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赤毛の伯爵令嬢  作者: もも野はち助
【本編】

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5/21

5.視察

 翌日、ジェラルドは約束通りアストロメリア家の紋章入りの馬車に乗って、オーデント邸にやってきた。

 外出用のドレスに身を包んだクレアが馬車が止まるのを待っていると、外側から馬車の護衛をしていた男性が馬から降りてきて挨拶をしてくる。

 

「ジェラルド様の護衛を務めておりますコリウス・ベイリーフと申します。本日、護衛を務めさせていただきますので、以後お見知りおきを」

「クレア・オーデントと申します。本日はよろしくお願い致します」


 二十代半ばくらいの騎士らしき青年はジェラルドよりも年上のようだ。

 クレアが名乗ると、馬車へ乗るように丁寧な様子で促してきた。

 そんな彼の手を借りながら馬車に乗り込むと、今度は笑みを浮かべたジェラルドが席に着くまで手を貸してくれる。


「クレア嬢、このような早朝から申し訳ない。ですが、あなたに同行してもらえば非常に心強い。案内役を引き受けていただき感謝いたします」

「少しでも閣下のお役に立てるのであれば、いつでもお声がけください」


 そう返してジェラルドの向かいに座ったクレアだが、馬車の内装に圧倒された。

 派手さはないが内壁や椅子にはかなり高級な生地が使われており、座り心地の良さに驚く。

 流石、公爵家の馬車だと感心しているとジェラルドが本日の予定を告げてきた。


「これからリーネル農園とマウロ農園というハーブ園を視察する予定です」

「リーネル農園はラベンダーやローズマリー、マウロ農園はカモミールを扱っておりますね。ですが、ラベンダーに関しては早咲きでも来月辺りからなので、今はあまり見頃ではないかと」

「ええ。もちろんそのことも確認済みです。ただ今回の視察は、農園側がハーブの品質管理をどこまでこだわっているかを知りたいので問題ないです」

「でしたらリーネル農園は、閣下のご希望に合った育て方を一部しております。基本的には当領内のハーブは料理用やハーブティーとしての需要が多いのですが、リーネル農園はストレス緩和に効果が高いハーブを徹底した品質管理のもとで一部栽培しているので」


 クレアの返答に引っかかりを感じた様子のジェラルドが首をかしげる。


「一部……ですか?」

「はい。リーネル農園も通常は効率よく量産できるハーブの育て方をしております。ですが、顧客層には香りの品質にこだわる調香師や上質のハーブウォーターを求める貴婦人もいらっしゃるので、この農園では一部高品質なハーブを取り扱っているのです」

「なるほど。では、うちもそのハーブの取引契約をすればいいのですね」

「一概にもそうとも言えません。高品質のハーブは単価が高いので、まずは取引価格をご確認されてから決められたほうがよろしいかと思います」

「確かに……」


 すぐに契約しそうな勢いだったジェラルドはクレアの助言で冷静になり、気恥ずかしそうに苦笑する。

 一見、穏やかな雰囲気で会話を楽しんでいるようなクレアだが、内心ではすぐに話題が途切れてしまうのではないかと冷や冷やしていた。


 オーデント家から各農園までの移動時間は馬車で四十分程かかる。

 その間、この閉鎖的な馬車の中で高貴な身分のジェラルドと二人だけで過ごさなければならないのだ。

 できるだけ彼を退屈させぬよう配慮しなければならない重圧から、クレアの胃はシクシク締め上げられる。

 だが、その心配は無用だったようでジェラルドのほうから積極的に質問をしてきてくれた。


「クレア嬢、あなたは随分とリーネル農園にお詳しいようだが、何か深いご縁でも?」

「閣下、わたくしへの気遣いは無用でございます。どうぞ、クレアと気軽にお呼びくださいませ。口調も普段使用人の方に使われている砕けた言葉使いでお願いしたいです。改まった口調をされてしまうと、こちらも恐縮してしまいます」


