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「ほら、きれいだろ!」
光の花が囁くように舞う丘で、アメジストのような瞳が優しく微笑んだ。
泣きべそをかいていた少年は、その微笑みに見惚れ、すっかり涙が止まってしまったようだ。
「…うん、とてもきれい」
「だろ?」
嬉しそうなアメジストのような瞳をぼんやりと見つめ、少年は傍らにあった白い花を摘むと、その花にそっと息を吹きかける。すると、白い綿毛はきらきらと光を纏いながら、星の浮かぶ夜空へと舞っていく。
いつか、一緒に。
その煌めきに願いを込めて、少年は、ちらと、アメジストのような瞳を見つめた。彼の瞳は、きっと、世界中のどの宝石よりも美しい。それに、こんなにもこの胸を苦しくさせるのは、きっと、この先も彼ひとりだけだ。
少年は、ぐいと目元を拭うと、彼に向き直り、勇気を出して、その手を取った。
いつか、ではなく、必ず。その思いを込めて見上げた瞳は、この星空よりも美しく、照れくさそうにはにかむその額に、少年はそっと誓いのキスをした。