11 ただの黒猫ではございませんのよ
短いので連続投稿しますm(__)m
ノアとジンの二人は黒猫の存在を忘れていた。
そう、まごうことなき貧乏神であることを…。
「なぁ、おやっさんは、なんで神の御遣いでもねーのに、ノアに憑いてんの?」
『我は、ひまだ…。ノアはおもしろい』
「うへぇ、ひまつぶしに憑かれてたのか、あいつ。でも、お前のおかげで貧乏になってねぇから、案外、おやっさんいいやつだな!」
『ふぉおおっほっほっほぅ。ビーナスは強欲じゃからの。あいつらが成功するほど、吸い上げるのだろ?』
「わ、わ、夢魔のおやっさん、や、やめてくれよ~、おれの夢を吸い取らないで~」
夢魔VS貧乏神(大悪党つき)
端から見ると、ただの黒猫とフクロウがじゃれ合っているようにしか見えない…。
ノアの住処は雑貨店が軒を連ねるアーケードにあり、一階は水まわりとテナント、二階は住居スペースである。一階の店先の屋根の上、お客たちは物珍しそうに、黒猫とフクロウの戯れをちらちらと見ていく。
やがて、くぅかくぅか、鼾をかきだしたビーナスに身を寄せて、フクロウは首を360度左右に、回転させてあたりを警戒してから、一緒に眠った。
◇




