表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/25

13話 目指せグリーンバッジ

白花視点と青野視点で物語は展開されます(今更)。



 アーチェリー部に入部して2週間。学校にも部活にも慣れて来た。そんな頃。


 「白花、一緒に弁当食おうぜ」


 お昼休憩に入ると同時に青野くんに誘われた。


 「良いけど、どうして廊下に行くの?」

 「他の部員とも一緒に食べたらどうかなって」


 あの時もそうだった。青野くんは誰とでも仲良くなれる。いや、誰にでも話しかけられるんだな。僕は2週間経った今でも部員の名前を覚えるので精一杯。クラスの人は・・・もう少し時間がかかりそう。



 連れて来られたのは4組の教室。確かここには阪東君、村山さんと末吉さんの3人がいる。だから4組で集まって食べるらしい。ちなみに水本君と飛田さんは1組と2組。2人はまだ来ていない。


 「おせえよ青坊。わびに午後の紅茶買ってこい」

 「じゃー私はミルクティーで」

 「ば、阪東のは冗談に聞こえないんだよね~」

 「てか、あの子来てなくない?」

 「飛田さん?」

 「水本の野郎もいねえじゃねえか」

 「ああ、2人は見つからなかった」

 「優等生(ゆーとーせー)はいそがしいのかなー」

 

 射場ではこうして何気ない会話もできない。別に少しくらいの雑談は良いけど、先輩たちやあの顧問の先生がまるで見張っているようで、遠慮してしまう。


 怒られるっていうよりかみんな集中してアーチェリーをするから、自然と静かになる。それに頭になんども詰め込まれた教えがある。それは──


 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だってこと。


 僕たちが使っている道具はアルミ缶も容易く射抜く。重ねた畳も貫通する。だから射場の雰囲気は体験入部のときと違って、ぴりついている。


 着替えるときとか、帰りくらいしか気を抜いて話せないから、お昼にこうして食べるのも意外と悪くな──


 「白ちゃんは自信ある?」


 し、しろちゃん!?


 「自信って、な、なにがですか?」

 「グリーンバッジだよ」

 「あ、ああ」

 「30mなんて俺ら射ったことねえし、わかんねえよな白坊」

 「白花ってニックネームいっぱいあるんだな!」

 「訂正をお願いするのもめんどくさいよ」


 青野くんと常にいる僕は、こうしてみんなとも打ち解けることができた。彼には言っていないけど、とても感謝している。


 「グリーンバッジって、30mで何射だっけ?」

 「36射で200点以上でグリーンバッジって、芝田先輩が言ってたよ」

 「てことは・・・1射あたり──」 

 「6点。内側の青色以上で取れるよ」

 「詳しいんだねしらぼー」

 「む、村山さんまで・・・」

 

 僕たちはまだ近射しか射っていない。ただ1人、水本君を除いて。


 「み、水本君なら余裕だろうね」

 「でも6点以上なら俺たちでもいけそうじゃね?」

 「青野くん射ったことないでしょ?」

 「だって満点とらなくて良いんだろ?」

 「あー。テストで平均点を目指す的な?」

 「そうそう」

 「言われてみりゃそうだな」


 満点を取らなくても良い。確かにそうだね。なんか僕でも出来そうな気がしてきた。

 でも──僕はどうせなら真ん中を射ちたい。それに30mじゃなくて、もっと遠くの距離も。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