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流転の國 vol.8 〜桜色の都の救世主〜  作者: 川口冬至夜


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第101話 お前を守りたい

ルーリ様、今日はずっと一緒にいて欲しいんです。

マヤリィとタンザナイトが流転の國に帰還すると、玉座の間で待機していたルーリが迎えた。

「ルーリ、今帰ったわ。最高権力者代理の役目、ご苦労だったわね」

「はっ。勿体ないお言葉にございます、マヤリィ様。ご帰還をお待ち申し上げておりました」

ルーリはそう言って頭を下げる。何の問題もなく代理任務が終わり、マヤリィとタンザナイトが帰ってきたことを嬉しく思っている。

「只今戻りました、ルーリ様」

「お帰り、タンザナイト。桜色の都は楽しかったか?」

しかし、ナイトの表情は珍しく曇っている。

「ナイト、大丈夫か?何があったんだ?」

すると、タンザナイトは黙ってルーリに抱きつく。

ルーリは心配そうにナイトを抱き留めながら、マヤリィに説明を求めようとする。

が、

《今は何も聞かないであげて頂戴》

マヤリィの哀しそうな声を聞いて頷いた。

「ナイト、私が傍にいるからもう何も心配しなくていいぞ」

「ルーリ様ぁ…!」

性別を間違えられるのはいつものことなのでどうでもいいが、タンザナイトは突撃女子(スピカ)が怖かった。

あの後、盛大に(手加減した)黒魔術を披露して逆に彼女を怖がらせてきたが、未知の生物に出遭った衝撃は予想以上に大きかった。

ルーリは愛おしそうにナイトの髪を撫でながら言う。

「泣いてもいいのに」

「泣きたいところですが、涙が出ないんです」

「もしかして、そういう設計なのか?」

「いえ、違うと思うんですけど…」

そんな話をしつつ、ナイトはいつまでもルーリの傍を離れなかった。

(何があったか知らないが、どこのどいつがナイトにこんな顔させやがったんだ?いつか会ったらただじゃおかねぇ)

ルーリさん、絶世の美女が言う台詞じゃないよ。

スピカさん、シャドーレ様よりも遥かに怖い人の恨みを買ってますよ。

「ルーリ様…?」

気付けば『悪魔変化』しかけていたルーリをナイトが見つめている。

「すまない、何でもないんだ」

ルーリは(怖がらせてしまったかな…)と反省するが、タンザナイトは怖がる素振りも見せず、少し落ち着いた様子で言った。

「ルーリ様、約束です。僕の部屋に来て下さい」

「本当にいいんだよな…?」

「はい。今日は…朝までずっと一緒にいて欲しいんです」

ルーリもタンザナイトも、大幅に魔力や体力を消耗しない限りは睡眠を必要としない。

「分かった。お前と一緒に過ごせるなんて、私は幸せだよ」

ナイトはその言葉に微笑むと、ルーリを連れて自室に『転移』した。

「お前、疲れているんじゃないか…?」

転移を発動したはいいが、ナイトの顔色が悪い。

「大丈夫ですよ。桜色の都では簡単な黒魔術しか使いませんでしたから…」

しかし、その声は弱々しい。

(疲れた顔もマヤリィ様そっくりだな…)

ルーリはそう思うと、

「たまには横になれ。今測ってみたが、かなり体力が落ちているぞ?」

熱を計るように体力値を『鑑定』し、ナイトを抱き上げてベッドに寝かせた。

「すみません、ルーリ様…」

「大丈夫だ。私がついているから、何も心配しないで休め」

「ありがとうございます…」

ナイトはそう言うと、やがて眠りに就いた。その首元には、神秘的な宝石が輝いている。

(お前が私より強くなったことは知ってる。でも、私はお前を守りたいんだ…)

ルーリは死んだように眠るナイトを見守りながら、いつまでもベッドの傍らに座っていた。

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