表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
流転の國 vol.8 〜桜色の都の救世主〜  作者: 川口冬至夜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

69/117

第64話 ごめんね

…ねぇ、ルーリ?

貴女の心が私の元へ戻ってくるのはいつなの?

「…姫、話は全部聞きました」

目覚めたマヤリィに『念話』で呼ばれたジェイは先ほどのことを報告した。

「ルーリは魅惑封印の『呪い』を解く方法を知りたがっていましたよ。呪いの理由が判明しても、自分では解呪出来ないんですね」

無意識のうちに自分自身に呪いをかけてしまったルーリ。しかし、それを解く方法は知らない。

「ええ。ルーリの力では無理ね…」

マヤリィは言う。

「訓練所で『鑑定』を使っても分からなかった呪いだもの。そう簡単には解けないわよ。逆に言うと、かけるのも難しいわ。…ルーリは自分の『魅惑』魔法がラピスラズリを死なせる原因になったと思い込んで、それを悔やみながら髪を切った時『誰かを傷付けるくらいなら特殊能力なんて要らなかった』と強く思ってしまったらしいの。…けれど、まさかそれが魅惑封印の呪いになるとは思いもよらなかったでしょうね」

「はい。僕も驚きました。今までに流転の國で呪いにかかった人っていましたっけ?」

「さぁ、どうだったかしら。私が覚えている限りでは、呪いにかけられた者も呪いをかけた者もいなかったと思うわ」

マヤリィは今までのことを思い返すが、前例に心当たりはない。

「…もしかしたら、種族の関係かもしれないわね」

「それは、ルーリが悪魔種だから呪いを発動出来たってことですか?」

「ええ。本来の姿は極めて人間に近いけれど、ルーリは生粋の悪魔種。私達が気付いていないだけで、悪魔種にしか出来ないことがあるのかもしれないわ」

マヤリィはそう言ってから、

「恐らくは私達だけでなくルーリ本人も気付いていないわね」

訓練所での出来事を思い出す。マヤリィに発動を促されるまで、ルーリは魅惑が使えなくなったことを知らなかった。

「…今度、悪魔種に関する魔術書を探してみましょうか」

流転の國にいるのは人間種ばかりなので、どの種族にどんな特徴があってどんな力が備わっているのか、研究を試みたことはほとんどない。

ルーリと同じ悪魔種に属する黒魔術師のネクロは死んでしまったし、天使種のティーメは留学先で命を落とした。直接話を聞けるとしたらエルフ種のシェルだが、今は流転の國よりも桜色の都領内のエルフの村にいることが多い。

(種族の違い…。なかなか難しいわね…)

例によってマヤリィが結論を出さずに考え込んでいると、ジェイが今起きている問題の答えを求める。

「それで、姫は解呪の方法を知ってるんですよね?」

(ああ、そうだったわ…)

ジェイの言葉で現実に戻ってきたマヤリィ。

「ほら、転移する時に『後で説明する』ってルーリに言ってたじゃないですか」

マヤリィはルーリ本人も気付かなかった魅惑封印の正体が『呪い』だと見抜き、その原因まで突き止めた。だから、既に解呪方法も分かっているのだろう。

今もベッドの上で話を続けているマヤリィを見て、ジェイは力強く言う。

「姫、それが僕に出来ることなら、貴女の代わりにルーリの呪いを解いてきますよ」

姫の手を煩わせることなく、ルーリの呪いを解く。ジェイはマヤリィの役に立ちたかった。

しかし、

「貴方には出来ないわ」

マヤリィに即答され、すぐに諦める。

「そ、そうですか…。では、やはり貴女でなければ解けない呪いなんですね…」

「いえ、無理よ」

「えっ…?」

「私にも解けないわ」

「えっ…?」

「魅惑封印の呪いがかかっているということも、その原因も突き止めたけれど、解呪出来るとは言っていないわよ?…っていうことを後で伝えようと思っていたの」

その言葉を聞いたジェイは身体の力が抜ける。

「…ということは、これから方法を探し出さなければいけないんですか?」

「そういうことになるわね。…でも、安心して頂戴。魅惑が使えなくてもルーリは死なないわ」

「それって、安心していいんですかね…?」

「大丈夫よ。私が必ず方法を見つけ出すから、それまでは我慢して待っていてねってルーリに伝えてきてくれるかしら?」

最終的にお願いモードになるマヤリィを前にして断れるジェイではない。

「…で、伝えたらまた戻ってきて頂戴。今夜の約束、忘れてないでしょう?」

「はい、勿論です!では、すぐに伝えてきますね。マヤリィ様の『大丈夫』を聞いたらルーリもきっと安心しますよ」

ジェイは笑顔で答える。

「ええ。よろしく頼むわね」

「はい!行ってきます!」

そう言ってジェイがルーリの元へ転移した後…。

「ごめんね、今の話は嘘よ」

マヤリィはそう呟くと、深くため息をつくのだった。

「いえ、無理よ」「私にも解けないわ」…。

ジェイにさえ嘘をつくマヤリィ様。

魅惑封印の原因が判明した時点で解呪することが出来たにもかかわらず、しばらくの間はそのままにしておこうと決めたようです。



解呪方法なんてとっくに分かってる。

でも、これ以上ルーリに浮気されたくないから解いてあげない。

そもそも、自分自身でかけた呪いでしょ?


女王様(マヤリィ)を悲しませると普通の刑罰よりもつらい出来事が貴女(ルーリ)の身に降りかかります。

(参考文献:第46話)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