 実は昨日から、本来のジェラルドは事務的な口調が主流ではないかとクレアは感じていた。

 しかし女性である自分を気遣い、できる限り柔らかな口調を心がけてくれているように思えたのだ。

 その心遣いには本来感謝しなければならないのだが、王弟に気遣われながら会話されてしまうと、中堅クラスの伯爵令嬢でしかないクレアは困惑してしまう。

 なによりジェラルドが、昨日から話しづらそうなのが気になっていた。


 クレアがそう申し出ると、一瞬だけジェラルドの動きが止まった。

 そしてすぐにフッと笑みをこぼす。

 その反応に少しだけ緊張がほどけたクレアは、先ほどされた質問に答える。


「リーネル農園は、わたくしが好むハーブを多く取り扱っているので個人的によく足を運ぶのです」


 正確に言うとクレア好みのハーブではなく、クレアが頼ってしまうハーブを多く取り扱っているので訪れていることが多い。

 実はイアルに婚約解消の件を言い出せなかったクレアは、そのストレスから片頭痛に悩まされていた。その痛みを和らげる為にこの農園で栽培されたローズマリーやラベンダーの精油を愛用していた。


「では、あなたはそれらのハーブをどのように愛用されているのだ?」


 早速、普段使い慣れている口調に変えてきたジェラルドにクレアが安堵する。

 やはり本来の彼は事務的な話し方をするタイプで合っていたようだ。


「精油ですと、水を張った小皿に精油を数滴垂らし下から温めると、部屋がその香りで満たされるので気持ちを休ませるために使用しております。他にもバスタブに数滴垂らして香りを楽しんだり、ハンカチに染み込ませて気分を落ち着けたい時に活用しておりました。ハーブウォーターですと、美容液として利用することが多いですね」

「やはりハーブウォーターは、美容関係で女性の需要が高いのか……」

「ええ。特に妙齢の女性は、美に対しての追及は計り知れませんので。ですので、もし良質の精油を特産品の一つにするのであれば、蒸留のついでに副産物として得られる質の良いハーブウォーターを主軸商品にし、限定品として高品質の精油を売りにされても充分利益を得られると思います。ちなみにハーブウォーターは、美容液以外にもお部屋の消臭として使えるので、性別に関係なく需要の幅が広がるかと思います」


 すると何故かジェラルドが、じっとクレアを見つめてきた。

 いくら案内役とはいえ、この閉鎖的空間で見目麗しい貴公子にジッと見つめられると年頃のクレアはドキリとしてしまう。


「これだけ自領の特産品を魅力的に紹介できるご息女が跡取りであれば、オーデント伯も鼻が高いだろうな。確かあなたには婚約者がいると聞いているが、将来的にその男性と共にお父上の仕事を引き継がれるのかな?」


