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51 覚醒

クロの胸を貫いた雷を纏った手刀。

普通の相手であれば、それだけで命を断つことの出来る一撃。だが、相手が悪かった。貫かれた胸から溢れる闇は、貫いた腕を取り込もうと絡みつく。


「くそっ頼んだ」


慌てて抜こうとするも、ピクリとも動くことは無い。

危機を感じ、吸血鬼に肩から切断を頼む。それが実行されると腕がそのままクロに取り込まれていく。


大地を包んだ光が、消えた。


『大地。もう、手遅れ』

「きゃあああ」


叫びが上がった。

それは、大地を蘇生させた女性の鬼だった。蘇った大地を抱えて逃げようとした彼女を取り込んだのは大地から溢れ出た闇。

大地に分け与えられていた、クロの力であった。


クロは自身の全てを分け与え、自分の代わりに生きてもらおうと思っていた。それが、完成仕切る前に蘇生されたために、リンクが繋がったまま暴走しているのだ。


「その子から離れろ!! こんな卑劣な罠を!!」


叫ぶ鬼からしたら、罠に見えるだろう。

だが、クロは最初から言っていたのだ。聞く耳を持たなかったのは鬼たちである。目の前の宿敵が無防備であるが故に戦いを挑んだのだ。こんな結果になろうとも文句を吐かれる筋合いはクロにはない。


むしろ、だ。


『台無しにした。許さない』


ようやく全てを投げ出せるはずだったのに、それをフイにされてクロは怒っていた。永遠とも言える時間を生きていた。漂っていたクロにとってまたとないチャンスだった。

大地に全てを託し、永遠を終える。人である大地に力を封印していれば、いずれは天寿を全うしてその全てが無くなるはずだった。


クロにとっても、世界にとっても、最高の形で終わる。


大地を失い、高速で回転させた頭が導き出した答え。


台無しにされ、暴走した大地との繋がりを感じるクロは、目前の障害を全て排除することにした。


『覚悟しなくていい。すでに終わってるから』


世界を闇が包む。

クロと大地を残し、そこに居た鬼と吸血鬼を全て闇が飲み込んだ。指一本。声の一つも上げることなく消え失せる。

両手を合わせ、拝むと大地の所へと向かう。


暴れるべき相手を失った大地は、クロに向かって拳を握りしめる。だが、その拳が振られることは無い。

クロが抱きしめ、大地の目を塞ぎ……


『制御する。ここで眠って』


大地に纏う闇を制御する。

体を覆っていた闇が剥がれ、意識を失った大地だけが残された。


大地はこうして、クロと契約することになった。記憶を奪われ、当人すらも知らない契約を……

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