18 宴
お帰りになる子供さんや保護者さんたちを、野外劇場特設出口で、みんな並んでお見送り。
いろいろあるかもなんて心配したけど、子供たちはちゃんと笑顔でお別れしてくれましたよ。
応援ありがとね、みんな。
これからも特使勇者、頑張っちゃうよ。
でも、特攻勇者の方はちょっとだけお休みさせてね。
最後の子を見送る頃には、劇場のお片付けも終了。
そして、裏方さんたちが用意してくれていたお疲れさま会へ。
まったりリラックスできる、和やかお疲れさま会です。
なによりも、街の有志スタッフさんたちが私たちに気を遣ってくれていることが嬉しかったですね。
サインや握手はほどほどに、今回の公演の成功をみんなで喜び合うって感じが、とても素敵でした。
おや、あちらの隅っこで、ツァイシャ女王様とこの公演のエルシニア側の責任者の方が、なにやらご相談中。
あら、シクレさんがお呼ばれされましたよ。
なんだか謀りごとな気配、近寄るべからず、かな。
いかにツァイシャ女王様といえども、追加公演ってのはナシですからね。
そしてあちらでは、ちっちゃな四人娘に取り囲まれちゃってるアランさん。
最近『読み聞かせおじさん』として大人気なのです。
「あれこそが今日のお仕置きなのだ」
どういう意味ですか、リリシアさん。
ははあなるほど、あの四人は保護者なご婦人方やスタッフのお嬢さんたちを『召喚魔王アライヤン』の魔の手からガードする守護天使ちゃん部隊なんですね。
でも、あまり『モンスター』を押さえつけちゃうと、後からおうちで暴れたりしませんか。
「任せろモノカさん。 メンバートレードで交流が増えたおかげで、お仕置きのバリエーションも豊富になったのだ」
うん、頑張れ、アライヤン。
「お疲れさま、モノカさん」
フィナさんも、楽しめたみたいでなによりです。
けんちゃんたちともたくさんお話しできたみたいですね。
「うん、お互い見た目も中身も変わらないから、いつ会ってもいつも通りって感じかな」
良いことですよね。
変わらず元気が一番って。
「みんなは良い感じにいっぱい変わってほしいな。 あんな風にさ」
フィナさんの視線の先には、
困り顔のシナギさんにぴたりと寄り添うにこにこイヴさんと、
それを嬉しそうに見ているアイネとリシェルさんとミナモさん。
えーと、頑張れ、シナギさん。
そんなこんなでいつも通りのみんなを眺めている私。
この平穏を守らねばとの誓いも新たに、
特使勇者活動に邁進する所存。
もちろんたまには特攻勇者しちゃっても、いいよね。