 ジェラルドの問いにクレアの表情が強張る。

 確かに少し前まではイアルが婚約者だったが、現状は解消へと話が進んでいる。

 しかしここ直近でクレアがその決断をしたため、ジェラルドは知らないのだ。

 そのことを伝えるべきかどうか迷ったクレアが一瞬、口ごもる。


「その……家督は恐らく妹の夫となる男性が継ぐことになるかと思います」

「しかしオーデント伯は、あなたに家督を継がせようとご準備されていたように思うのだが」

「実は数日前にわたくしは目指したいことがあると父に伝え、先方に婚約解消の話を打診してもらっている最中でして」


 バツが悪そうに語られたその内容にジェラルドが大きく目を見開く。


「それは知らなかったとはいえ大変失礼した。ちなみにあなたの目指したいこととは?」

「実は淑女教育を指導する立場に興味がありまして。将来的には家を出て、令嬢向けの教育係として生計を立てたいと考えております」


 はにかみながら答えると、ジェラルドは腑に落ちないという様子で顎に手を当てる。


「確かにあなたなら素晴らしい教育係になれると思うが、ここまで自領のことを熟知されている人物が家督を継がないのは実に惜しいと私は感じてしまう」

「お褒めいただき、ありがとうございます」

「しかしお父上が優秀なあなたを簡単に解放するとなると、妹君もあなたに負けないくらい優秀な女性という認識でよいのかな?」


 やや含みのある言い回しをしてきたジェラルドにクレアが焦りだす。

 恐らくジェラルドは、ティアラがどういう令嬢なのか軽く調べていたのだろう。


 この状況から彼はあまり妹に興味がないことは確定したが、同時に今後のオーデント家との取引に不安を抱く可能性が出てきてしまった。

 それを懸念したクレアは、妹が家督を継いでも問題がないことを主張する。


「妹はその、少々自由すぎる性格でして。わたくしとはまた違ったタイプになります。ですが妹の伴侶にはしっかりとした男性を父が選ぶと思いますので、今後オーデント家と取引していただくことには影響は出ないかと……」


