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流転の國 vol.8 〜桜色の都の救世主〜  作者: 川口冬至夜


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第38.5話 深夜

ジェイ、ありがとう…。

私は髪を切って良かったよ。

ジェイと第2会議室で愉しんだ後、ルーリは自分の部屋に帰ってきた。もう夜だが、悪魔種である彼女は特に睡眠を必要としない。

(本当に頭が軽いな…)

短くなった髪を触りながら、鏡の前に立つルーリ。

一体何cm切っただろうか。彼女の希望通りにうなじのあたりで切り揃えられた髪は、アイロンを使わなくても真っ直ぐである。優雅なウェーブヘアの面影はどこにもない。

(ジェイは反対しなかったし、理由を聞いてくることもなかった。…まぁ、理由らしい理由はないが)

昨日、ジェイの優しい言葉に包まれて安心したルーリは久々に深い眠りに落ちた。そして、今朝目覚めた時、一番最初に目に留まったのは第7会議室に置いてある道具を確認していたジェイの姿だった。

ルーリが髪を切りたいと思ったのはその瞬間だ。

それを伝えた時、ジェイはルーリの髪を綺麗だと言ってくれたが、気持ちは揺らがなかった。

もう長い髪なんて要らない。短く切ってしまいたい。

理由を聞かれたら困るが、ルーリは強く断髪を望んだ。

『「了解。それじゃ、始めるね」』…。ジェイは幾つか確認をした後、理由は聞かずに、自分の髪に鋏を入れてくれた。ひと房、またひと房と長い髪がカットクロスを滑り落ちるたび、心が安らいでいく気がした。

そして、その気持ちは今も変わらない。

(切って良かった…)

短くなった髪に指を通すと、あっという間に離れていく。

(ジェイは、また切ってくれると言っていたな…)

それを思い出すと、もう伸ばしたくないとさえ考えてしまう。

毎朝欠かさず使っていたコテも、要らないと思ってしまう。

(…さて、久しぶりに衣装部屋に行くか。この髪に似合いそうなドレスも選びたいし)

普段の格好を大きく変える気はないが、今は自分の為だけにドレスを探したいとルーリは思った。

(私にも…短い髪は似合うんだな)

ジェイの言葉を思い出し、満足そうに鏡に映る自分を見つめる。

(人間なら20代後半…か)

眠りから覚めた時、ルーリはいつもの美しさを取り戻していた。肌のくすみも目の下の隈もなくなっていた。

(なぜか少し痩せたようだが…まぁいい。これから服を選びに行こう)

ルーリはもう一度鏡を見てから、深夜の衣装部屋へ向かうのだった。

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