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05 仕様


 そうして、ノノカちゃん関連の出来事は、良し悪し問わず、各方面へと飛び火していくのです。


 まさに良し悪し問わずに……



「こんにちは、モノカさんっ」


 こんにちは、アリシエラさん。


 今日はどんな発明ですか。



「良くぞ聞いてくれました」

「今、ちまたで話題のアレですよっ」


 アレ?



「そう、これこそが新開発っ」

「『特攻勇者ノノカなりきり変身セット』なのですっ」


 マジですかっ。



「マジですよっ」

「オリジナルノノカちゃんことモノカさんに敬意を表して、変身試験第一号の栄誉をどうぞ、ですよっ」


 いま試験って言いませんでしたか。



「大丈夫ですっ、基本的には『黒猫嵐』が着て大活躍していた信頼と実績の『シグレ』こと身体能力グレードアップレオタードなのですっ」


 いまレオタードって言いませんでしたか。



「大丈夫ですっ、今回のコレは漫画版ノノカちゃんの変身衣装をバッチリ再現した露出度控えめ全年齢仕様ですよっ」


 えーと、それじゃ、やってみますね。



「このマジカルステッキ『ゼファール』を高く掲げて」

「『ノルノル ノリノリ ノラにゃんこっ』と、大きな声で、ですよっ」


 あーそうだったよ、この変身セリフ、ハードル高すぎやしませんか。



「無敵の変身ヒロインは羞恥心なんかには負けないのですっ」


 分かりましたよぅ、って、あれ?


 いつもの音声認証システムだと、さっきのアリシエラさんのセリフで自ら変身してたんじゃ。



「大丈夫ですっ、今回の変身セットは二段階認証なので、意図せぬ変身はいたしませんっ」

「『ゼファール』を高く掲げることで第一段階のロック解除」

「変身セリフの声の大きさこそが第二段階のロック解除の条件、なのですっ」


 なるほど、親御さんも安心な親切設計ですね。



「それでは、遠慮なく変身しちゃいましょうっ」


 よござんす、覚悟を決めてやっちゃいましょう。



『ゼファール』を高く掲げまして、と、


 こほん



「ノルノル ノリノリ ノラにゃんこっ」



 ピカリンッ



「大成功ですっ、今のモノカさんは、めっちゃノノカちゃんしてますよっ」


 うそ、これがワタシ……


 って、自分じゃ分からんって。


 私の部屋って、おっきな姿見は無いんだよね。


 鏡台を開いてっと。



 うひゃぁ、まさにめっちゃノノカちゃんだよっ。


 って、三歳下のノノカちゃんの衣装が似合っちゃう私……



 えーと、気を取り直してっと、


 うん、結構イケてるじゃん。


 やるなネルコ、このデザイン、露出度控えめだけどバッチし可愛いよね。


 いや可愛いのは、私じゃなくて衣装の方だってば。



「着心地はいかがですかっ、ノノカなモノカさんっ」


 最高ですよ、アリシエラさん。


 これってもしかして、



「そうです、あの耐"G"スーツと同じ素材、『絶金』複合素材で高い総合防御力と優れた柔軟性を実現」

「もちろん蒸れを防止するための魔導空調システムも完備」

「それに加えて先ほども申しました通り、あの『黒猫嵐』も愛用していた『シグレ』こと身体能力グレードアップレオタードの技術も応用されているのです」

「劇中でノノカちゃんが魅せてくれたスーパーパワーも完全再現ですよっ」


 ちょっと待って、完全再現ってことは、



「はい、もちろん、第5巻『ノノカと道の途中』で魅せたあの名シーン」

「オリハルコンやら何やらの各種特殊合金製ゴーレムを素手でブッ壊しまくるところも、完全再現可能なのですっ」


 これってお子さま向け変身セットじゃなかったの!?



「いいえ、今回の衣装はノノカちゃんの能力の完全再現にして完璧なりきりがコンセプト、なのですっ」


 じゃあ、めっちゃジャンプしたり、水中も自由自在に泳げたり、パッと姿を消したり、


 あと、手からスッゴイビームッ!



