03 計画
「どうしましょう、モノカ」
どした、ネルコ。
っていうかこのパターンって、ネルコがアレなことをしでかす前フリみたいなんだけど。
「酷いですよ、モノカ」
「こっちはクリエイターとして大ピンチなんですよっ」
ごめんネルコ、とりあえず話しを聞かせて。
えーとなになに、
『特攻勇者ノノカ』の漫画化計画が始動したけど、
なにせこの異世界には今まで漫画文化なんて無くて、
ボケモノカードシリーズのイラストレーターとして業界第一人者のネルコ先生に、
コミカライズ担当として白羽の矢がブッスリ、ですか。
「みんな漫画を甘く見過ぎですよっ」
あーなるほど、絵の上手さは必ずしも漫画としての面白さとはイコールしない問題、ですな。
「今までどれだけの神原作がその問題で潰されてきたことかっ」
まてネルコッ、その話題はこれ以上の深追いはイケナイ。
ふー、いったん頭を冷やして冷静になってと、
その漫画化計画って、急ぎってわけじゃないんだよね。
「締め切りどころか計画自体もまだまだ始まったばかりですよ」
じゃあ原作者の『しらたき』先生とじっくり相談しながらってことも、できちゃうよね。
「もちろんですとも」
「原作者の意向を無視しての漫画化なんて、私のクリエイター魂を賭けてもいいくらいにあり得ませんって」
「もちろん、モノカの「魂」も賭けよう!」
グッドなわけねえだろっ。
『しらたき』先生っていうかシクレさんにご迷惑じゃなかったら、
ふたりで納得のいくまで話し合いながらの方が良いんじゃないかな。
せっかくのこの異世界での漫画化第一号なんだしさ。
「そうですよね、モノカ」
「今の私がやるべきなのは、あの神原作の世界観を壊さないように全力で子供たちにお届けすること、それだけですよねっ」
分かってるじゃん、さすがネルコ。
「それじゃ、しばらくアルセリア王都に引きこもってくるって、フナエさんにも伝えてきますね」
「チャオ、モノカ!」
シクレさんによろしくね、ネルコ。
しまった、変身後のノノカちゃんの露出度、先に注意しておかないとっ。
待て、ネルコッ。
アレは全年齢だからなっ。