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大地が死んだ。

広がる闇の中心で、クロが泣き続ける。


流れ出る血の赤が、クロの体を汚す。


「にゃー」


鳴きながら、大地を揺する。猫の力ではビクともしない。クロが何をどうしても生き返ることは無い。閉じ込めることは出来ても……回復させることなんて出来ない。神と呼ばれた過去があろうとも、その力は壊すことにしか使えなかった。


息は無く。身動き一つしない。


「にゃー」


体を擦り付ける。

ピクリともせず、少しずつ熱が無くなっていくのを感じた。


『いやだ』


声がした。

それは、猫の鳴き声ではない。クロの姿が揺らぎ、大地と同じくらいの子供が姿を現す。


『いやだ』


闇が膨れ上がる。

膨れ上がった闇は、周囲を黒く染めて飲み込み、景色を溶かしていく。


大地に縋り付き、一つの方法を思いつく。


『大地……大地なら』


周囲に散った闇を一点に集め……大地に纏わせる。

傷を塞ぎ、飛び出した血の代わりをする。息は戻らず、心臓が動くことも無い。クロの体が透けていくのと比例して、闇が全身に循環していく。


『これで、大地は……』


「そこまでだ! そこを離れろ化け物!」


怒声が轟き、高速の雷がクロの頭を貫く。

けれど、それに対するダメージはない。貫いたはずの雷は闇へと溶けて消える。


無感情な瞳を声と攻撃が飛んだ方に向ける。


『鬼と吸血鬼。そっか……もう夜』


闇と同化していたせいで真っ暗になっていることに気づいていなかった。

傷は塞がったが、息を吹き返すにはまだ足りない。足りないけれど、ここで作業をしていれば襲われて集中出来ないのは明白だ。


『だったら』


睨みつける。

今、この場を離れれば今までの作業が水泡に帰す。

そんなことをする訳にはいかない。即座に終わらせて……


「子供が居る! 闇に襲われてる。助けるぞ」


応と散開する鬼や吸血鬼に、クロは今度こそ明確な怒りを向けた。


『何も知らないくせに』


大地を闇に包み、

大地を見つけた隊長格に向けて跳ねた。


これが、クロと鬼連合の侵した最大の罪。


誰も救われない最悪の戦いが、そこにはあった。

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