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流転の國 vol.8 〜桜色の都の救世主〜  作者: 川口冬至夜


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第58話 休み明け

「あら、一日見ないうちにイメチェンしたのね。前髪を作りたくなったの?」

ルーリの姿を見たマヤリィは開口一番そう言った。特に驚いている様子はない。

「はい。真っ直ぐ揃えようとしているうちにだんだん短くなってしまいました」

本当は『弔いの間』に持っていく為に切ったのだが、その話はしない。

「貴女でも切りすぎるってことがあるのね。けれど、凄く可愛いわよ?なんだか若返ったみたい」

「そ、そうでございますか…?」

悪魔種のルーリは51歳。人間種に換算すると20代後半。見た目年齢も20代後半。

だが、前髪を短くしたら随分と雰囲気が変わり、今はとても若く見える。

そこへ、タンザナイトが真面目な顔で言う。

「本当に可愛らしいですよね。僕もルーリ様と同じ髪型にしようかな…」

「えっ!?その髪、切っちゃうのか?」

「冗談ですよ」

「…………!」

タンザナイトに揶揄われ、何も言い返せないルーリ。

「ふふ、さすがのルーリもタンザナイトには敵わないみたいね」

その様子を見ていたマヤリィが笑う。

すると、二人はそれぞれ跪いて頭を下げる。

「女王様の御前で大変失礼致しました」

「申し訳ありません、マヤリィ様。まさか私がタンザナイトに遊ばれるとは…」

ルーリは怒る気にもなれず、複雑な顔をしている。

そんなルーリに、

「今は貴女よりも私の方が年上に見えるわね。もうすぐ35歳だし、お姉ちゃんって呼んでくれてもいいのよ?」

マヤリィは微笑みながら言う。

「い、いえ…それは大変畏れ多いことにございます…」

「じゃあ、僕のことをお兄ちゃんって呼ぶのはどうかな?」

ジェイが話に加わる。

「マヤリィ様と同い年だっていうのに散々20代扱いされてきたからね、見た目的に今度はルーリが妹になってもいいと思う」

「なっ…何で流転の國最年長の私がお前の妹にならなければいけないんだ?」

いつもは歳を気にしているのに、いざ年下扱いされそうになるとそれはそれで気に入らないルーリさん。

「では、僕のお姉ちゃんがルーリ様で、僕とルーリ様のお兄ちゃんがジェイ様で、女王様が母上様ということですか?」

タンザナイトがややこしい話をそのまま纏めようとする。

「…成程。三兄妹ということね」

マヤリィはなぜか納得すると、

「皆、遠慮しないでお母さんに甘えて頂戴。受け入れ体勢は整っているわ」

手を広げて皆を抱きしめようとする。

そこへ、

「あ、あの…畏れながら、マヤリィ様……」

クラヴィスが言いづらそうに声をかける。

「只今10時を回りました。そろそろ会議を始める時間かと……」

「あら、本当ね。今日は皆が早く集まっていたものだから遊んでしまったわ」

そしてマヤリィはすぐに女王の顔を作ると、

「クラヴィス、貴方のお陰で会議を始められるわ。声をかけてくれてありがとう」

「はっ。勿体ないお言葉にございます、マヤリィ様」

威厳ある女王になることを諦めたマヤリィは、頑張って重々しい声音を作ることもなく、普段の可愛らしい声でクラヴィスにお礼を言う。

(マヤリィ様、今日も綺麗で可愛いな…)

クラヴィスの方は『可愛い女王様』にすっかり魅了されているので、真面目な顔で返事をしていても心の中はこんな感じである。

「では、会議を始めましょう。今日はこの間話していた桜色の都への対応を考えたいと思っているわ。既に『彼女』が流転の國にいないことをそれとなく伝えたいと思っているの。だから…また誰かを都に派遣することになるわね」

マヤリィは言う。

第51話で皆に話した通り、西の国境線の一件では『彼女』を現地へ派遣してシャドーレに挨拶させているから、可能性は低いものの名指しでヒカル殿から招待を受けることがあるかもしれない。万が一にも不審に思われることがないよう、マヤリィは早急に手を打ちたいと思っていた。流転の國内部が落ち着いた今ならば、すぐに行動を起こすことが出来る。

そして、

「誰か…とは言ったけれど、皆だいたい見当がついているかしら?」

マヤリィは既に派遣する者を決めているらしい。

「畏れながら、マヤリィ様。それは私にございますか?」

真っ先に訊ねたのはクラヴィスだった。

「ええ。貴方が行くのは当然よ。またヒカル殿を喜ばせてきて頂戴」

「はっ!畏まりました、マヤリィ様」

クラヴィスは嬉しそうに返事をする。

「それと、もう一人はね…」

皆、タンザナイトだと思っていた。

しかし、マヤリィは違う人物の名を口にする。

「ジェイ、貴方よ。何度も桜色の都に行った経験があり、シャドーレとも話し慣れている貴方なら、安心して派遣出来る」

その決定には本人も皆も少し驚いたが、

「畏まりました、マヤリィ様。貴女様のご期待に応えられるよう、任務を果たして参ります」

ジェイは側近の顔をして恭しく頭を下げる。

「これからヒカル殿に書状を送るわ。…二人とも、よろしく頼むわよ」

「はっ!!」

やがて会議は恙無く終了し、次なる任務が始まろうとしていた。

今回マヤリィがタンザナイトを行かせないことを決めたのは、近い将来ナイトがルーリに代わって『流転の國のNo.2』になるかもしれないと先読みしてのことでした。

既にその存在は知られていますが、以前桜色の都を訪れた時と比べて格段に実力を高めているマヤリィの娘。

今回は流転の城で待機です。

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