28 朝ごはん
「お待たせしました」
朝ごはんを持ってやってくる寒奈さん。どこかにか隠してあった机を出してそこに乗せる。
クロにも同じご飯を置いているのが疑問ではあるけど、猫用のご飯がある訳も無いので仕方がないか。
食べられないものが入ってたら抜いてあげないとね。
「大丈夫ですよ。ちゃんとクロさん用に作りました」
「ならよかった〜」
さすがは寒奈さん。何でも出来て凄いなぁ。
僕だったら言われないとしないかもしれない。言われてもしないかもだけど。
「にゃー」
すでにがっついているクロ。いつもの猫缶よりも勢いがいい。
りっちゃんが通販でご飯買ってるけど、もう少し高いのを買った方がいいのかな?
「まぁいいか。いただきます」
「どうぞ」
シンプルに目玉焼きと野菜サラダ。味噌汁にご飯。
ドレッシングは自家製みたいで市販の容器ではない。あるいは移してるのかな?
振って混ぜたらサラダへゴー。りっちゃんのと比べたらいけないけど腕前上なのかもしれない。
ドレッシング凄く美味しい!!
「これ、美味しいね」
「ありがとうございます。研究したかいがあります」
「へ〜勉強家なんだね〜」
食べる専門の僕からしたら尊敬の眼差しを向けるべき存在だ。
努力出来るって凄い!
「お金持ってたら払うのに〜」
箸を咥えてため息を零す。
そう言えば、一人暮らしなのになんで普通に箸や食器があるんだろう?
僕だったら必要最低限しか用意しない。それに、よく見ると新品みたいに見える。買って使ってなかったのかな?
どうなんだろうか?
「お金なんて取りませんよ」
嬉しそう。
なんだろうなぁ〜
んー
「ねぇねぇ」
「なんですか?」
「もしかして……食器とか、彼氏用?」
「…………えっと、え?」
「一人暮らしでしょ?」
「そうですよ。二組あったらおかしいですか?」
「んーうん」
少し考えるけど、やっぱりおかしい。
同居人が居るか、彼氏が通っているかのどっちかとしか思えない。
あれ?
でも、そうだとしたらなんで僕に告白してんだろう。僕のことが好きって言ってたなら彼氏が居るのはおかしい。
もしかして……
「不倫?」
「なんでそうなるんですか!!」
「にゃー」
クロが呆れたような声を出して膝に乗る。寒奈さんは机を力強く叩いて朝ごはんをダンスさせる。
落ちちゃう落ちちゃう。
「だって、僕に告白したよね?」
「うぐっ」
「でも、二組あるってことは誰かを呼ぶこと想定してるんだよね?」
「そっそれは……」
「僕は誘われたことないし、誘う気もなさそうだから、きっと別の恋人が居るのかと……」
「居ません!! それより、誘っても良かったのですか?」
「友達の家に遊びに行くの楽しいよ」
にっこり微笑むと、寒奈はガックリと肩を落としている。
おかしな事を口にしたつもりは無い。なのに、なんで?
あっご飯がふっくらして美味しい。炊き方も工夫があるのかも。目玉焼きも半熟だから擬似卵かけご飯しよ〜醤油。醤油〜
「にゃー」
やれやれって感じで首を振られる。
なんでだろう。
色々な所にダメージが与えられている気がする。気のせいかな?
まぁいいか。美味しい朝ごはんで元気いっぱい。今日は学校休むとして、のんびりしよーっと。




