08 ミッション
まずは潜入。
っとその前に。
「ノルノル ノリノリ ノラにゃんこ!」
ピカリンッ
さあ、楽しい特攻勇者ミッションの始まりっすよっ。
侵入経路は例の水路から。
防水性能と潜水能力を信じてっと、
ちゃぽん
水路を潜っての侵入ってわけっすよ。
おっとアレが鉄格子、
ふふん、ノノカちゃんパワー、舐めんなよっと。
うへぇ、結構な太さの鉄の棒がぐんにゃり曲がったっすよ。
これって上手く手加減しないと、触った人たちの身体もひとたまりもないっす。
もしかして人質救出ミッションとか、苦手かも。
なんてこと考えてるうちに、上り階段の場所に到着っと。
途中に巡回見廻りのおっさんが居たけど、さすがに水中から来るとは思ってなかったようだね。
余裕でスルーできましたよ。
っと、水から上がって、
「ノルノル ノリノリ 見えなくなあれっ」
よしっ、ステルスモード、完璧っす。
でもやっぱ、かけ声、なんとかしてほしいな。
うん、まずは急いで塔を駆け登りますよっと。
騎士さんとか悪党ヅラのおっさんとか、ちらほらすれ違ったけど、
さすがステルスモード、全然問題無しっす。
で、目的地がマーキングされたナビの案内通りに塔を登ったら、ここが監禁部屋っすね。
幸い辺りに人影は無しっと。
それじゃあ遠慮なく。
ふんぬっ
はい、扉をぶち破ってと。
こんにちは、クリシア様。
救出に伺いました、特攻勇者ノノカちゃんですよっ。
あー、怯えさせちゃったかな。
やべ、ステルスモード解除してなかったよ。
えーと、かけ声は、
「ノルノル ノリノリ 丸見えにゃんっ」
うひゃぁ、クリシア様、そんな目で見ないでくださいよっ。
こんなカッコでこんな言動でも、ちゃんと正義の味方なんですよぅ。
早いとこ誤解を解かねば、
それじゃ、はい、お手紙ですよ。
……
うん、エルミナからの手紙、読んでもらえました。
なんとか信用してもらえたみたいっす。
それじゃ、脱出ミッション、いよいよクライマックスっすよっ。
現在の残存魔素は、残り10%ほど。
でも平気っすよ、今回は準備万端ですから。
それじゃ、脱出計画の仕上げっすよ。
「ノルノル ノリノリ お空にふわりっ」
ごめんなさい、クリシア様。
またそんな目で見ないでくださいよぅ。
えーと、ただいまの私、天使のような羽根が生えちゃっております。
第3巻『ノノカと試練の塔』で悪党の城からお姫さまを救出する際に使った、エンジェルモードですね。
もちろんあれと同じように、クリシア様をお姫さま抱っこして塔から飛び降りるのですよっ。
そして現在の残存魔素は310%
アリシエラさんが今回のミッションに間に合わせてくれた、
魔素増槽ブースタータンクのおかげっすね。
略称は……聞かなかったことに。
見た目はランドセルそのものですが、
ご覧の通り使用可能魔素量がめっちゃ増えちゃうスグレモノっす。
エンジェルモードと併用すると、ランドセルから羽根が生えてるっていうシュールな見た目になっちゃいますが。
ではいよいよ、たおやかフェミニンボディーのクリシア様をお姫さま抱っこしちゃいますよっ。
クリシア様、なんか諸々諦めちゃったような表情なんですが、
失礼してっと、
うひゃぅ、柔らけぇな、
あったかくやわらかくて、なんか何もかもどうでもよくなっちゃうくらい気持ちよいですよ。
なにこれすごい。
こほん
えーと、ヘブン状態してる場合じゃないっすね。
お姫さま抱っこならぬ王妃さま抱っこしたまま、
行きますよっ。
レッツ、フラーイ!
ひゃっほう、飛んでますよっ。
正確には滑空なんですけどね。
複雑な操作は不要です。
ナビ画面に着地可能地点が表示されますので、それを選ぶだけ、ですよっ。
よしっ、そろそろっ、ちゃ、く、ち、っと。
ふいー、成功っす。
よっしゃ、バッチリ正義のヒロインできましたっ。
ノノカちゃん、大興奮ですよっ!
それに、ずっとクリシア様にしがみつかれちゃってたんですけど、
あったか柔らか良い匂いの幸せ三重奏で、
モノカも大興奮ですよっ!
このままお持ち帰りしちゃおうかしらん、
って、クリシア様ごめんなさい、
ヤリすぎちゃって立てなくなったみたいなんで、
このまま王妃さま抱っこで、みんなのところへ向かいましょうか。
というわけで、
やりましたよっ、
特攻勇者ノノカちゃん、
囚われの王妃様を無事に救出、
ミッション大成功!
えーと、今回の私の口調がずっとこんな感じなのは、素のノノカちゃんまんまなんっすよ……