 言い繕おうとすればするほど説得力に欠けてしまい、クレアの声が尻すぼみになる。

 その様子を目にしたジェラルドが吹き出した。


「そんなに警戒しなくてもいい。家督を継ぐのが妹君になるとしても、私はこの話を前向きに検討している」


 そう言いつつも目の前の彼は必死で笑いを噛み殺している様子だ。

 そんな反応をされ、クレアが恥ずかしさで顔を赤らめる。

 やはりジェラルドは、ティアラがどういう令嬢なのか把握しているようだ。

 クレアたちが必死でティアラと面会させないように動いていたことは、彼には全てお見通しだったのだろう。

 これは早々に父に報告しなくてはならないと、クレアは使命感を抱く。


 そんな雑談なども交えて会話をしていたら、あっという間にリーネル農園に到着する。

 先に馬車から降りたジェラルドは、エスコートするようにクレアに手を差し出してくれた。

 恐縮しながらもその手を取って、馬車を降りる。


 外に出ると、ちょうど咲き頃のローズマリーの爽やかな香りが広がっていた。

 そしてほんのりラベンダーの香りもする。

 どうやら開花はしていないが、蕾から少し香っているようだ。

 その香りを味わっていると、農園の従業員や手伝いの者達が緊張した面持ちで集まりだし、二人を出迎えてくれた。


「アストロメリア公爵閣下、このような場所にわざわざ足をお運びくださり、誠にありがとうございます! 当農園の責任者ボリジと申します!」


 挨拶をしてきたのはリーネル農園の管理責任者であり、幼少期からクレアを孫のように可愛がってくれるボリジだ。

 五十代半ばの彼は、チャキチャキした性格で領主である父セロシスにも気さくに話しかけてくる人物なのだが、流石に公爵が相手ともなると勝手が違ってくるらしい。

 ガチガチに緊張している。

 そんな彼の様子が面白かったため、つい噴き出しそうになったクレアが慌てて口を押さえる。


 対するジェラルドは、従業員たちに仰々しい出迎えをさせてしまったことに責任を感じ、すまなそうな様子を見せる。


「どうやら私の急な訪問で作業の手を止めてしまったようだな……。私の事は気にしなくていい! 責任者の彼以外は、いつも通り仕事に励んでくれ!」


 ジェラルドのその言葉に皆が一斉に顔を見合わせていると、ボリジが大声で皆に声掛けをする。


「公爵閣下のお計らいだ! 皆、すぐに作業に戻ってくれ!」


 その合図で皆が一斉にお辞儀をしながら作業に戻っていく。

 すると、ボリジが本日の視察予定をジェラルドに確認しはじめた。


「公爵閣下、本日はどのような部分を中心にご視察なされますか?」

「クレアから、かなり品質管理に拘って栽培しているハーブあると聞いたので、その件について色々知りたい」


 リーネル農園で高品質なハーブが育てられていることは、あまり表立って売りにはしていない。

 その情報をすでにジェラルドが知っていることに驚いたボリジが、案内をしてもよいのか確認するようにクレアに視線を向けてきた。

 それに応えるようにクレアはニッコリと笑みを返す。


「ボリジ、お願い。そのハーブを育てている場所へ閣下をご案内してさしあげて」

「かしこまりました。では、こちらへどうぞ」


 先程よりいくらか肩の力が抜けたボリジが二人を目的の場所まで案内しはじめる。

 三人の後ろから、護衛であるコリウスが少し距離をとりながら続いた。

 その間、クレアは移動しながら簡単にジェラルドの目的をボリジに話す。


「閣下は高品質の精油を自領の特産品にしたいとお考えなの」

「高品質の……ではパフュームなどの商品開発をお考えで?」

「初めはそのつもりだったのだが、どうやらそれには専門的な調香知識と技術がいるようなので、現在は精油のみの製造を考えている」

「確かにその方がよろしいかと思います。精油には品質期限という物がございまして、製造日より日が経ってしまうと香りが飛んでしまったり、逆に濃厚すぎる香りになって粘りが出てしまう物もございますので。品質にこだわるほど精油の管理は大変になります」

