4. せかい
主な登場人物
カコ 現代のJK、主人公
ナトコ 遺伝子改造済み少女
ナトコの話を纏めると、この星は地球から320光年くらい離れた星なんだそうだ。
太陽を回る公転と星が回る自転のスピードがうまく釣り合ってしまったせいで、太陽を向いた場所はずっと昼で、逆の場所はずっと夜。
地球から月を見るといつも同じ場所しか見えないのと同じことが、この星の太陽とこの星の間に起きてるんだとか。
太陽を向いている場所が変わらないせいで星の中での寒暖差が大きいから、熱い昼の面と寒い夜の面の間のとこでは、ずっと雨が降ってる。
おまけに年中、風がすごく強く吹いてる。
だからこの星は嵐の星って名前なんだって。
わかりやすいけど、未来人そんな雑な名前でなんで納得しちゃったワケ?
ともかく、嵐の星で人が生きれる気温の場所は雨が降ってる場所だけ。
そこを地球と同じ空気になるように酸素を出す細菌とか植物を植えて、建物を作って。
そこまでしたけど、結局地球人は嵐の星に住むのを諦めた。
「そんな感じであってる?」
「おう、そんな感じ。初めは希少元素属? かなんかが取れるって言ってきたんだけど、昼も夜もない生活は思ってたより大変で、結局この星の植民はやめにしたんだと。だから科学者とかはほとんど別の星に移っちまって、今嵐の星にいるのはここで生まれて星を捨てられなかった奴だけ」
ナトコはずっと夕暮れで大雨の外を眺めてる。
ちょっと寂しそう。
「科学者が居なくなって新しいハツメーヒンを作れなくなったこの星はそう……何つうか、文明崩壊中ってわけだ。それこそ映画みたいで笑えるだろ?」
「私的にはもはや笑えないって感じなんだけど?」
「俺からしたら笑うしかないって感じ」
「そりゃナトコはそうかも知んないけどさ」
けどさけどさー!
私は2020年に帰るのを諦めてなんて居ないの。
でも未来の世界のタイムマシンがないと詰み。
すっごく困る!
「で、文明が崩壊してるから機械とかそのパーツとかが足りないってんで、足りない機械を昔の遺跡から漁って見つけて使ってんだ。俺はその遺跡を漁って機械を集めるのを仕事にしてる。だからこの遺跡に来たし中に入ったし、カコを見つけたってこった」
「その説はお世話になりましたー!」
「おう、よきにはからえー!」
「それなんか違う」
「え、マジ?」
「マジ」
「マジかあ、千年前ってこんな感じじゃねえの?」
「それもっと前」
白塗りのアホな殿様とかが言うやつだし。
「はー、羨ましいぜ、カコ。千年前って人がたくさんいたんだろ? 話の合うやつとか、同い年のやつとかさあ」
「いるいる、友情を誓う仲! みたいな親友とか!」
「今この辺にいる奴にそんなのほとんどいねえからさ」
「なんで? ナトコ友達多そうじゃん」
「もっとチビの頃はいたけど、今はみんなこっちに居ねえんだよなあ」
ナトコがまたぼんやり雨を眺めてる。
こっちに友達がいないって、引っ越しでもしたのかな?
「じゃねえわ。カコ、お前これからどうすんの?」
「過去に帰る! そのためにタイムマシン探す!」
だって私、お母さんにもお父さんにも友達みんなにも、お別れだって言えてない!
そもそもお別れする気もないのに、突然見知らぬ未来なんだから!
「遺跡漁って?」
「だってそれしかないんでしょ?」
「タイムマシンが売ってないってのはガチ」
「じゃあ見つけるしかないじゃん」
「あるとも言ってねえけど」
クックックってナトコが悪役笑いをする。
ひっどーい!!
「ナトコが意地悪言うー!」
「あー! んなこと言うかー!? 一緒に手伝ってやろうかって思ったけどんなこと言うならやめちまうぜー!」
「やだー! ごめんー! 許して手伝ってー!」
「そこまで言うなら仕方ねえなあー! 仕方ねえから面倒みてやんよ」
私がナトコの方を見ると、ナトコも私の方を振り向いてた。
目が合う。
「…………んふっ」
「…………ぷっふ」
「あはははははははは!」
「んはははははははは!」
「これからよろしくなあカコ」
「こっちこそよろしくねナトコ」
私達は二人でお腹が痛くなるまで笑い合った。
一緒に笑ったらそれはもう友達だっていう、そういうルールは未来でも通じるのかな?
次回投稿は明日5/6です
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