26 閑話休題 ビーナス クッションをもらう
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「ビーナスわたしからプレゼントがあるの!もらってくれるかしら?」
ある休日の昼下がり、何やらノアが大きなものを抱えて、ビーナスたちがくつろぐ、居間にやってきた。
「おっ、なになに?オレ様にくれるのか?」
目を輝かせて、ビーナスがノアが差し出した包みをくんくんんする。
ふわふわのブランケットに包まれ、再利用のリボンがかけられた小山にビーナスが挑む。
ふむ、あのリボンは、ジンに差し入れされた箱についていた奴じゃな。
ノアはなんでも活かすのがうまい。
「ねぇ、オレには?」
ジンがノアに果敢にもプレゼントくれくれ攻勢を始めた。
「あっ。ジンには、また今度ね」
目が泳いでいるから、忘れていたのだろう。
ジンの顔から表情が抜け落ち、すとんと、ソファーに座りなおした。借りてきた本のページをめくりだすが、きっと読んではいまい。
かわいそうに…。
夢魔はこっそり同情した。
案の定、リボンにからまり、自らがプレゼントと化したビーナスは、ふかふかのクッションにダイブしていた。
「ぬおおおっ気持ちいいいぜ!こんなクッションがあるのか」
目がキラキラしている。前脚で、クッションの弾力を確かめるべく、もにもに、ふみふみしして、しっぽをピンとたて、恍惚の表情である。
『ふむ、よかったな。ビーナス。はみだすなよ』
「オレは、そんな行儀わるくねぇよ!」
その様子をニコニコと見守るノア。
ビーナスが丸くなっているのは、いわゆる猫用クッションだ。
ノアのへそくりから、購入してきたものだ。
よかったぁ。よろこんでもいただけて。
「これで、ゆっくりくつろいで、元気チャージしてくださいませ」
ノアは、ビーナスをねぎらうため、このクッションを苦労して手に入れたのだ。
なんでも受注生産品で、お願いして半年かかってしまった。
そして、読むともなく、ページをくっているジンを見て、冷汗をかき、止まり木で毛づくろいを始めた夢魔を見て、「彼らにも、プレゼントが必要だわ」と再認識したのだった。
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