「なるほど……」

「よろしければ高品質のハーブから精製した精油を、いくつかご用意いたしましょうか?」

「いいのか?」

「ええ。是非サンプルとしてお持ち帰りください」

「助かる」


 大分慣れてきたのか、シャキシャキした話し方に戻ったボリジに比べ、ジェラルドのほうはクレアと話している時以上に事務的な口調になっている。

 恐らくこれが彼の周囲の人間に対する本来の接し方なのだろう。

 そういう意味では、クレアは大分気遣いある対応をされているということだ。

 そのことに気づき気恥ずかしくなっていると、濃厚なローズマリーの香りが漂ってきた。


「あちらが高品質のハーブを育てている場所でございますね。私の息子のカイルが担当しておりますので、よろしければ呼びましょうか?」

「ああ、是非頼む。色々と聞きたい」

「では少々お待ちください」


 そう言ってボリジは、近くにある作業小屋へと入っていった。

 恐らくそこにカイルがいるのだろう。

 するとジェラルドが、ふいに声をかけてきた。


「クレア、あなたはあの農園主とは、随分と打ち解けているようだが……」

「ええ。幼い頃からよく父に連れられてきたので、彼にはかなり可愛がってもらいました」

「では彼は、まだ幼かったあなたのことをよく知っていのだな」


 目を細めながらそう口にするジェラルドにクレアが一瞬、ドキリとする。

 そのタイミングでボリジがカイルを連れて戻ってきた。


「閣下、息子のカイルです。よろしければ息子に高品質ハーブの栽培所を案内させますが、いかがいたしますか?」

「是非、お願いしたい。カイル、よろしく頼む」

「はい! ではご案内いたします!」


 カイルと共にハーブの所へと向かうジェラルドの後ろを護衛のコリウスが付いて行く。

 その後ろ姿を見つめていたクレアにボリジが話しかけてきた。


「いや~、本日はクレアお嬢様がご一緒だったので本当に助かりました! 私一人では公爵閣下のお相手は恐れ多くて、途方に暮れてしまうところだったので」

「私もあなたと一緒よ。この後その恐れ多い公爵閣下と共にマウロ農園にも行かなければならないの」

「ですが先程、閣下はお嬢様を敬称なしでお名前呼びされていましたよね? お二人は、それなりに関係醸成がなされた状態ではないのですか?」

「まさか! 閣下とは昨日お会いしたばかりよ?」

「さようでしたか……。ならば今回は随分と大役をお父上より任されてしまったのですね。セロシス様はお忙しいのですか?」

「今回は閣下が女性目線のご意見をご希望されたので、私に案内役の白羽の矢が立ったの」


 それを聞いたボリジが苦笑する。


「なるほど。ティアラお嬢様では公爵閣下のご対応は難しいものになりますからね……」

「ボリジ、そんなことを言わないで? 恐らく父の後を継ぐのはティアラと、その夫の男性になると思うから」


 それを聞いたボリジが大きく目を見開く。


「で、ですが! 次期ご領主はクレアお嬢様のご婚約者のイアル様と!」

「近々、婚約を解消する予定なの。言い出したのは私なのだけれど」

「そんな! イアル様はとても真面目な方だったので、次期ご領主として我々も安心し切っていたのに!」

「ごめんなさい……。でもお父様はティアラの伴侶として優秀な殿方を見つけてくださるはずよ。だからあなた達は安心して?」


 クレアが申し訳なさそうに告げると、なぜかボリジは悲しそうにうつむいてしまった。


「ご婚約解消後のクレアお嬢様は、その後どうなさるおつもりですか?」

「私はやりたいことがあって家を出ようと思っているの」

「ああ、やはり……」


 クレアの言葉にますますボリジが悲しそうな表情を深める。


「イアル様が次期ご領主でなくなる事よりもクレアお嬢様が遠くに行かれてしまう事の方が、手前には悲しくてなりません……」

「家を出た後でも私はここを愛用するつもりよ。だってここのローズマリーで作られた精油は、私の片頭痛を一番和らげてくれるのだもの」


 クレアが両手でボリジの手を握り締めると、ボリジが今にも泣き出しそうな顔をする。


「たとえお嬢様がお屋敷を出られたとしても我々は、いつでもお待ちしております」

「ありがとう。ボリジ」


 そんな会話をしていたら、ジェラルド達が戻って来た。


「ボリジ! 案内を受けた高品質のハーブだが、もしこちらが運営資金を援助すれば、生産量を増やすことは可能か?」

「し、資金援助ですか!?」

「ああ。これだけ栽培に情熱を捧げている農園は初めてだ。まだ他の農園を視察していないので断言はできないが、取引先候補として前向きに検討したい」

「ええ! もちろん! 是非ご検討くださいませ!」


 どうやらリーネル農園の高品質ハーブは、ジェラルドの要望に合ったものだったらしい。

 この件に関しては、きっと父も喜ぶだろう。

 

 こうして最初の視察先であるリーネル農園を後にした二人。

 その後、二十分ほど馬車で移動し、カモミール栽培が主流のマウロ農園も訪れた。


 しかしマウロ農園では、視察に来る人物がジェラルドだということが父の手違いで上手く伝わっていなかったらしい。

 突然現れた王弟公爵に皆が委縮してしまい、結局はクレアが農園内を案内することになってしまった。


 そんなマウロ農園は先ほど視察したリーネル農園の三分の一の規模である。

 ハーブの質はいいが、収穫量が少ないため取引先候補から外れる可能性が高い。

 帰りの馬車でジェラルドから残念そうに告げられたクレアは、新たに紹介できるカモミール農園がないか考えていた。

 すると、ジェラルドが明日の予定を告げてくる。


「明日は特に視察予定はないのだが、今回周った四つの農園についてあなたの意見を聞きたい。特に初日に視察した二つの農園に関しては、あなた抜きでの視察だったので相談したいことがある。明日そちらへ伺っても構わないだろうか?」

「もちろんでございます。お見えになる時間はお決まりでしょうか?」

「午前中は本日の視察内容をまとめたいので、昼過ぎはどうだろうか?」

「かしこまりました。では、そのように父に伝えておきます」


 こうしてクレアの長い緊張の一日は無事に終了した。

 しかし就寝前に今日一日を振り返ると、いつの間にかジェラルドに対して緊張しなくなっていることに気づく。

 それどころか、明日また彼に会えることを楽しみにしている自分自身に思わず苦笑してしまった。

※『片頭痛』の表記ですが、当作品ではあえてこの表記にしております。

作者も初め『偏頭痛』の認識でしたが、執筆前に調べてみると医学用語的には『片頭痛』が正しいらしいです。

ただ現在では片側だけ痛む事を『片頭痛』、場所に関わらず激しい頭痛の事を『偏頭痛』と表記するような説明をしているサイトもあったので、現在は曖昧になっている気もしますが……実際は、どうなんですかね?(^^;)

ここでは念の為、医学用語で使用されている方で表記させて頂きますのでご了承ください。

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