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50 決戦

「子供の安全を確保しろ。奴は私が引きつける」


堂々とした命令には躊躇いがない。

クロが何者であるか知っていても、勝利することを諦める様子のない隊長の鬼は両拳に雷を纏わせて一気に距離を詰める。


『邪魔』


展開される全てを呑み込む闇。

大抵の敵はそれを展開するだけで終わる。終わるはずだった。


「ふん」

『?』


真横に、鬼は現れる。

雷を纏った拳を胴目掛けて振るっていくるが、そんなものはダメージに入らない。クロは殴られた脇腹を軽く撫でて首を傾げる。


『逃げた?』

「この攻撃に反応もしないか」


連打ではなく退却を選択した鬼の代わりに、吸血鬼がクロを掴んで一気に投げる。

無抵抗のまま空へと飛び、ジーッと大地の居る場所を眺めた。

吸血鬼と鬼。強大な力を有する二人を前にしても、視界に入れるつもりのない態度に、好機を見出す。


「奴は私たちを敵と認識していない。今ならば!!」


大地のところに鬼が数人集まり、様子を確認。


「隊長。これなら蘇生可能です」

「よし!」

『っ!?』


聞こえた声に、クロは慌てた。

今の大地を繋ぎ止めているのはクロである。それに横槍を入れて蘇生させれば何が起こるのかクロでさえ予測出来ない。


だからこそ、即座に地上へと戻るために闇を収束させて足場を作る。蘇生の方法が鬼の能力であることを把握しているため、狙いを定めて跳ねーー


「させん」

「相手はこちらだ」


られなかった。

鬼と吸血鬼が立ちはだかり、クロの動きを封じたのだ。

攻撃自体に恐れはない。呑み込むだけならすぐだ。それなのに、クロは攻撃を受けていた。受けるしか無かった。


『どいて』

「よく分からないが今ならば!」

「おう」


力の大半を大地に注いでしまっているため、攻撃に移れないのだ。防御か攻撃のどちらかしか出来ず、後ろに足場を作ってしまっているせいで二人から逃げることさえ出来ない。


クロが取った選択は、受け流しだった。


攻撃の全てをいなし、道を作るために行動した。クロには大地しか見えていない。見えていないからこそ、二人は一気に攻め立てる。


光が、大地を包み込む。


『駄目』


癒しの光。奇跡の力。それは、タイミング次第で死者すらも蘇生する万能の力。

鬼たちの思惑通りにことは進む。

自らの勝利を確信した一撃が、クロの胸に突き刺さる。


それは、絶望への片道キップであった。

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