07 救出
実は以前から私たちの仲間、クリスとクロとササエさんが、ツァイシャ女王様の密命を受けてエルシニアに潜入しておりました。
今回のクーデターちっくな反乱のリーダー、ベラルタ将軍からあらかじめ決行日を聞いていて、それに間に合うようにクリシア王妃様の脱出計画を進めていたそうなんですが、なぜか反乱計画が前倒しで実行されちゃって、残念ながらこんな厄介な状況に。
で、実力行使の強行突入をされる前に、救出ミッション関係でいろいろと実績のある私たちのチームが呼ばれたのです。
メンバーは四人。
軍隊指揮の経験も豊富なリーダー、シェルカ。
敵集団無力化魔導具の使い手、シジミ。
対人戦で相手を無力化させることに長けた、ミナモさん。
そして不殺の特使勇者こと私、モノカ。
歯はへし折っちゃいますけどね。
本当は条約違反なんだけど緊急事態ってことで、エルシニア近郊まで『システマ』で送ってもらって、クロたちと合流しました。
以前から関わっていた三人は、今回の事態にすごく責任を感じているようです。
いや、問題があるとすれば、約束の期限を守らなかった将軍側でしょうに。
「すまない、モノカ。 これだけの大きなうねりはベラルタ将軍でも御せなかったようだ」
クロが謝ることじゃないでしょ。
まずは強行突入される前にやれることをやっときたいんで、クロたちの元々の計画、教えてもらえるかな。
えーと、クロ新開発の『時限式変身薬』を使って城内の構造に詳しいササエさんが王城に潜入。
塔の上の方にある、クリシア様がいる部屋まで行って保護。
『時限式変身薬』をクリシア様にも飲ませて、穏便に脱出。
ほう、キツめの『転送』阻害結界があるっぽいので、クロの『転送薬』は不可、と。
なるほど、それじゃ質問、いくつかするね。
クリシア様の監禁場所は、今でも同じだと思う?
「監禁しやすさとしても守りやすさとしても他の場所へと移送するメリットは無い、が私たちの出した結論だよ」
ふむ、それじゃ次の質問。
前にカミスたちが脱出に使った地下水路って、まだ使えそう?
「問題は水路出口を塞いでる鉄格子と、警報魔導具持ちの見張りに気付かれない事、かな」
オッケー分かった。
それなら私の計画を聞いて。
そして、特攻勇者的救出計画の幕が開いたのです。