02 対策
ヅラとメガネとだぼだぼローブにて完璧変装モード、っていうか不審者丸出し状態で、シクレさんの店舗兼住居へ到着。
「あら、モノカさん、いらっしゃい。 今日はおしゃれさんですね」
いや、おしゃれもおさるもないのですよ、シクレさん。
こんな変装でもしなければ街を歩けなくなったこと、どうにかしてくださいよぅ。
「本当にごめんなさい、モノカさん」
「でも、ここまで事が大きくなってしまうと、作者の私でさえどうにも出来なくなるの」
なんとかならないのですか。
例えば、お約束のヒロイン交代劇なんかしちゃって、すかさずオリジナルの新ヒロイン登場! みたいな。
「実はもう試してみたの」
「ノノカちゃんが願いを叶えて元の世界に帰っちゃうお話しだったんだけど……」
どうでした?
「出版社の皆さんのお子さんにお試しで読んでもらったのだけれど、みんな大泣きしちゃって、こんなの絶対にダメって叱られちゃったの」
泣きたいのはこっちですよぅ。
それじゃ、新ヒロイン候補をどんどん登場させて、ノノカちゃんより人気が出た娘と交代させるって感じだったらイケませんか。
「どんな娘たちなんです?」
『白翼乙女騎士シェリカ』さんとか、『魔女っ娘お姉さんヘルミスカ』さんなんて、どうでしょう。
「あら素敵」
『やんちゃなプリンセスエリミナ』さんとか、『食いしん坊妖精フィラ』さんなんてのも、イケるかも。
「いいわねえ」
「ちっちゃな子たちを登場させるのも面白いかも」
「お姉さんなマクナちゃんと、しっかり者のニケレちゃんと、甘えん坊のハムシャちゃんと、おとなしいマリノちゃんの、四人のちっちゃな冒険者が大人顔負けの大活躍、みたいな」
「すごく楽しそうねえ」
それじゃあってことで、思いつく限りの新登場人物をメモりまくった私。
容姿やら性格やら、念入りに設定させてもらいましたよ。
「新しいお話し、頑張ってみるわね」
期待しておりますっ。
そんな感じで有名税対策したつもりだったのですが、
なぜか新キャラが登場するたびにシリーズの人気がますますのうなぎ上り。
ノノカちゃんの知名度もさらにアップでモノカ困っちゃうという、
お後がよろしいようなよろしくないようなお話し。