23 さつき先生
りっちゃんと散歩をした日から数日が経ったある日。僕は学校でのーんびりと授業を受けていた。
五時限目。お昼を食べた後の気だるげな時間に英語の授業。眠気に負けてチョークミサイルを食らう同級生を眺めながらノートに板書を書き写す。
できる限り真面目にやっているのは将来英語を使う可能性があるからだ。
日本だけでもいいが、未知の探索をするならば世界に目を向けなくてはならない。テレビでやっている特集などで取り上げられる映像を見る度に、自分の目でそれを見たいと強く感じられる。世界へと飛び立ち、探検家として色々な物を見る生活……う〜ん興奮するね!
不思議の探索。そのためには多くの知識が必要になる。必要無いものは無視するけど、必要なものは全力で取り組む。
だから、社会は完全に捨てている。歴史に潜む不思議の探索は楽しいけど、法律とか人が何をしてきたかとかどの時代にどんな事が起こったのか。なんて気にしたってしょうがない。
興味がある人ならば、勝手に調べるのだから、わざわざ暗記する必要あるのだろうか?
そんなことよりも、ネッシーや雪男の話をしたいものである。神話や吸血鬼。鬼の伝承を学んだほうが有意義な時間だろう。
そう考えれば、学校の授業はどこかチグハグだ。社会に出て使える授業なんてひと握り程度でしかない。
集団行動で頭を使うよりも周りに合わせろ。なんて退屈である。
先生の言うこと。先輩の言うことを聞いて余計なことをするな。なんて指導している人も居るし、イジメを無視したりするし、なーんか、面倒だよね。
社会の縮図。なんて言われているけど、これが社会であるならば、本当に学ぶことなんて何も無い。
やりたいことに責任を持ってやる。それが大事なはずだ。人の顔を見て、その人の権力を見て、へーこらするなんて何が楽しいのだろうか?
「うーん」
「これで、授業は終わりです。では、宿題を」
プリントが回される。
ノートには板書以外にも社会についてのメモをしてしまっていた。
俊樹に見られたら呆れられるので消し消し。次の授業は問題の社会だからなぁ。面倒だよな〜
基本的に教科書の内容を書いて口に出すだけの単調な授業内容。それに時間を使うのは勿体ない。それだったら家でも出来るもの。だからなのだろうか。全体的にやる気を感じられない。
一番やる気が無いのは確実に杏さんである。チョークで真っ白になっていようと眠るのを止めていないのは猛者の証だろう。途中から迎撃していたので先生も投げなくなったし。
「よし。散歩しよう」
授業までに戻れるか不明だけど気分転換に歩こう。俊樹を誘おうかと思ったけど、杏さんの近くにあるチョークを片付けている最中なので放置かな。頑張ってね〜
教室を飛び出し、ウロウロウロウロ。休み時間に移動するのは珍しいことでもなんでもない。他の教室に遊びに行ったり、水を飲んだり、トイレに行ったり、移動教室の場合だってある。
だから廊下にはそこそこに人は居る。
フラーリフラーリとぶつからないように移動し、やって来たのは保健室。
「どうしようかなぁ」
さつき先生とりっちゃんは何だか知り合いのようだし、気になると言えば気になるから、何度か保健室に遊びに行ったけど……まぁ、邪険にされるからすぐに出るんだよなぁ。
男子が入ると怒るんだもの。ここは、女の子の聖域だ〜みたいなことを言いながら。僕たち体調不良になったらどこで休めばいいんだろうか?
怪我しても手当てしてくれないみたいだから問題になっているらしいけど、色々とあって今も先生やっているらしい。色々な部分が気になるけど、みーんな口を噤んでしまうので聞けもしない。
「あら、何しているかしら?」
ガラガラと扉が開いて、嫌悪感丸出しで問いが投げられた。
「ん〜散歩」
嫌悪感には気づいているけど、気にしたら負けである。基本的にこの先生はこう言う人なのだ。、下手に反応したところで変化はない。受け流すが一番であり、文句を言うだけ無駄。
「はいはい。授業が始まるわよ。さっさと行った」
「今誰も居ないのー?」
「居ないわよ。だから、平和な時間をのんびり過ごしているところよ。女子生徒だったらと思って出迎えただけなんだから」
「そっか〜ごめんね。そうじゃなくて」
「全くよ。次は女子生徒を連れて来なさい。理摩ちゃんでもいいわよ?」
「はーい。そうしまーす」
棒読みで保健室を後にする。
りっちゃんの昔話とか聞きたくはあるけど、あの人に聞くのはやっぱり無理があるかぁ。
仕方ない。仕方ない。さつき先生はそう言う先生なのだ。これ以上触れるのは止めておこう。いつか、教えてくれる時が来るはずだしね!!




