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流転の國 vol.8 〜桜色の都の救世主〜  作者: 川口冬至夜


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第66話 籤引き

翌々日。玉座の間。

「これから実戦訓練をしたいと思うの」

前置きも何もなく、マヤリィは皆に言った。

「先日のジェイとクラヴィスの報告によれば、都の王族の中に氷系統魔術師がいるそうよ。…そうだったわね、クラヴィス?」

「はっ。ヒカル様の叔母にあたる方で、非常に強い魔力を持っていらっしゃいます。流転の國の主様の許可が取れれば実戦訓練をしたいと仰せでした」

「…ということは、近々桜色の都から連絡が来る可能性がございますね」

クラヴィスの言葉を聞いたシロマが言う。

「今度ばかりは貴方が行くわけにはいかないと思いますが」

厳しい言葉が追加されたが、皆はシロマの言う通りだと思った。

「ええ、そうね。クラヴィスがマジックアイテムを使ったらその魔術師が死んでしまうから」

『流転のリボルバー』は百発百中一撃必殺のマジックアイテムである。マヤリィが敵と定めた者に向かって発砲すれば相手は死んでしまうし、味方と認めた者に向かって発砲すれば当たったところで何も起こらない。

「では、誰を派遣するのでございますか…?」

出来れば桜色の都に行きたくないルーリ。

今度シャドーレの顔を見たら絶対泣く。

しかし、攻撃要員でなければ氷系統魔術師の相手は務まらない。

ルーリが怖々と返事を待っていると、

「それはこれから決めるのよ。実戦訓練でね」

マヤリィは明るい声で答える。

《えっ…?結果によってはルーリを行かせるんですか?》

ジェイは驚く。

何せルーリは流転の國の『国家機密』だ。

マヤリィはジェイの『念話』に答えず、皆に実施要項を伝える。

「基本的にはいつもと同じ。シロマに『無感覚』魔術をかけてもらい、戦闘不能になるまで魔術で競うのよ。いつもと違うのは…三人のうち一人は一回戦を免除されるくらいかしら」

「一回戦を免除…?」

「二人が戦って、勝った方が残りの一人と戦うの。当然、全てのステータスを『全回復』させてからね」

ジェイ、ルーリ、タンザナイトのうち、二戦続けて魔術訓練に臨まなければならない者がいるということだ。

「畏れながら、マヤリィ様。その権利は…誰に与えられるのでしょうか?」

「そうね…。くじ引きかあみだくじ?」

「クジ…?」

ルーリはこの世界に存在する言葉しか知らない。

「ここは公平に簡単にじゃんけんでいいじゃないですか」

話についていけないルーリに構わずジェイが言う。

「…………?」

ルーリが困っていると、

「畏れながら、女王様。僕にはやり方が分からないので、その権利を放棄してもよろしいでしょうか?」

ずっと黙っていたタンザナイトが話し出した。

「万が一にも最初のお相手に勝つことが出来たら、結果的にジェイ様・ルーリ様のお二方と戦えるのですよね?」

「ええ、そうよ。貴女はやる気十分のようね」

「はっ」

「…いいでしょう。一回戦免除の権利はジェイかルーリに与える」

マヤリィはそう言うと、二人に聞いた。

「で、決める方法はくじ引きでいいかしら?」

「他にやり方はないんですかね…」

「畏れながら、マヤリィ様。クジビキ、とは…?」

二人は全くやる気がない。

ジェイはルーリとナイトの魔力が怖いし、ルーリは桜色の都に行きたくない。かと言って、どういう基準で選ばれるのかも分からないが。

マヤリィは二人の言葉を聞き流して、

「…では、クラヴィスに選んでもらいましょう。赤が出たらジェイにその権利を、青が出たらルーリにあげるわ」

いつの間に用意したのか、先端に色が塗られている二本の棒を取り出した。

「これを中身の見えない箱に入れて…。さぁ、クラヴィス。どちらかを選んで頂戴」

「はっ。畏まりました、マヤリィ様」

そう言ったクラヴィスの手は震えている。

運任せとはいえ、責任重大な気がする。

「どっちでも大丈夫だから、気楽に選んでよ」

「ジェイの言う通りだ。どちらを選んでも構わないぞ」

ジェイとルーリに促され、クラヴィスは選ぶ。

「…赤ね」

取り出した棒の先端は赤く塗られていた。

「ってことだから、ルーリとタンザナイトはすぐに準備を始めなさい。…クラヴィス、貴方の重大な任務はここで終わりよ。ご苦労だったわね」

「はっ!有り難きお言葉にございます、マヤリィ様…!」

くじ引きしただけで褒められるクラヴィス。

しかし、他の皆はここからが仕事である。

「審判は私。回復役はシロマ。場所は訓練所。一回戦はルーリVSタンザナイト。…いいわね?」

「はっ!!」

(タンザナイトは随分と余裕がありそうだな。…いつものことか)

ルーリは横目でタンザナイトを見るが、相変わらず何を考えているか分からないし表情は少しも崩れない。

「ルーリ様、何を考えていらっしゃいますか?」

タンザナイトは視線を感じたらしく、面と向かって訊ねる。

「いや…お前が強そうだなって思っていただけだ」

「そうですか。ルーリ様にそう思って頂けて光栄です」

全然光栄に思ってなさそうな顔で答える。

一方、ジェイは早くも二回戦の心配をしていた。

《姫…この場合、僕はどっちか強い方と戦わなければいけないってことですよね?》

《ええ、そうよ。…でも、心配しないで頂戴。貴方を桜色の都に派遣するつもりはないわ》

《えっ…?まさか、もう既に決まってるんですか?》

戸惑うジェイにマヤリィは答える。

《桜色の都に行くのは、この私ともう一人。それが誰かは…まだ秘密よ》

マヤリィはそこまで話すと、皆を連れて訓練所に『空間転移』するのだった。

突然の実戦訓練。

ルーリとタンザナイトの直接対決です。


…さて、最後に泣くのはどちら?

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