41 幕引き
「役者が揃ってきたようじゃの」
「そうだねーそろそろ、終わりかなぁ〜」
「何を言うか。今から始まるのじゃぞ?」
噛み合わない二人の会話。
画面の中では、クロを抱きながら走り回る寒奈さん。さつき先生と話すりっちゃん。病院に入ってくる杏さんが映し出されている。
どの映像も、今からが本番と言うような感じだ。
なのに、僕には終了の絵が見えていた。僕たちの望むようなエンディングが行われる。その確信が笑みに繋がっていた。
「ぬしは、不思議なやつじゃの」
「そっかなぁ〜」
「そんなつもりはさらさらない。そんな言い方じゃの」
「そうだよ。だって、僕は普通だもん。変なこと出来ないし〜特殊な力も無いよ〜」
「かっかっかっ。普通なんかではなかろう。ぬし程の化け物を見るのは稀じゃ」
化け物?
首を傾げるが答えは返ってこない。
特に気にする必要はないのだろうと画面に注視する。
「おーりっちゃんスゴーイ」
画面の中で、りっちゃんが猫又相手に無双している。特別な力があるからこそ、まとまって相手をしても問題なくこなせている。
「当然じゃ。天才じゃぞ?」
「そっか〜」
確かに色々なことを吸収する速度は凄まじかった。そのおかげでなんでも出来ているし、生きる上で大切なことを全て任せることが出来る。僕はのーんびり過ごせている。
要領良くない僕とは全然違うんだよな〜
「でも、今回は許さぬぞ」
「りっちゃんが、止まるかな〜」
「ふん」
わりと反応してくれるからきっと優しい人なのだろう。それだけりっちゃんが大切なんだと思う。
部外者の僕をわざわざ隔離してくれているし……うん。優しい人。
「これで幕引きなのに、なぜ笑っていられる?」
「幕なんて引かないよ〜だって、みんな凄い人だもん」
これで終わるわけがない。
だって、みんなはとっても強くて、僕なんかでは及びもつかない人達なのだから……




