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流転の國 vol.8 〜桜色の都の救世主〜  作者: 川口冬至夜


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第70話 宙色の大魔術師殿へ

桜色の都のリッカから果たし状が来た…!

大きな魔力を秘めた何者かが流転の城に向かっている。

マヤリィはその者が飛んでくるのを玉座の間で待っていた。

「あら、早かったわね」

その者は冷たい空気を身に纏って現れた。

「流転の國へようこそ、大きな使い魔さん」

マヤリィが快く迎えると、玉座の間に降り立った。

その使い魔は鳩でもカラスでもなく…。

「オジロワシ…?」

その迫力にジェイが驚きの声を上げる。

「恐らくはリッカ様の使い魔ですね…」

クラヴィスが言う。

「普通、こんなデカい鳥を使い魔に選ぶか?」

ルーリは初めて見るオジロワシを前に首を傾げる。

「初めて見ました」

タンザナイトは興味深そうに見ている。

「ええ、私も初めて見たわ。よくオジロワシだって分かったわね、ジェイ」

「はい。鳥の図鑑とか好きで…昔は結構見てたんですよ」

ジェイがそう言うと、使い魔は一声鳴いて、書状の入った筒をマヤリィの前に置く。

「ご苦労様」

使い魔を労うと、マヤリィは書状を開いた。

「…やはりリッカ殿ね。前にジェイやクラヴィスが言っていた通り、実戦訓練のお誘いよ」

マヤリィは言う。

「でも、今回ばかりは皆を連れて行くことは出来ないわね。…『宙色の大魔術師殿にお越し頂きたく存じます』とのことよ」

「っ…!?」

思いがけない指名に皆は驚く。

「そ、それは…お一人で、ということにございますか…?」

「ええ、そうみたい」

マヤリィが読み終わった書状をジェイに渡すと、皆で回し読みすることになった。

「マヤリィ様とサシで戦いたいとは随分と偉い方なのでございますね、そのリッカ様とやらは」

流転の國の主様宛として丁寧な言葉で書かれてはいるが、内容は今ルーリが言った通り、一体一で戦おうということである。

「畏れながら、マヤリィ様。たとえ友好国であろうとも貴女様をお一人で行かせるわけには参りません。ご命令を下されば私が同行させて頂きます。……あ」

都に行きたくないはずなのに、ルーリはうっかりそんなことを言ってしまった。

(言っちまった…)という顔をしているルーリを見て(でもルーリは『国家機密』だし…)と思うジェイ。

しかし、

「よく言ってくれたわ、ルーリ。貴女が同行してくれるなら安心ね」

絶対に前言撤回させない勢いでマヤリィが微笑む。

(やべぇ、断れない…)とルーリは思いつつ、

「は、はい…!喜んでマヤリィ様のお供をさせて頂きます…!」

今にも引き攣りそうな笑顔で答える。

そこへ、

「畏れながら、マヤリィ様。ルーリは流転の國の『国家機密』です。そう簡単に桜色の都に行かせるわけにはいかないのでは?」

ジェイが側近の顔で進言する。

今まで『記憶改竄』や『完全消去』といった禁術を駆使して『ルーリ』という存在を秘匿してきたマヤリィが、今になって流転の國の方針とも言える決まりを崩すというのだろうか?

「大丈夫よ。桜色の都から書状が届いたらルーリを行かせるつもりだったから」

「えっ…」

「けれど、リッカ殿が私を指名してきた以上、実戦訓練に参加するのは私になってしまった。とはいえ、一國の女王に一人で来いというのは非常識な話だから、側近を連れて行くと返事に書くわ。…何かあってもルーリがいてくれれば心強いしね」

流転の國の方針はあっさり崩すらしい。

そんなマヤリィの話についていけず、皆は混乱するが、

(オジロワシが来て、リッカ様という人が女王様に喧嘩を売って、女王様は『国家(ルーリ)機密(さま)』を連れて都に行くとおっしゃった。…僕が行きたかったのにな)

タンザナイトだけは今の出来事を冷静に振り返り、都に行けないことを残念に思っていた。

「…あ、そうそう」

配下達の様子に構わず、マヤリィは思い出したようにルーリの前に立つと、

「『解呪』せよ」

その一言で、ルーリにかけられた魅惑封印の『呪い』を解いた。

「えっ…?」

「呪いは解いたわ、ルーリ。『夢魔変化』してご覧なさい」

(えっ?ここで??)

一番戸惑っているのはなぜかクラヴィスである。

「か、畏まりました、マヤリィ様…」

ルーリは困惑しながらもマヤリィの命令に従った。

「『夢魔変化』」

その瞬間、ルーリは艶めかしく蠱惑的なサキュバスの姿に変わる。

「『魅惑』が復活した…!」

ジェイは安心するが、

「『シールド』」

タンザナイトはすかさずシールドを張るのだった。


「では、使い魔さん。これを国王陛下に届けて頂戴。…リッカ殿ではなく、陛下にね」

しばらく経って、マヤリィは先ほどの書状の返事を使い魔に託した。

「リッカ殿がどんなに偉いか知らないけれど、桜色の都の国王はヒカル殿よ。次に私宛の書状を持ってくる時は白い鳩を寄越しなさい」

マヤリィは厳しい表情で使い魔に言う。白い鳩はヒカルの使い魔である。

オジロワシは玉座の間に入ってきた時とは打って変わってしょんぼりした様子で都へ帰っていった。

(なんか可哀想だな…)

とジェイは感じたが、リッカに頭が上がらないヒカルを思い出すとこれくらいでちょうどいいのかもしれないと思った。

「…では、準備を始めましょう。と言っても『宙色の魔力』はいつでも発動出来るのだけれど」

その時、マヤリィの耳に揺れるマジックアイテムは輝いていた。

流転の國の方針を崩し、ルーリを桜色の都へ同行させると決めたマヤリィ。

魅惑封印の『呪い』が解かれたことで、戦わないはずのルーリも準備万端です。

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