかかられたり、飼い猫で大人しいといわれる猫ちゃんにですら、突然ひっかかれる始末。


 おまけに馬にちがづけば蹴とばされ、池のアヒルにも近寄るだけで逃げられるのだから…。


 ああ、猫とはこんなにやわらかくて、すばらしい生き物なのだな。


 うれしすぎて、青年の顔はろとけている。


 黒猫の背をを撫でる指は長く、優雅だ。ゆったりとした着衣はつややかな絹でできており、所々に刺しゅうが入れられている。

 腰帯は銀糸が織り込まれ、幾何学模様を織り上げられており、スラリと長い脚は、床に片膝をつけ、のぞき込むように黒猫のなめる様子を見つめている。


 瞳はグレーで、肌は小麦色、赤茶の髪は複雑に編み上げられ、片方に垂らしている。


 健康的な肌つや、身のこなしから、ひきしまった体を連想させる。


 街を歩けば、女性はおもわず秋波を送ってしまうであろういい男である。しなやかなからだつきは、優美な洗練した仕草を備え、彼が身分ある存在であることを物語っている。


 彼が、道端に転がった少女をひろったのは、ついでだった。目が合った瞬間この黒猫は「にゃん」と甘えてすり寄ってきたのだから…。

 少女は、従僕たちが気をきかせて、拾って帰ってきてしまった。


 少女はメイドにまかせて、少女を着替えさせ、館の人間があわただしくしている間に、彼の部屋にいたはずの黒猫は見当たらなくなって、彼はとてもあせった。


 どこにいったのかと探し回って見つけた先―――黒猫はなんと、少女の寝かせている部屋で、ネズミをつかまえ、くわえていたのだった。


 ―――黒猫は少女になついているのかもしれない。


 仕方ないので、少女にも施しをすることとした。スープをさし入れさせて眠ったままの少女を一瞥すると、黒猫には彼自身がミルクのはいった皿をちらつかせ、自室まで連れてきた。


 むろん、少女のことなど黒猫ラブな彼の目に入るわけもなく…。ひざにすり寄ってくる黒猫こそが、彼の拾った「天使」なのだ。


 こんなになついてくれる猫なら、人間の女(飼い主?)など、まったくもって不要だったな…。

 

 無情にも彼は、少女を捨ててこさせようと考えていた。




「ノアちゃんったら、拾ってもらったのに、もうすてられちゃうの~」

あたし、心配☆


――――さすが、悪運体質ですわぁ。

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