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34 りっちゃん

「それで、誰がこれを起こしているのか、心当たりはありますか?」

「はい」


僕を無視して話が始まっている。

チラチラと視線を送るけど背中を向けて完全無視の姿勢を取っているので、イジイジ作戦は全く意味を成していない。


残念だな〜とクロを高い高いする。「うにゃあ」と身を捩り逃げ出そうとするのを両手で必死抑え込むが、するりと抜け出し僕の顔面に着地する。落とさないよう必死になってバランスを取るけど、なかなか難しくてふらふらふらふら、あちこち千鳥足で歩きながら下も前も見ずにバランスを取る事だけに注思する。


「きゃ」

「わぐ」


耳に届いたりっちゃんの声。ぴょんとクロが顔面を蹴って逃げ出したことで視界が開けた。


「あれ〜?」

「大先輩。なんで邪魔するんですか?」


覆い被さるような体勢になっている。これを引き起こした要因の一つであるクロは寒奈さんに抱かれて顔を洗っている。「にゃー」なんて鳴きながら私は悪くないと主張している。

むぅと唇を尖らせるけど、素知らぬ顔。仕方ないのでりっちゃんに視線を向ければ呆れ顔になっていた。


「どうしたのー?」

「大先輩は、本当に自由ですよね」

「そうかな?」


そんなつもりは毛頭ない。それなのに、僕はそんな評価が下される。おかしいおかしいとは思うけど、だーれも反論はしない。むしろ肯定しかしてくれない。これって変じゃない?


「僕って、自由?」

「好き勝手やっていると言う意味ですよ。服が汚れました」

「はたいてあげる〜」

「お尻をはたこうとしないでください!!」


尻もちついたようだからちょこっとはたこうと思ったのに全力で拒否られてしまった。

昔は「お願いします」とお尻を向けてきたのになんでだろうか?

これが些細な変化。なんだろうなぁ〜


「変わりませんね」

「本当ですよ」


何故か意気投合。

僕だって日々成長しているはずなのに酷い言い草だ。


毎年数ミリは前に進んでいるはずだ!!


背は伸びないけどさぁ。


「それで、その木渡先生が犯人なのですか?」

「間違いありません」

「???」


話がよく見えない。

木渡先生って保険室に居る先生だよね。この前会った時はりっちゃんの親戚だって言ってたような。後、りっちゃんが家出少女だって口にしてた。

それと関係があるのかな?


「さつきさんは、特殊な変化をもたらす力を有しています。それを使えば、猫又を作ることは難しくありません」

「つまり、木渡先生も鬼。なのですか?」

「その通りです」

「しっつもーん」


『却下します』


口を揃えて拒否されてしまった。

そんなに息ぴったりに却下しなくてもいいのにさぁ。酷い。本当に酷いよぉー


でもさ、でもさ、


「鬼って、どういうことなのさぁ」


気になるよぉー


「…………大先輩。驚かないで聞いてください」

「うんうん」

「実は理摩、鬼の一族なんです」

「へーそうなんだ。じゃあ、鬼のパンツとか履いてるの?」

「バカ!!!!!!」


思いっきり頬をビンタされて三回転半の高速回転を空中で行う。着氷ならぬ着地に失敗してアスファルトの地面を滑る。ガリガリに服が削れていくのを感じながら、頭の中に疑問符が浮かぶ。


「なんで叩くのさぁ〜」

「いきなり何を言うんですか!!」

「当然のこと?」


鬼と言えば真っ先に浮かぶアイテムがパンツである。後はツノや金棒だけど、見た感じ無いし、それならパンツかなと……


「シマシマパンツが見たいんだよ!!」

「誇らしげに言わないでください!!」


パンツスタイルなので脱がないと鬼のパンツは拝めない。

幾度か脱ぐ機会はあったけど、パンツを注視したことは一度もない。だから、黄色のシマシマだったのかなんて覚えていない。

だからこそ、見てみたいと声を大にして言うのだ。

明らかな軽蔑の眼差しを向けられたとしても!!


「はいはい。それは、後でお願いします」

「むう」

「後でもダメです!!」


下半身をガードし始める。仕方ないので今は諦めよう。りっちゃん寝静まったら再チャレンジだ。


「絶対、ダメですからね」


頬染めてかーいーなー。こんな可愛い子が鬼なんてどういうことなのだろうか。

説明プリーズ!



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