「もちろんです、と言いたいのですが、残念ながら私の魔導具テクノロジーにも限界はあるのです」


 ……



「ジャンプの方は技術的には完全再現が可能だったのです」

「ただし、衣装のサポート力が中の人の身体能力の限界を上回らないようにリミッターが作動しますので、どこまでジャンプできるかは中の人次第かと」

「えーとつまり、衣装が中の人の耐えられる限界以上の速度で動いて筋肉や骨がアレしちゃうのを防止するリミッターが付いてるってことですよ」


 …………



「水中行動の方はかなり再現度が高いのです」

「新開発の『ハマグリ』こと汎用型魔導転換群性気体リサイクルシステムによって、魔素が続く限りの潜水が可能ですっ」

「ただ問題は、自由自在に泳ぐ、の方なのです」

「平たく言うと、水泳能力は中の人次第なので、自由自在に泳ぎたかったら要特訓、ですっ」


 つまりカナヅチはNG……



「パッと姿を消す、ですが、こちらは完全再現ですっ」

「スマキシリーズに追加装備されたステルスモードと同等の機能が実装されてますよっ」

「ただし、貯蔵魔素の容量が小さいので、持続時間はスマキより短めですっ」


 それでも十分スゴいですって。



「そしてお待ちかねっ、手からスッゴイビームッ」

「原作でおなじみの、例のポーズと例の掛け声で、スッゴイビームが発射されますっ」

「魔導水鉄砲『マスミ』のファイナルシュートを参考にしてみましたっ」

「残存魔素全てをエネルギー波に変換して発射する最終最強必殺技ですっ」

「魔素満タンでしたら『絶金』防壁でもヤバいですよっ」


 もしかして魔素を全部使っちゃうってことは……



「ご推察の通りっ」

「撃ったら即、変身解除、ですよっ」

「なぜなら最後の手段である必殺技、だからなのですっ」

「やむを得ずにすっぽんぽんで変身した時は、絶対に必殺技禁止、ですよっ」


 心底理解できました。



「もちろん、他にも特攻活動をサポートする機能盛りだくさんなのですっ」

「簡易版『Gふなずし』とも言える通信・索敵・ナビ複合システムを標準装備」

「残念ながらこの衣装で使用した魔導塗料は原作再現にこだわったカラフルバージョンなので、オリジナルの漆黒色塗料の70%ほどの性能なのです」



 なんか視界にいろんな情報が見えてますね。


「いまモノカさんの視界の右上に見える円グラフと数字が、残存魔素の総量となっております」


 えーと、今は90%くらいかな。



「激しい活動をするほどぐんぐん減っちゃいますので、実戦にて減り具合を確認するのが一番だと思いますよっ」


 えーと、コレを着て実戦、ですか……



「御使用後のレポート次第でバンバン改良しちゃいますので、ジャンジャン特攻勇者しちゃってくださいねっ」

「あと、外気からの魔素補充の必要性は今までの魔導具といっしょですので、『ゼファール』を『収納』に入れっぱなしはNGですよっ」


 ありがとうございます、アリシエラさん。


 それとひとつだけ、欲しい魔導具があるんですけど。



「なんでしょうっ」


 ネルコの魅力隠蔽眼鏡みたいな、本人識別阻害眼鏡なんて、作れますかね。



「ほほう」


 えーと、ノノカちゃん人気が凄すぎて、私の日常生活に支障が出ちゃってまして、


 ぱっと見で私とはバレない魔導具が欲しいなって。



「了解ですっ」

「実は私が『黒猫嵐』で大活躍しちゃってた時、そんな感じのマスクを使ってたのですよっ」

「帰ったらすぐに取り掛かりますので、乞うご期待ですっ」


 本当にありがとうございます。



「そうだ、最後にもうひとつ」

「マジカルステッキ『ゼファール』なんですが、『ゼファー』と同等の素材・構造ですので、普通に打撃武器としても有効活用できますよっ」

「刃物では無いので棍みたいに使ってくださいねっ」

「それでは、レポートの方、よろしくお願いしますっ」


 ありがとうございました。



 って、アリシエラさんっ、変身解除は!?



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