第63話 ジェイの判断
話は全て聞かせてもらった。
ここからは僕の見解を述べるだけだよ。
「…そうか。姫がそうおっしゃるなら、僕が口を出すことは何もない。君がラピスラズリを愛していることは僕もよく知ってるから」
流転の國の『罪人』、しかも女王に対する殺人未遂罪を犯して始末された人造人間を想い、無意識ながら魅惑を封印してまで彼女の死を悼み『弔いの間』に行ったルーリ。彼女の行為は國を脅かした戦犯の墓参りをするのと同じことであり、裏切りと判断されても仕方がない。
しかし、マヤリィが『愛する者を悼むのは当然のことであり、その為に弔いの間に出入りするのは自由』と言っていたことを聞いたジェイは、ルーリを罪に問う必要はないと思った。
ジェイだって、大切な人を喪った悲しみを知っている。
ルーリの場合はそれが罪人だっただけだ。
「待て、ジェイ。私はマヤリィ様の側近としてあるまじきことをしたのだぞ?…なぜ、お前まで私の罪を見逃すんだ?」
話を聞き終えた後のジェイが穏やかな声になったのを聞き、ルーリは逆に動揺する。
しかし、ジェイは優しい言葉でルーリを黙らせた。
「…だって、君はラピスを愛してるんだろう?」
「っ…」
「人を愛する気持ちを止めるなんて、そんな残酷なことは出来ないよ」
ジェイはルーリを諭すように言う。
「マヤリィ様を悩ませた件に関しては僕が個人的に恨むとして、流転の國の法律において君を裁く必要はないと判断する。…いいね?」
流転の國の法律。それは即ちマヤリィの言葉だ。
「…分かった」
ルーリは複雑な顔で頷く。
マヤリィが許し、ジェイもまた同じ判断を下すというのなら、それに従うしかない。
「ところで、君の『呪い』だけど」
ジェイがそう言った瞬間、次の言葉を待たずにルーリは聞く。一番気になっていたことだ。
「『呪い』を解く方法を教えてくれるのか?それは私に出来るのか?難しいのか?」
しかし、ジェイは首を横に振る。
「いや、僕には解呪の方法なんて分からないから…。後でマヤリィ様に相談してね、って言おうとしただけだよ」
その頃、マヤリィは自室のベッドで眠っていた。
マヤリィと同じ理由で、ジェイはルーリの行いを許しました。
が、マヤリィ様を悩ませた件に関しては個人的に恨むって言いましたよね?
ルーリの『呪い』が解けるまでにはもう少し時間がかかりそうです。




